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「このお菓子ね、見た目と味がまったく違うんだよ」
「たとえば?」
「お兄ちゃんは、苺味って書いてあったけどマグロ味だったみたい。なんかちょっと生臭い味だったって泣いてたよ」
うわあお。それは、確かに泣いてしまうかもしれない。たぶんジャンは似た色の果物をイメージしていたんだろうなあ。それで食べてみたらマグロ味。うん。悲しい。でもそういう闇鍋のようなお菓子だしなあ。
「あと、シュルトさんはぶどう味だと思ったら紫セロリ味だったみたい。お兄ちゃんが言ってた」
紫セロリは私的にはセーフ。だけど、これはちょっと私危ないんじゃないだろうか。危険信号が出ている気がする。
ちらりと自分の手に握られていた飴を見つめる。
袋は普通。
商品名は怖いし変。
中身は不明。
総合、可笑しなお菓子怖い。
「ねえ、リラちゃんのはどんな味かな?」
や、やめて……。そんなきらきらと目を輝かせて私を見ないで。なんにも悪いことをしていないのに、罪悪感があっちのほうから走ってきてる気がしないでもないから。
「クレアはこの飴食べたの?」
「食べたよー。私はね、チョコ味だと思ったら味噌味だった」
味噌か。味噌ならセーフだな。お願いだから、私にも味噌味か紫セロリ味がきて。
そう強く願いながら、封を開ける。
「……」
終わった、かもしれない。
まじまじと飴玉を見つめる。その表情はとても複雑だと思う。
なんなんだ。このマーブル模様は。そしていったい何味なんだろう。このマーブル模様の飴は。
想像がつかない。ゆえに恐ろしい。
え、皆一色できてたのに私だけマーブルって。どれだけ運が悪いんだ。いや、運がいいのか。
……違う違う違う、運がいいとか悪いとかそこ気にするところじゃない。
「わあっ! リラちゃん大当たりだよ! そのマーブル飴ね、一個しか入ってないんだ! すごいね! どんな味かな? マーブルだから他の飴より想像つかないね」
「うん……どんな味かな」
クレアのきらきらとした目と対称的に、絶望のどん底に落とされた目をしている私。
さて、そろそろ覚悟を決めて食べよう。
ぱくり、口に含み舌でマーブル飴をなめる。
「……っ!」
お、おいしい……。美味しいぞ。なんだろう、とっても美味しい。
りんご。ぶどうにみかん。それから苺にチョコ味かな。とにかく色んな味が次々にくる。
絶妙なバランスの味だ。
結果、次のハロウィーンはもっと普通なお菓子がいい。




