表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/125

11/20に読んでくださった皆様へ。

申し訳ありませんが内容変更を致しました。

 あのあと何十回と繰り返された魔王ごっこは、夕暮れの鐘が鳴ったことにより終わりを迎えた。


「じゃーな! 今日も楽しかったぜ!」


「二人ともまたやろうな!」


「またやろうね。気をつけて帰るんだよー」


「おう!」


「姉ちゃんたちも気をつけろよー! じゃーな!」


 きらきらと輝く笑顔を見せて、少年たちは家へと帰っていった。


 私とゼノも魔王城へ帰ろうとしたのだが……腕をくんっと引っ張られ、先に進むことを止められる。


「ん、どうしたの? なにかあった?」


「……あー、いや、なんでもない」


 気まずそうにずらされる視線。


 私はゼノになにかしただろうか。んー……ああ、なるほどなるほど。そういうことか。


「ゼノ、どっか寄ってく?」


「寄る」


 私の考えがあっていたようで、ゼノは即答した。


 とりあえず時間が潰せればいいのだ。魔王城のみんなが寝静まるその時まで。なので喫茶店などのお店はなるべく避けたほうがいいだろう。お店の人に迷惑をかけてしまうし。


 んー、どこがいいのか悩むな。無難に山とか海とかかな。


「ねえ、ゼノはどこに寄りたい?」


「……お前の店」


「え?」


「お前の店がいい……」


「私のお店?」


「おう」


「楽しいものとか、なにもないよ」


「気にしない」


「そう? まあ、ゼノがいいなら私のお店に行こうか」


 私がそう言うと。


「……あー! なんか腹減ったな! 食い物買っていこうぜ!」


 ゼノはなんの前触れもなく私を置いて走り出した。


「え! なんでっ!? なんで突然走り出した!?」


 突然のゼノの行動に驚き、私は叫ぶように言葉を放っていた。そして私は慌ててゼノの後を追う。もちろん全力でだ。そうでなければ、もうすでに姿が見えなくなったゼノに追いつくことは出来ないだろう。


 えー……この先にあるお店は一軒だけだから、見失うことはないはず。うん、たぶん大丈夫だ。どうにかなるだろう。それよりも、ゼノが少しでも元気になってくれてよかった。


 そう思いながら、私は悲鳴をあげる体で走り続けるのだった。



            ***



「ゼノ、ここが私のお店だよ」


「おおっ……! 初めて来たけど、お前の店だってすぐにわかるな!」


「それ、どういう意味?」


「うーん。例えるなら熱々の鍋を大勢でつついてる、みたいな雰囲気だな!」


「……褒められてる?」


「おう! もちろんだ!!」


 ばしばしと私の背中を景気よく叩くゼノ。


 うん、ゼノよ。頼むから力加減を知ってくれ。


「ゼノ、背中が痛い」


「ん、ああ! 悪い! 平気か?」


「一応……生きてはいる」


 きっと背中は赤いだろうけど。


 それは言わずに、ゼノの手を引き一緒にお店の中に入る。


「静かだな。パートナーはどうした?」


「今日はねおやすみ。いつもお店のことを任せっきりにしちゃうし、お休みがないのもおかしいでしょう。だから今日と明日、明後日はお休みなの。それで今は小旅行中なんだ」


「へー。それじゃあ今日は一人なんだな」


「そうだよ。さ、ご飯にしよ」


「おう」


 買ってきた大量のご飯を机いっぱいに並べ、それぞれ取り皿を持って食べ始める。そしてしばらくして大量にあったご飯を食べ終え、お茶を飲みながらゆっくり休もうと思っていたのだが……。


「なあ、リラ。俺にお前の造った魔法石を見せてくれ」


「今?」


「今」


「ここで?」


「工房でもいい」


 という会話が繰り広げられ、私たちは工房に移動する。


「ここが工房」


「へえ、ここが。想像より広いな」


 ゼノは工房の中へ入ると、左手を顎にあてふむふむと納得する仕草を見せた。


「リラ。お前は本当にすごいな」


 なんの前触れもなく伝えられた、真っ直ぐな褒め言葉。私はその言葉に首を傾げた。


 私のなにがすごいのか、それがわからないからだ。


「……」


「お前、なにについて言われてるかわかってないだろ」


「ごめん。わからない」


「これ」


 ゼノが指差した物を見ると――。


「魔法石?」


 今のでよけいに褒められた意味がわからなくなってしまった。なぜならあの魔法石に特別なことはしていないからだ。


 なので……うーん。申し訳ないけど、なにがすごいのかがわからない。


 私は首を傾げるばかりだ。


「この魔法石は、生きている」


「うん」


「魔力の入れ方が下手だと、ここまで生き生きとはしない。もっと言えば、この魔法石には感情があり持ち主を想う気持ちがある」


「……」


「ここにある魔法石は全部、眩しいくらい輝いている」


 ゼノが私に優しく笑いかける。


「お前はどんどん成長していくな」


「私自身のことはよくわからないけど、ゼノは成長してると思うよ」


「そうか?」


「うん」


「……まあ成長したかどうかなんて、本人はわからないもんだよな!」


「うん、そう思う」


「ふはっ、なんかそう思うと元気が出てきた!」


 私が気づいていないだけで、なにか悩んでいたんだろうか。


「……あ、そうだ! ゼノ、ちょっと待っててね」


 えっと、確かこの辺りにしまっておいたはず。


「あったあった! はい、これプレゼント!」


 ゼノに小さな箱を手渡す。ゼノは突然の出来事にきょとんとしながらも、箱を開けていた。


「……! おまっ、これ」


「どう? いい出来だと思うんだけど」


「おおっ! おおおおっ! これ、すごくかっこいいな!」


 瞳をきらきらと輝かせ、子供のように喜んでくれるゼノ。その反応に、私の心はぽっかぽかだ。


 表情もにんまりとしてしまう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ