プロローグ
相田拓真は、気がつくと見知らぬ場所にいた。
ジャングルのような森の中にぽつりと立つ自分、黒い学ランの中に制服の白いワイシャツの上半身に学ランと同じ色のズボンに運動シューズ。どこにでもいる中学生がなぜこんな所にいるのか、それはだいぶ前に戻る。
拓真は、3年間通っていた中学の卒業式を終わらせ周りが笑ったり泣いたりするの空気を遠い場所で味わっていた。別に拓真は人付き合いが苦手な訳ではなくかといって人の縁に自ら入り込むような人ではなかった。
彼は普通の人間、3年間一緒になった者達と互いに勉強して時には協力して一つの事を行う。そして卒業の時期になったら繋がりをなくし0に戻る。只それだけが拓真の生きる意味であった。3年という短い期間に作る友達などたかが知れていると思う拓真にとって友達と呼べる人間は、小学校からの付き合いや幼馴染程度の人達だけだった。
「今日も一段と空が青い・・・」
学校の屋上で一人寝そべり、空をそっと眺める拓真はこの場所を気に入っていた、下では卒業生の周りを在校生が囲みボタンの取りあいらしい喧嘩が見えた。
「モテモテ卒業生の苦労に敬礼・・っとそろそろ時間か」
拓真は起き上がり、卒業式のスケジュールにある集合写真の時間を思い出し場所はどこだったかを確認するべくスケジュールの書いた書いた紙を取り出した時だった。
「うおっいけね紙がっ」
急の突風で紙が飛び柵の引っかかる、拓真はそれを取るべく柵に触れた瞬間だった。
「は・・?」
バキッという砕けた音と共に柵は壊れ、拓真ごと空中に浮遊する。一瞬の出来事に拓真は理解できずふと目に入ったのは小さな看板だった。内容は[壊れやすい為触れぬ事]と書かれていた。
「んなっ馬鹿なああああああああ」
大声を上げ落下しそれが拓真が見た地球での最後の光景だった。