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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第五章  外国での冒険
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第八十六話  小人の国到着

 船酔いに悩まされながらも、なんとか大陸についた。


「ああ! やっと着いた」


 エベリナが大きく息を吸いながら言った。にしても、エベリナは割と強かったな。


「もう、本当に乗りたくないわぁ……」


 リリアーナが一番酷かったかもしれないし、当然だろう。


「にしても、ソフィ、大丈夫か?」

「ダメだよ。どんだけ戦ったと思ってるんだ」


 結局エンドレスで戦い続けた。多分、魔王からの差し金だろう。船の人たち、迷惑だったろうなぁ……。ごめんなさい。


「で、ここは漁港の街なんですね」

「みたいねぇ。なんか、お土産屋さんが目立つわぁ」

「確かにな……。なんだ?」


 マリアが指した方を見ると、何人かの兵士がこちらに向かってきたところだった。


「君たちは誰?」

「え、えと……。本名でいいの?」

「いいんじゃないか? 私はマリアだ」


 そういうことか。私もソフィアとだけ名乗る。それを聞き、リリアーナとエベリナも名乗る。


「ん、エルフの国の勇者さんだね?」

「知っていましたか」


 ジェイドがホッとしたような声を出す。うん、なんとなく、最初の雰囲気的には『牢屋に連れてくぞ!』って感じだった。

 でも、今のこの人の声の感じはそんな感じじゃない。割と優しい。


 にしても、この、兵士のリーダー……? なんか見たことある気がするんだよね……。

 でも、ホビットなんて見たことあったっけ?


「あ、ああ、あああ! ニコだ……。」

「え? ニコ知ってるの?」

 そうだ、マリンがいなくなった時、拾ってくれた……。あのホビットそっくりだ。

「ニコは僕の弟さ。そっか、エルフの国までいったんだ?」


 ってことは、旅? でも、ホビットって、定住して、旅しないんじゃ……?

「あいつ、変わりもんだからね。旅するのが好きなんだ」

 そんなことを言いつつ、くいくいと手招きした。

「おいで。国中移動できるようにしてあげるから」






「国王様。よくお帰りで」

「ふん、僕が帰ってこなかった試しがあるか」

「そうですが、ニコ様は消えてしまうので」


 こく……?! えぇ?! どういうこと?!


「僕は国王なんだ。でも、そんなことはどうでもいい。それよりも、君たちが気をつけたほうがいいと思うよ」

「な、何にですかぁ?」

「魔族さ。最近、やけに大人数来るんだよ」


 魔族。魔王の手下か。見つかっても返り討ちにするつもりだけど。


「ともかく、自由に行動できるようにするし、できる限り援助する。何かあったら連絡をくれればいいよ」

「どうやって?」

「遠距離念話のナンバーを教えておこう」


 遠距離念話。

 基本、念話は近くの人としかできない。

 ただ、携帯の番号的なものを教えておくことで、遠くにいても念話が可能になる。それが、遠距離念話。


「でも、まあ、何もないだろうね。君たちの方が、うちの国の兵士より強いだろう。助けてもらうことになりそうだ」

「どうでしょう……。それより、ニコさんには、私のいも……、いえ、友達を助けていただきました」

「え、あいつそんなことするっけ? 他人に興味なかったはずだけどなぁ」

「ともかく、ありがとうございました」


 国王様はちょっと困ったような顔をしたけれど、頷いてくれた。

「じゃ、気をつけて。僕も、見守るつもりだけどね」






 まず、街の散策だ。背の低い人が多い中、ジェイドはやたらと目立つ。

「あ、あの、ソフィア様、帰っても……」

「ダメだよ。ちゃんとついてきてよ」

「えぇー……」


 そんな会話をしつつ、マリアが目をつけた店に入る。

 綺麗に整った武器屋だ。リリアーナが明らかに目を輝かせる。


「すごい立派な弓……。エルフのものも性能はいいけれど、ホビットのものはまた別ねぇ」


 店員もちょっと嬉しそうな顔をした。それほどリリアーナの機嫌はいい。


「どれか、買ってやろうか?」

「え?! いいの?」

「ああ。それも、ずっと使ってるだろ?」


 リリアーナは持っている弓に視線を落とした。確かに、同じものをずいぶん前から見てる気が……。


「思い出の詰まった、大切な弓だからぁ……。私の宝物なのよぉ。でも、そろそろ休ませてあげたほうがいいかも……」

「そうだな。部屋に飾るとでもしておけ。きっと喜ぶだろ」

「えっ?! マリって、そういうこと言ったっけ?」


 マリアは真っ赤な顔で困ったような素振りを見せて、後ろを向いてしまった。

 で、リリアーナは笑いをこらえながらゆっくり言う。


「い、いや、いいんだよぉ。ただ、珍しいなって。やっぱ、同じこと考えてたんだ」

「……え? リリ……?」

「使わなくても、自分のそばに置いときたいなって。大切なんだもん」


 リリアーナは弓をそっと撫でた。愛しいものを見るような目で。


「なんか、いい考え方ですね」

「は? ジェイドだって、その剣、随分大切にしてるじゃない」

「ソフィア様の作った剣ですよ? そりゃ、大切ですよ」


 ……? なんかおかしくないか? んん……?


「じゃあ、これがいいな!」

「おお、割といいやつだな。の割には、値段は高くないのか」

「ありがとね。にしても、随分上手そうな射手さんだね」


 リリアーナが嬉しそうに笑って弓を受け取った。随分可愛い顔してるな。


「大切にするね! ありがとう!」

「特別に矢のプレゼントだ。頑張れよ」


 なんか、楽しそうだなぁ。リリアーナは武器が重要だもん。杖よりも、ね……。


 いつもと違ったリリアーナと、ホビットの朗らかで優しい性格がよくわかった日だった。

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