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 今回は結構な量の魔石が採れた。あとは持って帰って魔力を込めるだけ。ただいつも魔石を採りに来るリュックだと少し小さくて魔石が溢れてしまう可能性がある。カグラの家まではカグラが少し持ってくれたからよかったけど、お店まで帰るとなると綺麗に入れないと危ないよなあ。これは私の歩き方と魔石の気合いが試される。


「おい、リラ」


「なに?」


「あのリュックじゃ危ないから、魔石をこれに詰め替えといた」


「そ、それは……!」


 ガラガラ鞄じゃないか。


 言葉として口からは出なかったけど、私の瞳はこれでもかというくらい輝いている。


 ちなみにガラガラ鞄とは、旅行には必須アイテムである足にローラーのついた鞄のことだ。そしてこのガラガラ鞄は熱にも強く寒さにも強い。なにより街中にある坂も楽々だし、山道もどんとこいときた優れもの。ただしお値段は優しくない。


「おお! これで帰りは楽できる! ありがとう、カグラ!」


「おう」


「あ、でも鞄ないと大変じゃない?」


「ああ。それ、お前にやるつもりで用意した」


「え!?」


「ただしそれを使うのは魔石採りのときだけにしろよ」


「うん、わかった! カグラありがとう! 次からはこれを持って来るね!」


 両手を上げて喜ぶ私を優しい目で見てるカグラは、なんとなくお父さんみたいだ。


 ……なんとなくだけど、カグラは奥さんと子供に甘いお父さんになるような気がする。でも駄目なことは駄目って言えるお父さんで。奥さんが子供にばかり構うから拗ねたりして、奥さんに甘えるんだ。うん。そう考えるとなんか可愛い夫だ。


「リラ!」


「ん、なに?」


「俺は子供に嫉妬したりはしない」


「……れれ、もしかして声に出てた?」


「思いっきりな」


「うー、わお」


「昔っから言ってるがあんま脳内の考えを声に出さないようにな」


「はーい! せんせー!」


「どうした?」


「無意識の場合はどうしたらいいですかー?」


「口にガムテープを貼れ」


「嫌でーす」


「じゃ、特訓しろ」


「頑張りまーす!」


 このあと数時間に渡りこの会話は繰り広げられ、気づいたときには薬が浸透していたのでガラガラ鞄を持って商店街に帰りました。


 明日は魔石に魔力を込める作業をしなきゃ。早くお店が開けられる状態にしようと思います。

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