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彼女を見送ってからしばらくなにを話すでもなく、ただ立っていた私と先生。
……どうしよう。この雰囲気。
緊張からか、だらだらと冷や汗が背中を伝う。
「リラ。私は、選択を間違っていないよ」
私の耳に届いた言葉は、まるでミランダ先生自身に言い聞かせているみたいで。
「……」
なんだか胸がきゅっと締まった。
私は少し目を伏せてから、ゆっくり口を開く。
「私は、ミランダ先生の過去を知りません。だからきっと私が言うべきではないと思うんです。だけど……」
ミランダ先生の背中を見つめながら息を吐き、そして吸う。
「私はどんな先生も好きです。だから先生には、選択したことに少しの揺るぎもなく後悔のない道を進んでほしいと……私はそう思います」
思っていることを言ったけど、なんだか偉そうな物言いになってしまった。そのことに気付いた私の顔が青くなっていく。
「ご、ごめんなさい! ミランダ先生! あ、あの、今のは、その」
「ふ、あははははっ!」
ミランダ先生になんて言おうかわたわたとしている私の耳に届いたのは、ミランダ先生の大きな笑い声。
……ええっと、どうしてミランダ先生は笑っているの。こ、これはいったいどうしたら。
さっきとは別の緊張が走る。
「ふ、ふふ。あー、笑った笑った」
目元に溜まった涙を指で拭いながら振り返るミランダ先生。そして私の元まで歩いてきて、私の頭を優しく撫でた。
「素直でいい子だよ、リラ」
「ありがとうございます……?」
条件反射のようにお礼を言ってしまったけど、どんな反応が正しかったかな。
「一度あの人に会って話してくるよ。祭りのために月光華を持っていくからね、その時に」
「……あの、まさかクリエスタルですか?」
「そうだよ」
ミランダ先生の笑顔に、緊張とわくわくが同時にやって来る。
「私、もっと張り切って造りますね!」
ぐっと拳をつくり、気合いを入れてミランダ先生に伝える。
頑張って造りますとも。だってミランダ先生の旦那様である国王陛下も見るかもしれないんだから。素敵だと思ってほしいし、素敵な日にしてもらいたい。




