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一から始める友達作り  作者: アフロ先輩
1/5

番長

若葉洋一わかば よういちは七年ぶりに自分が生まれ育ったこの町へ帰ってきた。

今日は五月十二日なかなか微妙な時期に転入するので上手くクラスに馴染めるか少し心配だった。

ゴールデンウィークも終わりクラスの中では多少なりともグループが出来ていてそこに果たして自分の居場所はあるのだろうか・・・と、まだ始まってもいない学校生活への不安が頭を悩ませていた。

起こるかもわからないマイナスな妄想に集中しているといつのまにか学校の校門に到着していた。

洋一は校舎の中に入り職員室へと向かう。

担任の先生の名前は事前に知っていたのでその先生を探す。清水隆俊しみず たかとし先生だ。

すぐに見つかった。


「今日から転校してきた若葉洋一です。」


「お、来たか転校生君 担任の清水だ。」


そう言って清水が握手を求めてきた。洋一もそれに応える。

清水は優しい笑顔を見せ洋一を迎えた。


「じゃあ、もう少ししたら教室へ行くから心の準備だけしといてくれ。」


「心の準備ですか・・・?」


「そうだ!いいか?転校生っていうのは最初が肝心だ!最初失敗すると卒業まで友達出来ないぞ! いいか!最初が肝心だからな!」


洋一の目には清水は少し興奮ぎみになっている様に見えた。


「分かりました、普通でいいんですよね・・・?」


「んーーー」


清水は腕組みをしながら考えるような仕草をとる。

そして少し考えて洋一に小声で囁くかのように話し始める。


「言いにくいんだけどウチのクラスには番長的ポジションのやつが居るらしくてな・・・。」


清水はなんだか申し訳なさそうな顔をしていた。そしてこう続けた。


「俺も噂でしか聞いてないし実際イジメられたとかそういう被害も聞かないから特には問題ないと思うんだけど・・・、でも感じるんだよクラス内がなんだかピリピリしてるっていうか・・・」


現状を掴めない事への悔しさからか唇を噛みながら眉間にシワを寄せた。


「でも今の所は実害ないんですよね?」


清水の思わぬ困惑ぶりに少しでも情報が欲しかったのか食い気味に聞く。


「まぁ・・・ね。色々俺の考え過ぎかもしれないが、一応そんな噂もあるって程度で覚えといてくれ」


「という事はその番長さえ気を使っていればいい訳ですね?」


「そういう事になるな」


洋一の物分りの良さに清水は嬉しそうな顔をした。そしてさっきまで浮かべたの優しい笑顔をもう一度作り直す。

簡単なクラス事情を説明し終えた清水が立ち上がり準備を整える。


「さぁ 行こうか」


「はい」


「三年のクラスは三階にあるから少し歩くぞー」


「わかりました!」


平常運転に戻った清水を見て洋一は安堵し元気な返事を返した。

二人が教室の前に到着する。


「ここで少し待ってくれ、入ってって言ったら入ってきて」


「わかりました」


先生が教室へ入ってく。


「おはよう!」


「おはようございます!先生今日転校生が来るんですか?


「お、なんだ話早いななら早速入ってきてもらおうか、入っていいぞー」


洋一は教室の扉を開き中へ入る。


「失礼します!」


元気に声を張り清水の横へ行く。


三十名程の知らぬ顔が一斉に洋一の方を見る。


「宮崎から転校して来ました若葉洋一です。宜しくお願いします。」


緊張で少し声が震えた。


「よろしくー」


疎らな返事と拍手が返ってきた。

形式的な挨拶を交わし次の言葉を探していた洋一だったが清水に先を越される。


「若葉は七年前までこの町で暮らしていたそうだ、もしたしたら皆よりこの辺だったら詳しいことがあるかもしれないな。そういう事で皆仲良くしてやってくれ。」


「はーい」


疎らな返事が返ってくる。


「若葉あそこの空いてる席を使ってくれ」


清水が指差した。窓側の一番後ろ。

清水に指示された席へと向かう。洋一が移動している最中もみんな横目で洋一のことを見ていた。

言い意味でも悪い意味でも注目されてしまうのが転校生なので仕方ないと早足で机まで歩いた。

席に着くと清水が朝のホームルームを始めた。

洋一の中に一つ疑問が残る。番長の存在が。

自己紹介の時にクラス一面を見渡した洋一だったがそれらしき人は見当たらなかった。

席は一つ空きがあったがそれは洋一が埋めてしまった。

結局一番気になることが分からず仕舞いで洋一は新しい学校生活へ臨むのだった。

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