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 あれからローズさんと一緒に家に帰って、ユンさんたちに事情を話した。すると二人は眉をひそめ、少し重い声で言葉を発した。


「リラさんが無事に帰ってきてくれたので安心しましたけど、大変なことに巻き込まれましたね」


「ごめんなさい。仕事を任せっぱなしにした上二人に迷惑をかけて」


「僕たちのことは気にしなくて大丈夫ですよ。ただリラさんがまだ大変な状況であることが心配です。しかも囮ですか……」


「あ、私こそ大丈夫ですよ! それにほら! 捕まえられたら私たち職人も少し安心しますし!」


「……」


 ぽん、とユンさんの手が頭の上に置かれる。


「絶対に無理をしたら駄目ですよ。僕もあなたを全力で守りますが、絶対に守りきれるとは限りませんから。だから絶対に無理はしないでください」


 いつもはもっと柔らかに「大丈夫ですよ」と笑顔で言ってくれるユンさんの表情がとても真剣で、私は改めて自分がする囮の危険さを感じる。


 囮をすることに対して楽観視していたわけではないけど、それによって回りの人たちにとても心配をかける行為だということを失念していた。


「はい。絶対に無理はしません。だからユンさんも無理しないでくださいね」


「わかりました。リラさん、約束ですよ」


「はい」


 私の返事を聞いたユンさんが少し笑ってくれた。だけどいつものような笑顔ではない。すっごく心配をかけてる。


「ん……?」


 左側から手を握られて、誰だろうと思ったらルカ君だった。


「ルカ君?」


「……リラ、大丈夫?」


「大丈夫だよ。ありがとう」


「……リラが囮をするのはすごく心配だけど、無事な姿を見られて安心してる。おかえり」


「っ……! ただいま」


 ぶわっと気持ちが溢れてルカ君を思いっきり抱き締める。ルカ君はそっと私の背中に手を添えてくれた。そしてゆっくり撫でてくれる。


「……俺もリラの力になりたい。だから頼ってね」


「うん。ありがとう。ルカくんも怪我しないでね。私も気をつけるから!」


 二人が怪我をせず、自分も怪我をしない。それから上手に囮をやって捕まえるんだ。頑張るぞと心の中で意気込みながらぐっと拳を握り話す。


 その様子を見ていたローズさんが「私も頑張りますね。リラさん」と笑顔で言った。


「ローズさんもありがとうございます。それからよろしくお願いします」


「こちらこそご協力ありがとうございます。それでは皆さんにも作戦の内容をお伝えします」


「はい! お願いします!」


 ローズさんから作戦内容が伝えられ、あとはイズルの合図が来るのを待つだけとなった。


 合図が来るまでは普通の生活。怪しい人物が商店街付近にいた場合、私は速やかに隠れる。その際ルカ君が私と一緒に来てくれることになった。


 ……私は本当に恵まれている。こんなにも優しくて寄り添ってくれる人たちがいるのだから。


 だからこそしっかりしなくては。囮になるって決めたのは私だ。そしてみんなを巻き込んでしまったのも。


 不安はどこかのお山に投げ捨ててさよなら。勇気や冷静さは拾ってこんにちは。よろしく。


 よし。それじゃあ今から頑張るぞ。とりあえず魔法石を大量に造ってしまわなければ。このままだとお店に品物がない状態になってしまう。それだけは避けなくては。

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