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 ランの家に着いた私は魔法で門を飛び越え中に入った。


「ラン。不法侵入ごめんっ……!」


 誰の耳にも届かないけど謝りつつ、ファラさんの部屋まで全力で走る。


 ……走っていると、悲しそうなファラさんの声が聞こえた。内容は耳に届く音が小さすぎてわからなかったけど、確かに声が聞こえた。


 泣いていている気がする。早くファラさんに会いたい。そして話がしたい。


 ファラさんの部屋に辿り着いた私は、扉を開けて勢いよく中に入った。


「な、に……」


 中に入った私は……固まるしかなかった。


 部屋全てを覆い尽くすクリスタルが視界を埋める。数日前に来たときとは全く違うその部屋の中心に、ファラさんはいた。


「ファラさん!」


 ファラさん以外誰もいない部屋で、私は彼女の名を叫んだ。そしてファラさんに駆け寄る。


「……」


 綺麗な顔で眠るファラさんは、まるで宝石のよう。

そうじゃない……彼女は宝石になり始めているんだ。


「リラ」


 名前を呼ばれて振り向くと、そこには魔法医師のぺナットがいた。


「その子の友達なんだってね」


「うん……」


「馬鹿だね、あんたは」


 言い返そうと思ったけど、眉を下げている彼女を見たら言えなかった。


「関わらなかったら、そんな思いをしなくてすんだのに」


「……」


「あの時だってそうだ。私は止めたのにお前は聞かなかった」


「だって、見せてあげたかったの」


「そうだね。そういう思いを抱くことはいいことだと思う」


「……」


「だが、ラタ族の奴らは頑張ったお前を裏切った」


「それは違うよ! 私は裏切られてない……!」


「違わない。お前の前で消えるということは、裏切りだ」


「それは……!」


 確かに悲しかったし、苦しかった。だけどそれは裏切りじゃないよ。


 あれはルアの優しさだったと思うんだ。

 だから、私は裏切られたなんて思ってないよ。


 それにファラさんはまだ消えてないし、宝石にもなってない。あの時とは違う。まだファラさんと話せる時間がある。


 それなら会いに行こうじゃないか。


「私、ファラさんと話をしてくる」


「本気か?」


「本気だよ。だって私はファラさんの友達だから」


 笑って、まっすぐぺナットを見つめる。


 私はまだファラさんを知らない。それなら、ファラさんが気持ちをぶつけてくれるくらい話をしよう。


「あの時と似たような別れがくるかもしれない……それでも行くのか」


「うん。どんな結末が待っていても、行って話してくる」


 私はぺナットの目をまっすぐ見つめ続け、はっきり自分の気持ちを伝えた。すると彼女は眉を下げて、悲しそうな声色で言葉を放つ。


「決めたんだな……」


「うん! だってこのまま別れるほうが悲しいから」


「必ず帰ってこいよ」


「もちろん! 帰ってくるよ」


「絶対だからな」


 念を押すように言われる。


 きっと私が帰ってこなかったら、自分を責めてしまうんだろうな。ぺナットは不器用だけど優しい。だから私を心配してくれる。


 そんな彼女に言われたら、帰らないわけないじゃないか。


「うん、約束」


 笑って、指切りをした。


 大丈夫だよ。どんなことになっても必ず帰ってくるから。


「……よしっ! ファラさん、今行きますからね」


 ファラさんの額に触れて、意識を集中する。すると映像が見えてきて、私はそこに潜った。


 どうか、ファラさんが夢を諦めていませんように。

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