表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/328

4-10 北関東へ一時帰省


K都府、K都市。


東山(ひがしやま)山頂より、貴船(きふね)神社奥宮(おくのみや)へ龍脈開けて抜ける。


夜10時になろうとしている境内には、龍の巫女の伊織(いおり)さんが待って居てくれた。


周りを見ると閑散としていて、流石に有名どころの神社でも、夜10時ともなれば人は居ない。



「お帰りなさいませ……あら!? 子狐ちゃん達は、どうしたんですか?」


千尋(ちひろ)の術の巻き添えで、寝ちゃったのよ」


子狐ちゃんズを見て、吃驚(びっくり)する伊織(いおり)さんに、香住(かすみ)が説明をする。



すみませんね。龍達だけなら、耐性があるので大丈夫だったんだけど、子狐ちゃんズの事はすっかり忘れていたんだよ。



バツが悪いので、話題を変えようとして――――――


「そう言えば、宮司(ぐうじ)さんは?」


叔父(おじ)は、早寝早起きがモットーですから、もうお休みに成られました」


あぁ、朝の(みそぎ)御供(おそな)えがあるので、早めに寝たのか……懐かしいな。


僕も龍神に成る5月までは、毎朝やってたっけ?


今では御供(おそな)えを(そな)えられる側だし、境内の掃除ぐらいしかやっていない。


朝餉(あさげ)の用意も、神使の桔梗(ききょう)さんに任せっぱなしだしね。



「おやすみなら、騒がせる訳にも行かないし。一度、北関東の瑞樹(みずき)神社へ戻ろうか? 子狐ちゃんズを布団で寝せてあげたいから」


「確かに、騒いで宮司(ぐうじ)さん起こすのも悪いものね」


香住(かすみ)……騒がしくなる、自覚はあったんだ。


まあ……このメンバーで、静かにしている処なんて、想像もつかないけどね。



伊織(いおり)さんも一緒に来てくださいな。分霊(わけみたま)とはいえ、同じ淤加美(おかみ)様を祀る神社ですし、お茶を御馳走しますから」


「良いのですか? 実は少しだけ、龍脈移動に興味があったのです」


そうと決まれば、早速龍脈を開け、北関東の瑞樹(みずき)神社へ移動する。


夜も遅いので、当然ウチも参拝者は居ない。



瑞樹(みずき)神社へようこそ。所々修繕してあって、拝殿の見た目がちょっとアレだけど……あまり見ないでね」


そう言って、伊織(いおり)さんを歓迎するが――――――


「はえ~目がチカチカして視界がまだ……良く見えません。しかし、あれが地中を流れる地球の氣……龍脈ですか……初めて乗りました」


明るい龍脈の氣の中から、急に暗い外に出た為に、眼がまだ慣れていないようである。


しかし、その程度で済んでいるなら良い方だ。


小鳥遊(たかなし)先輩の兄である(たける)さんなんて、龍脈で氣酔いしてたしね。



そんな時、不満そうな2龍が――――――


「はぁ……不完全燃焼も良い処だ」


「あぁ、玄武(げんぶ)青龍(せいりゅう)も戦えなかったし」


セイと赤城(あかぎ)の龍神さんが肩を落として玄関へ向かって行く。



「お二人さん、そう腐りなさるな。朱雀(すざく)は任せるからさ」


「あん? どうせ大婆様(おおばばさま)か、香住(かすみ)嬢ちゃんに、手柄を持ってかれるんだろ?」


「そうでもなさそうだぞ。だって香住(かすみ)は、22時だし門限でしょ」


僕の言葉に門限を思い出したのか、慌ててスマホで時間を確認する香住(かすみ)


「やばっ!! そうだったわ」


香住(かすみ)は慌てて駆け出して、玄関の上がり(はな)に置いてある鞄を拾い上げると――――――


千尋(ちひろ)、明日学園に遅れないよう起きなさいよね! と釘を刺し、石段を駆ける様に降りて行った。


そんなに慌てて転がり落ちるなよ……というか、淵名(ふちな)の龍神さんを降ろさずに、連れて行っちゃったし。


まあ香住が気にしないなら、別に良いか……しかし、親にどうやって隠すんだか……



「あと淤加美(おかみ)様だけど……」



玄関の引き戸が乱暴に開けられたと思うと、豊玉姫(とよたまひめ)様が顔を出した――――――


淤加美(おかみ)よ!! 待っておったぞ!!」


その豊玉姫(とよたまひめ)様の後ろに、疲れ切った顔の弟神、穂高見(ほだかみ)様が居るところを見ると、ずっとゲームの練習に付き合わされて居たんだと推測できた。


「くっくっく。数日練習しただけの付け焼刃などで、(わらわ)を倒せると思うなよ」


そう言って、居間へ入って行く2柱の神。



「ほらな、これで香住(かすみ)淤加美(おかみ)様も、朱雀(すざく)戦には現れないぞ」



朱雀(すざく)戦はセイと赤城(あかぎ)さんのモノだ! と言ったら、二人でジャンケンを始めた。


どうやら、何方(どちら)朱雀(すざく)と戦うかを決めているらしい。


ていうかジャンケン出来るのかよ……


まあ、今はネットで何でも調べがつくし、どうせ何かのアニメでやってたんで、調べて覚えたのだろう。


僕に言わせれば、二人で共闘した方が楽で確実なのに……


朱雀(すざく)火氣(かき)の属性なので、水氣(すいき)相克(そうこく)に当たり、我ら水龍(すいりゅう)にとっても有利に戦えるのだから、その弱点の火氣をつかない手はない。



先程から、勝負がつきそうに無いので、取り合えずジャンケンに興じている二龍は放置で、伊織(いおり)さんを中へ案内すると――――――


玄関に神使(しんし)桔梗(ききょう)さんが現れて、寝ている子狐ちゃんズを受け取った。



「お帰りなさいまし千尋(ちひろ)様。そちらは、お客様ですか?」


桔梗(ききょう)さんの問いに、僕が紹介するより早く、伊織(いおり)さんは自己紹介を始める。


「夜分遅く済みません。私は貴船(きふね)神社にて、龍の巫女をし淤加美神(おかみのかみ)にお仕えしている。小川 伊織(おがわ いおり)と申します」


「これはご丁寧に、私は千尋(ちひろ)様の神使をして居ります。桔梗(ききょう)と言う者でございます」


二人でペコリとお辞儀をし合う。


伊織(いおり)さんは京でお世話に成ってるので、今日は瑞樹神社(ウチ)へ招待しました」


「なるほど、我が主がお世話に成って居るなら、失礼の無いよう、御もてなしをしなければ成りませんね。それに……香住(かすみ)師匠からも、料理の腕前が良いと伺っております」


そう言えば香住(かすみ)は最近、淵名(ふちな)の龍神さんに龍脈を開けて貰って、京の料理を教わりに行ってるんだったね。


伊織(いおり)さんも、実家が旅館をやってるせいか、料理の腕前もかなりのモノだった。


まさか桔梗(ききょう)さん……ライバル視してないよね?



「あの……桔梗(ききょう)さん。もう遅いから凝った料理とか良いので、お茶をお願いいたします」


深夜に凄い料理が出てき来ない様、一応釘を刺しておく。


僕の言葉を聞いて、ちょっとがっかり顔の桔梗(ききょう)さん。やっぱり凝った料理を、作ろうとして居たな? 危ない処であった。



取り合えず草履(ぞうり)を脱いだ僕は、子狐ちゃんズを再び受け取ると。桔梗(ききょう)さんに、伊織(いおり)さんを居間へ案内するようにお願いする。


そして、そのまま寝ている子狐達を、部屋へ抱きかかえていき、布団を敷いて寝せてやるが……


起きたら、絶対に文句言われそうだなぁ。


仕方がない、その時は素直に謝ろう……



子狐ちゃんズを布団に寝かせた後、僕が居間へ着くなり、どこか落ち着かないような伊織(いおり)さんを発見する。


「特に席は決まっていないので、どこでも空いている、好きな場所で(くつろ)いで貰って良いんですよ」


「あっ、千尋(ちひろ)様。なんだか広すぎて落ち着かないのです」


様はやめてって言ってるのに……仕方がないか。同じく龍の巫女である、神木(かみき)先輩もやめてくれないしね。少し(あきら)めモード。



「ウチの神社が広いのは、昔この辺りの村々の、寄り合い所だった時の名残で、皆が集まれるように、広く造られているんですよ」


「それで()れだけ広いのですね。納得です」


間仕切りを外せば、もっと広くなるけどね。



ぎゃあぎゃあ騒ぎながら、ゲームをしている淤加美(おかみ)様と豊玉姫(とよたま)様を他所に、テーブルの上に地図を広げる。


もう何時もの事なので、ウチの者は誰も注意せず2柱を放置であるが、どうやら伊織(いおり)さんは気になって仕方がない様だった。


「あのぅ……あちらの御方は?」


「え? そう言えば初めてですっけ? 海神の豊玉姫(とよたま)様ですよ。ほら、神話に出て来る黄色い船で川を上って、貴船(きふね)神社まで来たって言う玉依姫(たまよりひめ)の姉神様です」


「ええっ!! 玉依姫(たまよりひめ)様って、日本国初代天皇、神武天皇(じんむてんのう)の母君ではありませぬか!!」


「そうですねぇ。その姉神ですから、叔母(おば)に当た……あ痛!」


「誰がオバサンじゃ!!」


僕の頭に、豊玉姫(とよたま)様の投げた湯飲みがヒットする。


数千年も生きてて、まだ歳を気にするんですか?


僕が頭を擦っていると、穂高見(ほだかみ)様が湯飲みを拾い上げ――――――


「ウチの姉がすみません。今ゲームで負けてて、気が立ってますから」


そう言って、豊玉姫(とよたまひめ)様の代わりに謝る穂高見(ほだかみ)様。



「ウチの姉って言われますと……」


「そう、こちらは穂高見命(ほだかみのみこと)様。信州を起点として、日本の北側の海を統括する海神で、豊漁の神でもあります」


伊織(いおり)さんに分かりやすく、神話の説明を交えて紹介する。


「どうも穂高見(ほだかみ)です」


「あっ、はい! 私は貴船の龍の巫女で小川伊織(おがわいおり)と申します。お見知り置きを……」



自己紹介が済んだところで、僕は二人の姉弟神様達に――――――


「御二方は、御自分の(やしろ)へ帰らなくて良ろしいのですか?」


そう聞いてみると、姉の豊玉姫(とよたま)様はゲームに忙しいのか、代わりに穂高見(ほだかみ)様が――――――


「実は……ゲームを龍宮で出来ないかと、『ねっとかいせん』とか言うのを引いて貰う為、色々お店を回ったのですが……場所が海の底だと答えると、どの業者にも無理だと言われまして……」


そりゃあそうだ。水の中で息が出来ない人間では、潜水服に潜水艇でも用意して、ネット回線工事に(おもむ)かなきゃならないものねえ


無線のネット回線でも、海の底までは届かないだろうし……


成る程……それで帰らずに、瑞樹神社(ウチ)でゲームの練習してるのか、本当に負けず嫌いだなぁ。ウチの淤加美(おかみ)様も(しか)りだけどね。



この調子だと、当分ウチの神社に居るな……そう思っていると、神使(しんし)桔梗(ききょう)さんが、お茶と御茶請(おちゃう)けを持って現れる。



「はぁ……周りが神様達ばかりで、気後れしてしまいます」


「んー確かに、この神社で人間やってるのは、婆ちゃんぐらいだしねぇ」


「え!? 桔梗(ききょう)さんも神様だったのですか!?」



僕の言葉に、驚きの声を上げる伊織(いおり)さんだが、すぐに桔梗(ききょう)さんが訂正(ていせい)を入れてくる



「私は神様とは違いますよ。私はただの神使(しんし)ですから、神族とか(おそ)れ多いです」


「良かった、桔梗(ききょう)さんまで神様かと思っちゃいました」



いやいやいや、神族では無いというだけで、人間ではありませんから。


人の姿はしていても、桔梗(ききょう)さんは(かに)神使(しんし)だしね。


まぁ伊織(いおり)さんを、あまり驚かせるのもなんだし、桔梗(ききょう)さん本人が話す気が無いならそれで良いや。



僕は本題に入るべく、お茶に気を付けながら京の地図を広げ直す。



淤加美(おかみ)様。朱雀(すざく)はどの辺に居ると思われますか?」


南を護っているので、南側に居るのは間違いないだろうけど。当時の様子を知る、生き証人の淤加美(おかみ)様に聞くのが手っ取り早い。


「今忙しいのじゃ! 後にせんか!」


なんか怒られたし。


どうやら、豊玉姫(とよたまひめ)様が思ったよりゲームの腕前が上がっているので、苦戦しているようだ。



淤加美(おかみ)様が当てにならないので、タブレット端末を取りに行こうかと思っていると、伊織(いおり)さんが――――――


「あのぅ……廊下から(のぞ)いてる子が居るんですが……」


伊織(いおり)さんの視線の先を追うと、廊下から顔を少しだけ出して、居間の中を窺う伍頭目(ごとうめ)ちゃんの姿があった。


実は、オロチの心臓と融合しかけた騒ぎがあってから、怖くて近寄ってこなくなってしまったのだ。



どうしたものかと思ていると――――――


千尋(ちひろ)…………あの変な勾玉(まがたま)は?」


心配そうに、伍頭目ちゃんが聞いてくる。


最近ずっと避けられてたので、久しぶりに声を聞いた気がして、少し懐かしく思えた。



勾玉(まがたま)は今は持って無いよ。ほら」


そう言って自分の胸元を開くと、勾玉(まがたま)のアクセサリーをつけていない事を証明する。



千尋(ちひろ)! 御主、勾玉(まがたま)はどうしたのじゃ?』


ゲームに夢中な淤加美(おかみ)様から、慌てて念話が飛んでくるところを見ると、さすがに持っていない事を危惧(きぐ)したらしい。


『大丈夫ですよ。ちゃんと分からない処にありますから』


『それってどこじゃ?』


『もう淤加美(おかみ)様は心配性だなぁ……セイの部屋にありますってば』


『あんな箱だらけの部屋では、ゴミと間違えられて、捨ててしまうのではないか?』


『いいえ捨てませんよ。だって、セイのお気に入りのフィギアに、持たせてありますから』


『ば、馬鹿者!!』


そう淤加美(おかみ)様の怒鳴り声の念話がした後に、豊玉姫(とよたまひめ)様の歓喜の声が上がる。


「おおおっ!! 淤加美(おかみ)に黒星を付けてやったぞ!」


「ぐぬぬ……おのれ~、千尋(ちひろ)との念話に気を取られ過ぎたわ!」



何やってるんだか……


しかし、伍頭目(ごとうめ)ちゃんは、僕が勾玉(まがたま)を持っていないと分かると、そのまま走り寄り、膝の上に乗っかって来た。


久しぶりに近寄ってくれたな。ずっと遠巻きに見てるだけで、近寄って来なかったから、嫌われたかと思っていたが、勾玉(まがたま)が怖かっただけなのね。



そんな伍頭目(ごとうめ)ちゃんを見て、伊織(いおり)さんが――――――



「この子も神様なんですか?」


「えっと……説明が難しいのだけど、この子は記憶が無いんですよ。だから名前も無い状態でして……」


「そうなんですか!? 名前が無いのは可哀想ですね。何か候補は無いのですか?」


「候補は、小鳥遊(たかなし)先輩と言う方が居るのですが……あっ先輩と言うのは、前に貴船(きふね)神社へお邪魔した時に居た、黒服の女性の事です。その先輩が『伍香(ごこう)』とかどうかなって」


伍香(ごこう)は密教で儀式に使う、5つのお香の事らしい。先輩の実家はお寺なので、仏道系での意見が出るのは仕方がない。


伍香(ごこう)でも良いんだけど、どうせなら神道系のオロチなんだし、神道系で名前をつけられたらなって思っている。


もし神道系じゃ無いならば、『()』と言う字は入れてあげたい。名は体を表(なはたいをあらわ)すって言うからね。


その辺を伊織(いおり)さんに話したら――――――


「では、巳緒(みお)と言う名前はどうでしょう? ()と言うのは十二支(じゅうにし)の蛇の事ですよね。そこに()で物事の発端と言う意味もあります」


始まりの蛇。蛇の発端……日本神話のオロチ其のものだわな。あとの問題は、本人が気に入るかどうか……


伍頭目(ごとうめ)ちゃんの顔を覗き込むと、嬉しそうにニパァっと笑顔になっているので、どうやら気に入ったようだ。


「じゃあ、巳緒(みお)で決まりだな」


異論はなさそうなので、今度こそ地図を調べようとすると――――――


「すまんが、お茶を頼む!」


ゲームに白熱した2柱が、お茶の御代わりを要求してくる。


淤加美(おかみ)様達の言葉に、台所へ席を立つ神使(しんし)桔梗(ききょう)さんだが――――――


その後ろを、私も手伝います。と一緒に台所へ着いて行く伊織(いおり)さん。



淤加美(おかみ)様達に邪魔されて、話が進まねえ……



僕が軽い頭痛に額を押さえていると、巳緒(みお)がテーブルに広げた地図のある一点を指さした。


その場所には『城南宮(じょうなんぐう)』と書かれていたのだ。



「ほう、城南宮(じょうなんぐう)に目を付けるとはやるのぅ」


お茶が来るまでゲームを休止していた、淤加美(おかみ)様がそう答える。


城南宮(じょうなんぐう)じゃと? なんじゃ、平安京(へいあんきょう)かや? それにしては凄い建物の数じゃな」


同じくゲーム休止中の豊玉姫(とよたまひめ)様が、テーブルへ乗り出して来る。


平安京(へいんきょう)というか……古神様達に分かりやすく言えば、1200年後の平安京(へいあんきょう)の姿です」


「ほう、暫らく龍宮に籠る間に、えらく発展したのう」


地図を見て、街の様変わりように目を丸くする豊玉姫(とよたまひめ)様。



そんな豊玉姫(とよたまひめ)様を他所に、淤加美(おかみ)様が――――――


朱雀(すざく)は火氣の聖獣じゃじ、水氣(すいき)の我らには楽勝であろう」


「ええ。楽勝ですからこそ、今玄関先で、誰が戦うかで揉めています」


「仕方のない雄龍(おすりゅう)らじゃのぅ。まあ相手が火氣(かき)ならば、(わらわ)の助けは要らんじゃろう。ちゃっちゃと倒して来るがいい」


そう言って僕の分のお茶を(すす)る。



淤加美(おかみ)様の言う通り簡単そうだし、寝る前に行ってきますか――――――


立ち上がろうとしたら、巳緒(みお)が一緒に行きたいと言って聞かないので、ずっと留守番だったし、大人しくしてるならと、渋々承諾(しょうだく)した。


すると、巳緒(みお)は小さい蛇の姿に成って、僕の首に巻きついたのだ。


ぱっと見で、チョーカーの様に見えなくもない。


何か……やけに好かれたな。



取り合えず巫女の伊織(いおり)さんを、貴船(きふね)まで送って行こうとしたが、台所で――――――


「ここで隠し味にお味噌(みそ)を……」


「うん。抜群に良くなりました」



どうやら、朝餉(あさげ)の仕込みをして居るらしい……邪魔するのも悪いし、戻って来てからで良いか。



そう思って、使ったペットボトルに水を補給し、玄関先でジャンケンを続けている2龍に――――――


「二人とも決まらないなら、僕が朱雀(すざく)戦を貰うぞ」


「おい千尋(ちひろ)。そりゃねーだろ!」


「いくら千尋(ちひろ)さんでも、それはあんまりです」


二人に滅茶苦茶文句言われるので――――――



「じゃあ、先に見つけた者勝ちって事で」


「よし! 乗った!!」


「我もそれで良いですよ!」



各自そう承諾(しょうだく)して、京の南側へ龍脈を開くのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ