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「さあ、行こうか」


 国王様はとても自然な動作で子供を抱っこするように片腕に私を乗せ、ゆっくり歩き出す。そして私が握っていたミランダ先生の手はいつの間にか放れていて、国王様のあいている左手がミランダ先生の右手を握っていた。それに目を丸くするミランダ先生と、それを見て微笑みミランダ先生を見つめる国王様。


 ああ……なんだか見ているだけで温かくなるような、優しい空間。


 よかった。うん、よかった。会えてよかった。ちょっと変な行動をしてしまったけど、言ってみてよかった。


 私は、うんうんと心の中で頷く。


 ミランダ先生と国王様をそっと交互に見つめながら温かさと幸せを感じているときに、ふと気づいてしまった。


「……」


 あれ。私、邪魔じゃないか。だってミランダ先生と国王様は久しぶりの再会で、久しぶりに二人っきりになれるかもしれないのに……私ってば久しぶりの再会に邪魔じゃないかあああああ。そう心の中で叫んでも変わらないぞ私。


 え、いやいやいや、どうする。この状況。気づいてしまったこの状況をどうするんだ、私よ。でも私、国王様に持ち上げられていているし。なにより国王様が私を落とさないようにがっちりと支えてくれているのよ。


「国王様!」


 心の中で慌てていると、後ろから護衛の人たちの声が聞こえる。


「皆、静粛に」


 国王様の凛とした声が人々に届く。しんっと静まる。そして国王様の次の言葉を待つように、誰一人動かない。


「今から私は、妻とそしてこの少女に時間を使う。皆、祭の準備を進めてくれ」


「なりません! 陛下! その女は陛下を殺そうとしたのですよ! そのようなことをした女と一緒にいることを選ぶのですか……!」


「なにを言っているんだ? 彼女は私を殺そうとしたのではない。救おうとしてくれたのだよ」


「いいえ! その女が毒を持ち込み、あなた様を殺そうとしたのです! その証拠にその女はこの国から出ていったではないですか!」


 護衛の人の言葉に町の人たちも大きく頷く。そして睨み付けてくる。どろどろとした憎悪、殺意に似た視線。気持ちが悪い。


 もしかして……ミランダ先生は、この視線をずっと向けられていたのだろうか。それは心が潰されてしまうくらい、辛い。


 そう思ってミランダ先生を見ると__。


「っ……!」


 私は、思わず声を出した。

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