第2章 レジスタンス?
黒ロープの女性はいきなり抱きついてきた。
不覚にも、物凄い良い香りに気を取られ。人生で言ってみたかった一言「お怪我はありませんか?」が出てこなかった。
女性は、黒ロープのフードを右手で振り払い――「ありがと」っと一言。
「やべぇ、可愛い」思わず、言葉を漏らした。
「え?」
「いや、なんでもない」
髪は金髪のストレート、身体は推定150センチ程で小柄、透き通った様な美白の肌をしている。中でも印象深いのはその真っ赤な燃えるような目の色合いだった。
完全なる異世界フィーバーが到来。
――これは、あれだな。ゲームで良くある…謎の美少女を救い出して、物語が展開していく、そう!!クエストって奴だ。
妄想にふけている時間も無く、後ろから騎士達がぞろぞろと現れた。特に中央前列で黒馬を乗っている騎士は、鬼の形相をしてこちらに近づく。
「ご無事ですが姫君!!」
――ひめ?なんか色々間違ってると思うんですけど?でも姫様を救ったって事か、簡単に解決する初期イベントって流れなのか…
騎士はこちらを強く睨み続けて話し始める。
「貴様!よくも姫君を!!」
――ですよねぇ〜。そう簡単にクエストクリア出来ないのがお約束ですよね。しかも、しかも、暗殺者が自殺して、異世界転移して、一国の姫救って、何もかも不似合いのこの状況。
「待ちなさい、アルベルト!!この人は私の命の恩人です。」ここまでのあらすじを話し始めた。
騎士は自分の過ちに気づいたのか、先程の殺気だっていたオーラとは真逆に、子犬の様な目をしている。
「すまなかった。名前を教えて貰えますか?」
「あ、蓮、光月 蓮」
騎士はうなずいて続ける「ありがとう 光月君 、私はこのラインフォード王国の剣聖騎士団長アルベルト」
――うわぁ〜、剣聖とかお決まりパターンだよな。しかも身長はたけぇ〜し、どっからどう見てもモテモテ体質でしょ、この人、最初はどうなるかと思ったけど、すげーいい人そうだし、足なげーし。(自分の足を見てため息)
会話をしているアルベルトを差し置いて、姫が話にわって入る。
「蓮?私の家に来ない?」
―― え?今、蓮って呼ばれた?(少し照れるな)それにサラッと凄いこと言ってますよ。お姫様
「蓮?ぼーっとしてどうしたの?」「おーい」
「あ、あぁすまん、じゃあ少しお邪魔しようかな。本当にいいのか?見知らぬ奴を」
「いいの、いいの、ねぇ〜アルベルト?」
アルベルトは都合の悪そうな顔をし、ガクッと首を落とす。「仕方ありません」
――姫は不思議そうな顔をして蓮の顔を覗き込む。
「蓮、あなた?どこの種族?レジスタンスなの?」
騎士達の顔が一気に変わった。中には腰につけたサーベルに手をかけている者もいる。
――これはヤバイ…しかし、この世界を知るチャンスなのかもしれない…レジスタンス?なんの事なのか?全く世界観がつかめん。この状態じゃ、返答を考える時間もなさそうだ……よし!!
「種族は人間!!一文無しの世の中知らずってところ、目を覚ましたら全く知らない場所に来てた!!」
(沈黙)
「はっははははぁ」――アルベルトが笑い始めた。
「そうかそうか、すまなかったね。少々誤解をしていたらしい、それより?君の愛刀は魔法を宿しているのかい?」
蓮は刀を手に取り、首を傾げて返す。
「それもよく分からん?そもそも、そこのお店から借りて来た」…「ヤベェ〜!盗んで来た感じになってよなこれ」
今更、盗難程度で焦っている事に自分が恥ずかしくなった。
アルベルトは部下に何やら話をしている。
「姫君を助ける為に借りて来た物なんだろ?料金はこちらで埋めておこう、その刀は君が使うといい」
――こんな事なら、わざわざ安そうなの選ばなければ良かった気がするな、でも今回のクエストの戦利品って所で、良しとしよう。
満足感を抱いていると、目の前の建物がバラバラ崩れ始める。先程の獣との戦闘の爪痕らしい。
小石程度の崩れ方だったので、誰も目を止めていない、そうしている内に、崩れ方が激しくなって来た。騎士達も気にし始める。
大きな音と共に、土ぼこりを上げながら建物は原形を忘れたかの様に全壊した。
土ぼこりが上がったからなのか、目の前が霞み視点が合わなくてなって来た。
「あれ、おかしい」…手の感覚も薄れ、まるで先ほどの建物の様に、膝から崩れ落ちる。
姫の心配そうな顔が薄々見える。何か俺に向けて話しかけているのが分かった。また…気を失っちまうのか?
今度は異世界ハーレムイベントにし、て、く…
ここまで、読んで頂いて有難う御座います。
今後の蓮と姫の運命は大きく展開していきます。
3章も引き続きよろしくお願いします。




