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スネークフット ”Das Vater"

以下の話は蛇足である。


 伊達幕府が歴史を閉じてから百数十年後、アメリカ合衆国で大規模なスペースオペラが連続ドラマと映画という形で制作された。その題名を“Das Vater”という。


 第一部では銀河帝国皇帝の側近、『漆黒卿』は高速宇宙戦艦金剛星ダイヤモンドスター、別名『デース・スター』を駆り、側近のサケさん(鮭延)、カタさん(片倉)を連れて宇宙を駆け巡る。その目的は帝国の平和を乱す悪の共和国が送り込んでくるインジャ(隠者)の陰謀を防ぐことであった。そしてそれとともに生き別れの息子を探すべく漆黒卿が活躍するのである。


毎回の見どころは漆黒卿とインジャマスターとの光剣による戦闘であり、その殺陣の素晴らしさは伝説的であった。インジャマスターとの戦闘が終わると、サケさん、カクさんが『控えい、控えい、この方こそが帝国に全権を与えられた『漆黒卿』なるぞ、頭が高い』と人々を平伏させる。そしてデース・スターに搭載された超兵器『エンジェル・インロゥ』を起動し、全てを滅すると漆黒卿はデース・スターの艦橋で『カッカッカ』と快活に笑い、次の星へ向かっていく、というのは基本的な流れであった。


 話が進むうちにインジャマスターの黒幕であるマスターインジャマスター『Wild Buffaloヤギュー』なる組織の存在が明らかになってくる。漆黒卿はヤギュー一族の陰謀を防ぐべく奮戦し、ついに息子であるダット・ドラゴンにであう。しかしダット・ドラゴンはヤギュー一族に洗脳され、最強のインジャマスターとなっていたのだ。


 ヤギュー一族やダットドラゴンとの死闘の上、ついに漆黒卿はヤギュー一族を打ち倒す。第一部で最大の名場面と言われたのはそののち、漆黒卿が“Come with me my son. I am your father.” (ともに来るのだ、我が息子よ。我こそはそなたの父なり。)と語りかけ、ついに漆黒卿が父であることを悟ったダットが手を取り、固く抱き合ったシーンであり、全米が感動の涙に包まれたと言う。


ダットと和解し、共和国の陰謀を防いだ漆黒卿は最後に劇中ずっと装着していた兜を外す。そこから現れたのは絶世の美少女であった。漆黒卿がダットをインジャに奪われた際、伝説のインジャマスター『一之帯オビワン』と戦闘になり、溶岩に叩き込まれて全身をボロボロにされて瀕死となってしまった。そして漆黒卿は、不幸な事故で脳死となっていた伝説の美少女の体を素体として蘇っていたのである。このドラマが放映された際、『“Das Vater”ってなんだよ。Dasは中性で父なんだから”Der“だろ!』と散々突っ込まれたのだが、ここでそれは漆黒卿が男女両方の存在である、ということを暗示していたのがわかり、視聴者は手首を高速ドリルさせたのであった。



続いて放映された第二部ではダット・ドラゴンが主役となる。その正体が美少女であることを銀河帝国皇帝に知られてしまった漆黒卿は、皇帝の寵姫とされてしまったのだ。

父を救うべくダット・ドラゴンは軍で戦功を上げ続け、ついに帝国の関白の座に就くことに成功する。


関白となったダットは帝国を壟断していた佞臣ナカーノ・ムネートキを中心とした貴族連合を打倒し、銀河を統一するべく共和国に対して進軍を始める。軍を指揮することにおいて天才的な才能があったダットは次々と共和国軍を打ち破るが、そこに立ちはだかったのは共和国最大の天才で『6つの宇宙を自在に操る』と称されたマオー・オダであった。


天才マオー・オダの出現にダットは何度も苦渋を飲まされ、帝国は逆に共和国に脅かされるようになる。そしてあわや残る星系もわずかとなったところでマオー・オダは『Planet “Temple of instinct“(本能寺星)』で家臣キリン・ミツヒデの謀反により本能寺星ごと爆散する。マオー・オダは目的のためには手段を問わず、一星まるごと爆破して滅ぼすなど果断な性格であった。そのあまりにも苛烈はやり方に民主主義的な秩序を重んじるキリン・ミツヒデは耐えられず、ついに謀反を起こしたのだ。


マオー・オダを滅ぼし、残る僅かな帝国残党を滅ぼせば共和国による平和が実現できる、と見上げたミツヒデの眼前に写ったのはダット率いる帝国の大艦隊であった。後に『大返し』と言われるこの動きは共和国の攻撃に偽装敗走し、十二分に戦力を用意した上で帝国の奥深くまで侵攻していた共和国軍を包囲殲滅したのである。


 ミツヒデの艦を撃沈したダットの旗艦に『マオー・オダからの遺言』なる通信筒が届けられた。そこで自らの滅びを悟ったマオーはダットに『お前は虎だ、虎になるのだ。』といい、『国譲り状』を与えたのである。


 共和国の主力のほぼ全てを動員していたマオー艦隊を滅ぼした今となってはダットの向かう先に敵はなかった。ダットは神速の艦隊運営で共和国へ侵攻し、またたく間に滅ぼしたのである。そしてマオー・オダの遺言通りダット・ドラゴンはダット・タイガーに改名し、銀河帝国と共和国を統一すると皇帝から禅譲を受け、『タイガー帝国』を打ち立てたのであった。



 第三部はその数十年後の話となる。元共和国領の辺境、惑星テラ。ここでは共和国の掲げる民主主義を信じる人々が暮らしていた。しかし惑星テラはすでに帝国の攻撃などによる環境破壊で滅亡寸前となっていた。

 テラの少年シロー・アマクサは滅びゆく惑星を救うべく、仲間たちとともに伝説の剣豪氏家卜全にちなんだ宇宙戦艦ヤーマ・ぼくに乗って皇帝ダット・タイガーに直訴するべく出発した。そして立ちはだかる帝国艦隊と死闘を繰り広げたのである。帝国の攻撃は苛烈であったが、数々の場面で技師長サナダさんの開発した装置と作戦で救われていく。

 孤独で頼るものもないヤーマ・卜であったが、謎の『タイガーマスク』によって物資などの援助を受け、銀河帝国の離宮星『アレクサンドロス』を向かって進んでいった。

 途中ライバルとなった名将ドズル中将に『戦いは数だよ兄ちゃん』などの教えを受け、シロ―は成長していく。


 そしてついに惑星アレクサンドロスにたどり着いたシローの前に立ちはだかったのは悪役公爵令嬢カタリナ・樺太からふとが操る機動装甲ヴァルナであった。

 ヴァルナの攻撃の前に窮地に陥ったシローたちであるが、ヤーマ・卜を海底に隠して陸上へ上がり、打開策を求めるうちにシローはカタリナと出会う。そして二人はいつしか恋仲になった。『カタリナは俺が守る!』と奮戦するシローであったが、(カタリナは乗ってないが)ヴァルナは二人を追い詰める。しかし、とどめを刺すべく着陸しようとしたヴァルナをカタリナがフォースを使った『土凸』で転倒させ、ヴァルナの破壊に成功したのであった。


 ヴァルナを退けたシローとカタリナは赤備騎士団長イイー・アカオニの犠牲などを乗り越えて、ついにアレクサンドロスの離宮にたどり着き、そこで老境のダット・タイガーに謁見した。そしてその声からシローはタイガーマスクの正体がダット・タイガーであったことを知る。ダットはシローの望みを聞き惑星テラを救う装置、『コスモダイソン』をシローに与える。その装置を持ってきたのは技師長サナダさんであった。サナダさんは帝国の技術上級大将であったのだ。ダットは出発のときからシローたちを見守ってきたことを話し、帝国が立ちふさがったのは惑星テラが救うに値するか見極めるための試練であった、と話す。


 その後ダットはシローにインジャマスターのすべてを教え、シローにインジャマスターの印可を与えた。シローたちはコスモダイソンをテラに持ち帰り、コスモダイソンが作動したテラは再び蒼き清浄な星となった。そしてシローとカタリナは蘇ったテラでカタリナの大好きな農作業に勤しみ、幸せに暮らしたのである。


 物語の最後はシローとカタリナの娘である今鹿女王が、蘇った蒼き清浄の星テラで、黄金にたなびく一面の稲穂の大地に降り立ち、豊穣を祝い踊るシーンで終わる。


 この大作“Das Vater”はその壮大さで長く人々に愛されたと言う。

これにて本当にひとまず完結です!この物語の流れですと歴史的に暗黒卿は正義の味方になるんでね?

と考えてしまったのがこの段になります。

これまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。


個人的には前半の奥州での戦を書くために伊達一族の文献やら城の縄張り図やら各拠点の配置やら街道やら

眺めて攻め方を考えている所が一番楽しかったです。天下を取ろうとこういう話にしましたが、信長か秀吉に降伏して

一旦規模を縮小し、関ケ原あたりで引っ掻き回して家康にスッキリ天下取らせず全国3分ぐらいの勢力になったところから決戦、でも良かったやもしれませぬ。(多分結構負けて終わりエンドかもw)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 感想返しありがとうございました。メッセージボックス開いて感想返しの数にビックリしましたよ。
[一言] お疲れ様でした。 本当に天下は誰かの手により制定されなくてはならなければ未完扱いは、制作側の負担大きいから辞めてもいいと思うんですよね。 俺たちの戦いはこれからも続く! のノリでいければ。…
[良い点] お疲れ様でした!次回作も楽しみにしています!
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