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えー、なんと言うか、はい、どうなってるんだ。
「お願いだ。お嬢を助けてほしい」
あれからずっと強面のおじ様に頭を下げられている状況が続く。
頭を下げるのはやめてくださいと伝えたけど意味がなかった。なのでもう一度だけ言わせてほしい。一体どうなってるんだ。
頭を下げられているこの状況もたけど、レオナを助けてほしいっていうことについて頭がついていってない。
もしかして……禁忌石のことを知っているのだろうか。それなら助けてほしいっていうのも納得だ。だけど私より、レオナの近くにいる強面のおじ様のほうが助けられそうだけどな。
「あの、レオナを助けてほしいってどういうことなんですか?」
「お嬢がつけてるあの指輪の石は、禁忌石だと思うんだがあたりか?」
「えっと、あたりです」
「そうか……」
「すみません。ちょっといいですか?」
「おう、どうした?」
「あなたはレオナを助けたいんですよね?」
「そうだ」
「とりあえず今は私の味方ってことでいいですか?」
「なにを言ってるんだ? とりあえずもなにも始めっから仲間だろ」
「え……?」
えええええええっ。え、なになになに。どういう状況なの。どうしてあたり前だろって顔してるの。なに、私が間違ってるの。私がいけないの。
脳内プチパニック……いや、脳内ちゃぶ台返し状態である。
「……」
強面のおじ様を見ると、少し首を傾げられた。はい。これは私が置いていかれている感じですね。つまり深く考えてはいけない。
……よし、もうなにも考えまい。考えるだけ無駄だ。私の頭が爆発してしまう。それよりも聞かなくてはならないことがあるじゃないか。
「どうして禁忌石だと思ったのに止めなかったんですか?」
「それは……」
苦虫を噛んだような顔をする強面のおじ様。
一体なにがあったんだろう。
私は、ただ強面のおじ様をじっと見つめる。
「お嬢の命令だからだ」
「それでも危険だと気づいたなら、止めな……」
「それができたらしてる! できないから、あなたに頼んでいるんだ」
「……どういうことですか?」
「命令としか言えない」
あれ、これはもしかして……。
「あなたはレオナのなんですか?」
「ボディーガードだ」
「レオナはクラー財閥の御令嬢ですか?」
「ああ、そうだ」
「……あなたは魔法使いですか?」
「悪い。命令だ……」
「もう一つだけ。あなたは言動の制限をつけられていますか?」
「命令だ」
「とりあえず理解しました。大丈夫です」
この人は魔法をかけられている。それもかなり強力で危険な。
レオナを助けるための最優先は、この人の魔法を解くことだ。
……サーラなら解けるかな。
***
サーラを喚んで強面のおじ様にかけられている魔法を解いてもらっているけど……うん。すごく苦しそうだ。かけられている魔法が魔法で強力だからなあ。
「うっ……くっ……」
『男ならもっと涼しい顔で我慢なさい』
「ぐっ、がぁ……いっ!」
『ほら、あと少しですから我慢なさい。まったく軟弱な』
「いっ、だだだだっ! がっ、ぐっ……」
……うわあ、やっぱり痛そう。とっても痛そう。それに苦しそう。あとサーラの笑みが意地の悪いものになっている。相当お怒りのようだ。
そう言えば、私がサーラを呼び出して事情を説明してからずっと笑みが張りついてたな。つまりあの説明がいけなかったのか。なるほど。
強面のおじ様ごめんなさい。
心の中で謝る。
とりあえず痛いのとか全部我慢してください。私は私でレオナを助ける準備をします。
……耳せんよ、出てこい。
ポンッと可愛らしい音と同時に耳せん二つが出てきた。
「……」
サーラたちのほうを見ると、まだ治療を続けている。私は見なかったことにして、耳せんを装着。
外の音は聞こえなくなった。よし、頭をフル回転だ。




