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『おい、リラ。原因がわかったぞ』


 クダラのその言葉に私の体は瞬間的に動く。


「なんだった?」


『ここに入ってきた数人の男たちがクリスタルを無理矢理採ろうとしたのが原因だ』


「男たちが……」


「恐らくどこぞのギルドか冒険者だろうな」


「そうだろうね。サーラ、お願い」


『お任せあれ』


 そう言うと、サーラは癒しの歌を口ずさみ始めた。


 これでクリスタルたちが光の砂になっていくのが止まるといいけど。


 それにしても……クリスタルを無理矢理採ろうとするだなんてなにを考えているんだ。


 そう思っていると眉間に皺が寄ってしまう。


 違う。男たちはなにも考えていないんだ。ただ言われた仕事をこなしただけだろう。クリスタルや魔石のことを知らない人間がここを荒らした。そしてクリスタルたちを傷つけた。


 それだけ。

 それだけ、だけど許せるものではない。


 ぎゅっと握った両手に力が入る。


「リラ」


「え、あ、なに?」


「俺がここの洞窟の守りをさらに固める。次はない。安心しろ」


「……ありがとう」


「俺も頭にきてるからな。絶対に荒らしたやつらを許さねぇ。次来ようものなら――」


 ゴキンッと骨が鳴る音が隣から聞こえた。その音に驚いてカグラを見るとすごい形相で拳を握っている。


「カ、カグラ? 今の痛くなかった? すごい音が聞こえたけど」


「問題ねぇよ。大丈夫だ」


「そ? それならよかった」


『リラ! クリスタルの癒し終わったぞ!』


 クダラの元気でぶっきらぼうな声で呼ばれる。私たちはクリスタルとサーラがいるところまで歩き出す。


「……よかった」


 クダラの言う通り、クリスタルたちはいつものように淡い光をゆらゆらと放っていた。そしてその中には魔石となる焔が燃えている。


『これで大丈夫ですよ』


「ありがとう。サーラ」


『お役にたててよかったですわ』


『ほら、早く焔を採れよ』


「うん」


 大丈夫だとは思うけど、私が触れたらパーンってならないかな。


「ふー」


 大丈夫。いつもと同じように焔を取り出すんだ。


 私は深呼吸して、淡く光を放つクリスタルに手を伸ばし優しく触る。


 つるつるしていて、ほんのりと温かい。


 温かいのはクリスタルが生きている証。人のように動いたり話したりできないけど、クリスタルは生きている。


「焔を、私にください」


 ――ツィン。


 どうぞ、と返事をくれるクリスタル。消えるときとは違う、いつもの音に安心して笑みが零れる。


「ありがとう」


 クリスタルを一度撫でて私は魔力を手に集中させる。そして魔力を纏った私の手はクリスタルの中へ沈んでいく。


 紅くゆらゆらと燃えている焔に触れて、潰さないように優しく包み込む。あとはクリスタルから取り出すだけ。


「……」


 少しずつ外気に触れさせていく。すると徐々に石のようになっていくのだ。これを何度も繰り返して魔石を採る。


「相変わらず綺麗に取り出すな」


「ありがとう」


 ……よかった。私に拒否反応を起こして光の砂にならなくて。


「ふー、熱くなってきた」


「火傷したか?」


「まだ大丈夫。あと二つくらいは採れる予定」


「無理そうだったら諦めろよ。泊まってもいいから」


「うん。ありがとう」


 クリスタルの中にある焔は熱い。なので取り出すときに魔力を手に纏わなくてはならないのだ。だけど何度もこの作業を繰り返すと火傷をする。だから魔石を採るときはいろいろと気を付けなくてはならない。


 もし火傷をしたらそれ用の薬があるのでそれを塗る。今日もちゃんと鞄に入れてきた。終わったら、念のためカグラに塗ってもらおう。

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