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魔法石職人と怪盗団

「リラ、ごめん。相談なんだけどさ、盗賊団を捕まえるための餌になってくれない? 絶対にリラの安全は保証する」


 イズルの言葉に驚きながらも頭を働かせる。ここで氷山の一角でも盗賊団を捕まえることが出来たなら、恐らく他の悪党も動きづらくなるはず。ならば私の答えは決まっている。


「なる。まあ、私で釣れるかは微妙なところだけどね」


「釣れるさ。リラはいい職人だからね」


「ありがとう。でもさっきから私のこと褒めすぎじゃないかな」


「ん? 俺は本当のこと言ってるだけ」


「う……ありがとう。それでどう餌になったらいいの?」


 イズルの言葉に照れて、少し言葉が出づらくってしまって変な感じになったけど気にしない。


「準備ができたら話すから待っててくれる? それまでは俺の部下と一緒にいて」


「わかった。部下の人とはどこで会えばいい?」


「それはちょっと待ってね」


 イズルはそう言うと、靴底をカツンッと鳴らした。


 するとどこから現れたのか、私の前に綺麗な女性が。彼女のふわっとした桃色の髪が靡いている。


「はじめまして。リラ・クリスさん。私はローズと申します。イズル隊の隊員でイズルの妹です」


 私はその言葉に、イズルとローズさんの顔を交互に見る。するとイズルが笑いながら頷いた。


「俺の妹に会うの初めてだよねー。妹は父親似なんだよ。それで俺が母親似」


「なるほど」


 ローズさんは涼やかな綺麗さで、イズルは爽やかな美形だ。あれ、私の回りにいる人たちって美人さん多くないか。気のせいか。いや、気のせいじゃない。すごい豪華だ。前にも思った気がする。と、違う。そうじゃない。私まだローズさんに挨拶してない。


「すみません。挨拶が遅れました。はじめまして。ローズさん」


 慌ててローズさんに頭を下げる。すると、くすくすとローズさんの笑い声が聞こえてきた。なので頭を上げてローズさんを見ると、すっごく可愛らしい笑顔を浮かべていました。


「ふふ。兄が話してくれた通り可愛らしい方ですね、リラさんって」


 ーーずっきゅん。何かが胸に刺さった。笑うと綺麗って言うより、可愛い。どうしよう。胸を鷲掴みにされた。そして美人さんに可愛いって言われた。ありがとうございます。


「しばらくの間よろしくお願いします。何かあれば守りますのでご安心ください」


「ありがとうございます。それからよろしくお願いします」


「はい」


「あ、でもローズさんが怪我をするのは嫌なので無理しないでくださいね」


「……はい。わかりました」


 ローズさんは私の言葉にきょとんとしてから、微笑んだ。


「リラ。準備が終わるまでは普通に生活して大丈夫だから」


「え、いいの?」


「うん。回りに別の部下を配置しておくから、もし奴らが来たらその時は隠れてもらうけど」


「そっか。うん、わかった。ありがとう。私、どこかに隠れて準備が終わるのを待ってなきゃって思ってたから」


「リラにはリラの生活があるしね。協力してもらうのに窮屈な思いはさせたくないから」


「本当にありがとう、イズル」


 わしゃわしゃと頭を撫でるイズル。


「絶対に守るからね、リラ」


「私も絶対に守りますから」


 私は二人の言葉に頷く。優しい人たちだ。だからこの人たちが傷つきそうになったら、私が魔法で守る。

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