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あれから何日か経ち、私は積極的にシュルさんに話しかけていた。そして今も庭園を歩くシュルさんの姿を見つけ、駆け出したところだ。
「シュルさーん!」
「……あ、リラ姫」
「おはようございます! 今日も格好いいですね、シュルさん!」
「あ、ありがとうございます」
「シュルさんにはこの庭園の深紅の花がとっても似合いますね!」
にこにこ、にこにこと笑みを浮かべ続けながらシュルさんに話す。
「そうですか? ありがとうございます」
あれ……なんだかシュルさんの返事に違和感がある。その、自分で言うのもなんだけど前はもっと嬉しそうだった気がする。でも今はなんだか悲しそう。
もしそうなら、なんでだろう。なにか悲しいことでもあったのかな。それに気づかず能天気に話しかけてしまっていたとしたら、申し訳なさが半端ない。理由を聞いてもいいものだろうか。ああ、でも話しづらいことだったらそれはそれで申し訳ないしなあ。どうしよう。
「リラ姫」
「あ、はい! なんですか?」
「っ……いえ、なんでもありません」
「そうですか?」
「はい。すみません」
綺麗な瞳を伏せるシュルさんに、さっき感じた違和感があった。
これは……たぶん私がなにかしてしまったんだ。だけどそのなにかがわからない。わからずに謝るのは失礼だから、早く理由を見つけなくては。
そう思った私は必死にシュルさんになにをしてしまったのか思い出す作業にとりかかった。
***
今は夜。私はふかふかベッドの上で頭を抱えて悩んでいた。あれからずっと記憶を遡り理由を探し続けている。
駄目だ。考えてもわからないし見つからない。私はシュルさんになにをしてしまったんだ。
「あー、あー、あー、あああああ」
思わず奇声をあげてしまうくらいには記憶を遡って理由を探した。でも本当に思いあたることがないの。だからこそたちが悪い。無意識にシュルさんを傷つけてしまったということなんだから。
「リラさん、どうしたの? 百面相なんかして」
「え、わ、ルミアちゃん……! あ、ごめんね! うるさかったよね?」
「うるさくなかったから大丈夫だよ」
ふふっと可愛らしく笑うルミアちゃんはやっぱり可愛い。この間打ち解けてから、とても仲良くなった私たち。隠し事はしないと約束したけど、この悩みは自分で解決しないといけない気がするし。でも、それだとルミアちゃんとの約束を破ることになる。
ああああああどうしよう。どうしたらいい。誰か私に教えておくれ。
館長、見てるんでしょ。なんかアドバイスをおくれ。
「……」
わかった。もういい。役立たず館長。
「リラさん?」
「へ、あ、なに?」
「リラさん、なにかあった? さっきから様子が変だけど」
心配してくれるルミアちゃんを見ていたら、正直に言わないとって思った。
「……少し。少しだけなんだけどね、悩んでることがあって」
「うん」
「それで、あの……」
「リラさん。大丈夫。ゆっくり話して」
その優しい声色になぜだか泣きそうなった。そして私は途切れ途切れに言葉を紡いだ。




