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 あれから色々とあって屋敷内へと侵入した私たちは、待っていたとばかりに用意された罠に今のところ私だけが捕まったという状況になっている。


 あの二人は逃げ切れただろうか。今はそれだけが心配だ。


 捕まっている私は今、ただの縄に縛られている。いつもなら魔法を使ってちょちょいのちょいだが、魔力封じの札が縄に貼られていて魔法を使うことが出来ず逃げ出すことができない。


 ……これは非常にまずい問題だ。このままだとなにをされるかわかったものではない。


 悪あがきかもしれないが、色々と試してみる。


 そうこうしている内にこつこつと誰かが歩いてくる音が聞こえた。そして開かれる扉。


「はじめまして。職人殿」


 そう言って私に近づいてきたこの男がさっきあの子が言っていた優男だろう。男は私の前に現れてからずっと笑っている。嫌な笑みだ。


「なかなか綺麗な顔立ちをしていらっしゃる」


「触らないで」


 私の顔に伸ばされた手を見ずに男の顔を睨み付け言葉を放つ。


「いいですね。その瞳。ぞくぞくしますよ。私は強気な女性が好みなんです」


 うっとりとした表情で私の頬を撫でた。


 瞬間、ぞわっとしたなにかが体中を駆け回った。とても気持ちが悪い。


「あなたもオークションに出そうかと思っていましたが、それは止めることにします」


「……」


「あなたを私の所有物にし、未来永劫可愛がって差し「お断りします。それにそんな未来は永遠にやって来ない」おや、随分と私は嫌われてしまったようだな」


 言葉だけ見れば本当に残念に思っているように見えるだろう。だがしかし顔を見るとそんなことはない。なぜって……私の目の前にいるこの男が変わらず笑っているからだ。嬉しそうに。愉しそうに。


「それではこうしよう。君の造った五色星魔法石をオークションには出さず、君に返す。その上で君を私の所有物にし、君に依頼するという形で魔法石を造ってもらう。どうだい? それなら問題ないだろう?」


「は……?」


 いやいやいやいや問題大ありだ。なぜ私がこの人の所有物になることが大前提であるんだ。


「なにかご不満が?」


「不満しかないんですが」


「ふむ。依頼した分のお金はお支払しますよ。それから生活面で必要な物に関してもお金を出します」


 駄目だ。この人、話通じない。こうだと決めたら梃子でも動かないんじゃないか。


 なんかさっきよりもまずい状況になっている気がしないでもないぞ。


 逃げ出す方法を考えるがなにも思い付かないし、絶体絶命だ。

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