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泣いてしまったルミアちゃんの涙を、持っていたハンカチで拭い話の続きを聞く。
「なるほど。つまり私がこの物語の主人公に似ていたってことだよね」
「はい。優しくて前向きで強い心を持っていて……それでいて寂しがり屋さん」
「……」
いつもの私なら否定とかするんだけど、ルミアちゃんのその言葉にはなにも言えなかった。だってあまりにも愛おしそうに優しく笑って言うものだから、胸の辺りがこそばゆくなって声にならなかったから。
「あなたは、私の大好きな人にも似てるの」
「大好きな人? その人ってこの本の中にいる人?」
「いいえ、本の外の人です」
そう言ったルミアちゃんは、それはもう愛しそうに目を細め微笑んだ。
「この物語を綴った、セセラ・アース……その人が私の大好きな人です」
セセラ・アースって、魔法石を題材に多くの物語を綴った有名な作家さんだ。
私はセセラ・アースが綴った物語の雰囲気が好きで全て集めた。でもその全ての物語に恋愛ものは一冊もなかった。
「……私の大好きな人は、この物語を完結することができなかった」
「……」
「彼はこの物語を綴っている途中、病のせいで亡くなってしまったから」
「それって……」
綴られたところから先がない、ということ。つまり完結できない物語。
ん、ということは……この世界で生きてる人たちは前に進めずにいる。進むことができず同じところを繰り返しているのではないだろうか。だから私を呼んだ。
「……」
通信を適当に切った館長も言っていた。物語を完結させたら帰れるって。
「私が動けば、話が進んで完結できるんですよね……?」
「はい」
「私、頑張ります……! そしてこの物語を完結させます!」
セセラ・アースが綴った物語以外のところは酷いかもしれない。でもセセラ・アースが綴った恋と愛の物語を、私は心から見てみたいと思ったから。
だから、私は完結に向けて動く。




