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「ジャーン! 頑張れー!」
「おー!」
「適当に頑張れよー」
「こらルーズ! ジャン、適当駄目! 絶対駄目!」
応援席でワイワイギャアギャアと騒ぐ私たち。
たぶんジャンは気にしてない。確か去年もこんな感じだったし。
それにしても私は毎年違う人とワイワイギャアギャアしてる気がする。それは絶対に気のせいじゃない。でも
今年の私はもっとワイワイギャアギャアしてる。今年の私のテンションが特に高いからね。
「おい、ジャンこっちに走ってきてるぞ」
「あ、わかった。ジャン、欲しい物はなに!?」
借り物競走中のジャンが驚きの物……ううん。人物を借りに来た。
「リラ! お前来いっ!」
「え、私?」
「そう! 早く!」
「早くっ……わっ! ちょちょちょええええええっ!」
え、なにいきなり。なんで私いきなりジャンにお姫さまだっこされてるんだ。う、回りの目が……好奇の目があああああああ。確かに早くって言われたのにもたついてしまったからしかたないかもしれないけど、お姫様抱っこはちょっと恥ずかしい。あ、でも担がれるよりはいいかもしれない。
「回りの目なんか気にすんな。去年もこの競技でシュルトにされてただろ。もう恒例になってきてんだから、そろそろ慣れろよな」
「あれ、そうだっけ?」
「そうだよ」
「あー、なるほど。そう言われれば、去年もその前もこんな感じだったね」
私がそう言い終わるちょっと前にゴールするジャン。あとは借りた物が正しければ私たちの優勝が決まる。今回は物ではなく人間だけど。
「はい。紙を見せてねー」
係委員の人が紙と私を交互に見比べる。
そう言えば紙になんて書いてあったんだろう。気になる。とっても気になる。
「うん、問題ないね。君一位」
「よっしゃ」
ゴールした人は応援席に戻ることができるので、歩きながら聞いてみた。
「ジャン。なんて書いてあったの?」
「気になんのか?」
「そりゃあ、なるでしょ」
「ほれ」
紙を見れば、そこには信じられない文字が並んでいた。咄嗟に目を擦る。文字は変わらない。つまりこの文字は本当に書かれている。
「ま、なんてこと」
「ふはっ、驚きかた変だな」
「いやいや、変な驚きかたにもなるよ」
「そうか? 普通だろ。そこに書いてるの」
「まあ、ジャンがいいならいいけど」
紙に書かれてた文字とは『知り合いの中で一番可愛い人物』だった。ジャンに選んでもらったことに驚きも驚きだけど、ジャンが恥ずかしくないならいいやと思う私。




