2
はい、早くも運動会当日。
必死に特訓したあの一週間を私は忘れない……いや、忘れることができない。体力がなく、運動音痴な私へシュルトが出した特訓は……思い出したくないほど恐ろしかった。
「ふっ。だが、今こそ特訓の成果を出すときだっ!」
「おい、リーダー。招集かかってんぞ」
「ルーズが行きたまえ。私は忙しいのだよ、主に脳が」
「いや、知らねぇよ。早く行け」
「あでっ……!」
お尻を華麗に蹴られた。くそう、お尻が四つになったらどうしてくれるんだ。
そうブツブツと脳内で呟きながら招集場所まで歩く。
「おはよう! リラちゃん!」
「今日はよろしくねー!」
明るく声をかけてくれるのは、商店街のおじさんとおばさんたち。それから魔法使い友達のみんな。
うん。みんな心なしかウキウキソワソワしている。
……あ、そうか。今回の運動会の優勝賞品が温泉旅行だからか。なるほど、みんなやる気満々だな。もちろん私もだけど。だが、勘違いされては困る。私が狙ってるのは優勝賞品ではなく、各種目につく一位賞品である。
「……」
その中で私の大本命は絶対方向音痴ナオールである。これは滅多にお目にかかれない代物だ。なぜならこれを造った魔法使いが効力を上げるために、数ヶ月に一度しか造らないからだ。それが今回賞品として登場するとチラシに書いてあった。
「そこまでは……」
そこまでは良かったのだ。ただその賞品がある種目が障害物リレー……もちろん運動音痴な私は崩れ落ちた。
「だが、しかーし! 私には強い味方であるシュルトがついている! それにレオナとルーズもいる!」
「はい。やる気満々のところ悪いけどちゃんと話を聞いてねー」
「すみません!」
やっちゃったよ……脳内の声がどこまで漏れていたかわからないけど、とりあえず今言えることは恥ずかしいだ。
また今みたいなことが起こらないよう私は考えることをやめ、町長の話を真面目に聞いた。




