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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第六章  魔族との戦い
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第九十七話  魔族戦争(ジェイド)

「うわあああああああ!」

「きゃあああああああ!」


 悲鳴が上がります。ちょうど、強い魔力の波動を感じて、ソフィア様のもとに駆けつけているときのことです。

 何があったのか……。おそらく、ソフィア様の心配していたこと…………。


「あ、ご主人様の悪魔! 助けて!」

「ご主人様が、とり憑かれちゃった!」


 私は足を早めます。やっぱり……。今のソフィア様には、弱みが、あるのですから……。






「あ、ああ……」


 私は絶句しました。ソフィア様とはかけ離れた雰囲気なのですから。偽物なのだと思い込みたいくらいですが、そうすると、殺してしまいかねませんし……。

 私を見ると、ソフィア様はにっこり笑いかけてきます。いつもの、ソフィア様となんら変わりありません。


「ジェイド? どうしたの?」

「い、いえ。それより、どうしたんですか?」

「ん? なにが? ってか、こっち来ないでって言ったじゃないの」


 何かが、違う。普通の人なら、わからないかもしれませんが、魔力のちょっとした感じ、雰囲気、言葉が、何か、おかしい。ソフィア様では、無いでしょう。


「あっ?! きゃあああ!」

「えっ、ソフィア様!」


 ソフィア様が急に倒れました。私は慌てて駆け寄りました。

 もしかして、合わなかった? 何か、魔法に不具合があって、解けたのでは……。


「なんてね? あははは!」

「!」


 いつものソフィア様では、考えられないほどの力で私のことを殴り倒します。

 馬鹿力のインディゴじゃないんですから……。ガードのかかった私を吹き飛ばすなど、考えられません。


「ねぇ、まだいきてるの?」

「なっ、もう、やめてくださいよ! その体で、私を……」

「そっかぁ、やっぱり、君の一番の弱みはこの、私だね」


 弱み……。そうかも、しれません。

 でも、私は、ソフィア様と出会ってよかったと思ってる。私を、大切にしてくれる、ソフィア様。

 彼女を傷付けることは、絶対に出来ない。弱みと言えば、弱みでしょう。


「もう、戻っておいでよ。君のこと、みんなは待ってるんだよ? エメラルド君」

「いや、ですよ……。私は、誓ったんです!」

「うーん、固いねぇ。だめかぁ。ま、わかってたけどね」


 ソフィア様は私を蹴り飛ばすと、楽しそうに笑います。笑い方は、いつものように、明るい。なのに、なんでか、笑い声は、とっても冷たくて、聞いていられないような気がしてきます。


 もしかして、ソフィア様は、こんなに力があったんでしょうか? 私を殴る時、随分弱くしていたんでしょうか?

 操るのは、行動、言葉。力を足すことは、できないはずです。だとしたら……。


「ふふ、まだ戦う気はあるかな? 私を傷つけることはできるかな?」

「それより、あなたが誰なのか、教えていただきたい」

「ダメだなぁ。でも、この子の側近の身近な人だよ」

「で、では、本当に、彼女は……」


 気づいていた。ソフィア様が気づいていないで、リーダーを任せていること、ずっと、不安だった。

 でも……。ソフィア様が信頼しているんだったら、と思っていたし、今まで、規則を破ったことは一度たりともないのです。疑えないではないですか……!


「私はね? エメラルドくんに、戻ってきて欲しいの。あのお方も、望んでいるんだよ?」

「ソフィア様の声で、そんなこと、言わないでください……」

「君も変わったなぁ。人はおもちゃとしか見ていなかった君がね……」


 そう、でしたね……。ソフィア様、いや、スカーレット……、違う、インディゴと出会ったのがきっかけでしたか。彼は、人を殺せませんからね。新しい考えを、知ることができた……。

 でもまあ、殺していましたか。インディゴと出会ったのは、ずっと、前の話ですし。

 では、スカーレットが、最初の転機でしょう。守るべき存在、ですからね。

 でも、私の中で一番大きいのは、ソフィア様。ソフィア様がいるから、私は……。


「ま、人は変わるもんだよね。君はひとじゃないか。ま、それより、そろそろ戦いたいなぁ?」

「私が、ソフィア様を傷つける……」

「何だ、戦意喪失? だったら、こっちにおいでよ」


 それだけは、できません! 死ななければ、治すことはできるのです! 本気でいきましょう!


 私は一発、悪魔の光線(デヴィルビーム)を撃ちます。戦う意思があることを伝えるために。

 すると、ソフィア様は楽しそうな顔をして、笑います。でも、どこか不気味ですね……。


「そうこなくっちゃ。私も行くよ? 大滝キャタラクト

「ソフィア様の速さは、そんなものではありません!」

「あははは! そうじゃないよ。こういうことさ」


 気が付けば、私の周りに、大量の水が降っています。もはや、大滝キャタラクトではありません。

 大量の大滝キャタラクトを撃ったようですね。魔力はどうなっているのでしょう。


「あははは! 逃げ場はないよ? どうするかな?」

「くっ……」


 大量の水に飲み込まれます。もはや、海のようになっています。立つことすらできません。

 藻掻いたところで、どうにもならないでしょう。私は、どんな人数の人を、何度このような目に合わせたのでしょう。

 そうか。私は、このような思いをさせたのか。神は許してくれないでしょう。きっと、もう助からない。


 でしたら、このまま鮮やかに死なせていただきましょうか。

 ソフィア様に、絞殺なり、刺殺なりされるのはごめんです。それなら、ここで死んだほうがましですよ。

 ああ、すみません……。ソフィア様には、本当に悪いですが……。助かりそうには、ないんですよ。許してもらえるとは、思っていませんが……。


「ジェイド! ソフィ、お前、一体何を……」


 誰かの声が聞こえたような……。気のせいでしょう、か……?

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