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魔法石

 魔法石。

 それは魔石に魔力を込めたもの。


 魔石。

 それは極寒の地にしかできないクリスタルの中にある、小さな焔のこと。そしてクリスタルから焔を取り出すと、それは石のように固まる。


 それはそれは美しい石。

 まだ暗い朝の時間帯。


 いつもの私だったなら、ベッドの中でグッスリと寝ているだろう。だがしかし今日の私はとても早く起きて小さな山小屋へと来ていた。


 扉の前に立ち、息を吐き出す。そして扉を壊す勢いでドンドンドンと叩き、中にいる住人を起こそうと頑張る。


「おーい、朝だよー! 起きる時間だ……」


「さっきからぴーぴーうるさいんだよ! このど阿呆がっ!」


 扉がばっと開いたので、それにあわせて少し避ける。出てきた人物は私の言葉に被さるように暴言を吐いた。


「あれ、どうしたの? 機嫌悪いね」


「テメェのせいでな」


「ささ、早く顔洗って着替えを済ませてください」


「お前は何様だ」


「魔法石職人様だ」


「そうだったな。聞いた俺が悪かった」


 数分の間にやつれたように感じる……が、そんなことを気にする私ではない。


「で、なんの用だ?」


「魔石案内をしてほしくて。材料なくなって仕事できないから、急ぎでお願いしたい」


「帰れ」


「断る」


「俺は寝てぇんだ」


「起きたとき、地獄に堕ちるよりも後悔することが待ってるかもしれないよ」


「……」


「それでもいいなら、私は止めない」


「はああああ……準備してくるから大人しく待ってろ。それから人を脅すな。いいな?」


「はーい」


 私は小屋の中にお邪魔して暖をとる。


 魔法石の元になる魔石は寒い冬山でしか採れない。つまり現在進行でとても寒いのだ。あ、もっと言えば魔石のある場所は氷が至るところに張っている。だから気をつけないと落ちてきた氷で怪我をしたりする。


「……」


 ちょっと暇になってきた私は脱衣所へと向かい、シャワーを浴びているカグラに話しかけてみる。


「カグラ、まだかーい?」


「ばっ、入ってくんな!」


「完全には入ってない」


「テメェのやってることはそこらにいる変態と変わんねぇぞ!」


「いやいや、だから完全には入ってないって」


「とりあえず出てけ! タオルがテメェ側にあって拭けねぇんだよっ!」


「わかった、わかったからそんな怒んないでよ。ちょっとしたお茶目なんだから」


「お前は一応! 一応、女なんだからな! 少しは警戒しろ!」


「そんなに一応を強調しないでよ。悲しくなるじゃないか」


「……なんかお前、性格変わったか?」


「え、いや、昔からこうだけど」


「いや、嘘だろ」


「嘘じゃないって。でもまあ、うん……なんかいろいろ吹っ切れたから、性格変わったかもしれない」


「ま、いいんじゃねぇの」


 なんかクツクツと喉で笑ってる音が聞こえる。


「あ、でも変態行為は控えろ」


 付けたされた言葉に私は笑った。

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