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 はい、早くも洞窟の前まで辿り着いた私たち。そこで問題が一つ発生した。


『帰れ。帰れ。ちんちくりん帰れ』


 そう。よく洞窟とかに棲み着くモンスターが目の前で私たちに暴言を吐いているのだ。


『帰れ。帰れ。貧乳帰れ』


 地味に傷つくようなことを言われて、私の心はダメージを受ける。だがしかしその程度のダメージで引き下がるわけにはいかない。なぜなら魔石がないと仕事ができないから。手ぶらで帰ったらなんのためにこの寒い山を登ったのかわからなくなってしまう。


「その洞窟に用があるから帰るわけにはいかないんだよ。ね? カグラ」


 言いながら隣にいるカグラを見ると、そこにいるはずのカグラの姿がなかった。


 ……あれ、どこに行った。ついさっきまで隣にいたのに。


 辺りを見回してみるが、カグラの姿を見つけることができない。


『帰れ。かえ、ちょ、え、あ、焦げる焦げるっ!』


 モンスターが慌て始めたなあと思ったらもくもくとモンスターの回りを……ん、あ、違うな。あれはモンスターの尻尾が煙を出しているんだ。つまりモンスターは焼かれてるってことなのかな。


「うわあ、可哀想に」


 あ、でもこのモンスターってよく非常食とかに使われてるよね。なんか味は焼き芋みたいで美味しいらしい。私は一度も食べたことがないから知らないけど。まさかここで食べられることになるとは。寒いからちょうどよかったかもしれない。


『焦げる焦げる焦げる焦げる』


「一度食べてみたかったけど……なんか呪文みたいに焦げるって言ってるモンスターを食べたくはないなあ」


 うん、なんか怖いし。食べたあとも今みたいにお腹から呪文みたいなのが聞こえても嫌だしね。それになんだか呪われそう。


 なんて考えているうちにモンスターは美味しそうに焼けていた。


「よし、とりあえずモンスターは美味しそうにやけているし邪魔をするものはいない」


 魔石を採りに行こうと歩き出したところで、カグラがいないことを思い出した。


 うーん。どこへ行っちゃったのかな。もしかして迷子とか。いや、それはあり得ないな。カグラは私じゃないし。ここらの案内役をしてるんだから、迷うことはないと思う。


「あれ……?」


 そう言えばなんで突然モンスターは燃え始めたんだろう。


 カグラが私の隣から姿を消した。

 そのタイミングでモンスターが焼かれ始める。


「ああ、そっか。そういうことか」


 なるほどなるほど、と納得して再び歩き出す。


「じゃ、カグラ達者でな」


「待て待て待て」


「リラはカグラを置いていくを選択した」


「ちょっと待てって!」


「リラのパーティーが一人減った」


「待てって言ってんだろ?」


「いたいいたいいたいっ。ちょ、頭がミシミシ悲鳴をあげてるよ」


「知るか、アホ!」


「わかった、わかったよ。カグラはリラの仲間になった。これでいいでしょ!?」


「よし、お前の立場を忘れるなよ。誰がモンスターを倒したと思ってるんだ」


「カグラでしょ。モンスター倒してくれてありがとう」


「おう」


 満足気に返事をしたあと私の頭は解放された。


 痛かった。それはもう泣きたくなるほど。


 もう今の私から出てくる言葉は、とりあえず痛かった。

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