表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第五章  外国での冒険
84/140

第八十二話  無事でよかった・・・。

 目が覚めると、心配そうなマリアの顔があった。


「大丈夫か? 今、宿に向かってるから。ちょっと待ってろよ?」


 マリアは私を抱いているわけだ。もうすぐ宿ってことは、そんなに長いこと寝てたわけじゃないんだ。

 まだ、雨は降っている。それに、周りは暗い。今、何時……?






「な、なんの音ぉ……。って、マリ?! え、ソフィ?! どういうこと?!」

 リリが叫ぶと、その声で滅多に起きないリナも起きた。二人共慌てているようだ。


「落ち着いて、よく聞け。リリはソフィの着替えを隣の部屋から持ってきて。リナは私のベッドを少し温められるか?」

「う、うん、出来るよ」


 リリはすぐに部屋を飛び出して行き、リナは火壁ファイアーウォールでベッドを囲った。

 マリは来ていたレインコートを脱いで、バスタオルで私の体を拭いてくれた。リリが到着すると、すぐに着替えさせてくれる。


「とにかくベッドに入って。話はそれから」


 そう言われたら、従わないわけには行かない。だって、それからって言うし。従わないと進まないんじゃね……。


「まず、ソフィの症状は低体温症。幸いまだ軽度みたいだから、ソフィは気にしなくていい」

 そう言いながら、マリはコップに何かを入れた。何か、透明な、トロトロしたもののように見えるけど……。

「それは?」

「くず湯。別空間にストックがあってな」


 そうか。別空間のいいところ。冷めたり、温まったり、そういうことが一切ない。腐ることもないから、食べ物を保存するにはとても便利。

 まあ、作れる空間は小さい人が多いからどうだか。

 と、そんなことはどうでもいい。あったかくて、ちょっぴり甘い。


「落ち着いたか? まあ、こうやって普通に会話できてるなら問題ないが。一応まだ寝てろよ?」

「今、何時?」

「えっとねぇ……。12時半くらいかなぁ」


 え? 私、そんなに起きてたの? どうりで真っ暗なわけだよ。

 って。このまま寝れない。足が痛いんだもん。なんとかできないのかな?


「そういえば、さっき見たが、ソフィ、足、捻挫か?」

「え、あ、うん。これのせいで、歩けなくって」


 さすがマリア。よく見てるよね……。にしても、本当についてないなぁ。


「じゃあ、とりあえず、固定する。魔法だと、痛みを取ることならできるが、治すとなるとまた別だからな」


 そう言ってマリアはチラリとエベリナを見た。エベリナはそれに気がついて、私に回復魔法をかけてくれた。


「じゃあ、ちゃんと寝ろよ。私はソフィのベッド借りるからな」


 そう言ってマリアは部屋を出ていってしまった。私のベッドは、ジェイドと同じ、隣の部屋だもん。











 マリア視点で――

 隣の部屋に入ると、ジェイドがベッドに座っていた。ものすごく驚いた。飛び上がるほどに。


「ソフィア様、どうでした?」

「なんだ? 気づいていたなら、手伝ってくれればよかったのに」

「着替えさせてたでしょう?」


 あ、そうか……。いつから気づいてたんだ、こいつ。何考えてるのかわかりづらいから嫌いだ。読心術使えば一発だが。それはあまりにも無礼だろう?


「雨降ってすぐ、飛び出していきましたね。私が動くより早く、レインコート掴んで」

「な?! そんな早くから見てたのか?!」

「おお、珍しく感情が」


 な、なんなんだ……。からかわれてるような、そんな気がする。本当に読みづらいな。

 にしても、やはり少し疲れた。ソフィを見つけるのに小一時間かかったからな。本当に焦った。あのまま放っておいたら、死んでしまうだろうから。

 本当に、無事でよかったな……。


「あのー? マリア様? そんなにソフィア様のこと、大切です?」

「は? 何言ってんだ? 当然だろ……?」


 いつの間にか後ろにいたジェイドがぐいっと私の額に手を当てる。そのまま私は後ろに倒れそうになったが、当然そこにはジェイドが。


「ほら、熱がある。今日、寒かったからでしょう。気づかないくらい、ソフィア様のこと、大切なんですね」


 え……。何も考えていないようで、小さな質問の一つにも大きな意味があって、よく観察してるんだな。

 全く、すごいやつだ。私なんかでは、到底及ばないな。長年生きてるだけのことはある。


「とにかく寝なさい。それが一番ですよ。さあさあ、早く」


 ジェイドは私を抱き上げて、強引にそのままベッドへ。ばさっと掛け布団をかけて、さっきのようにベッドに座った。


「ソフィア様、無事でよかった。本当は、感謝してます。なんか、意地悪ですみません」

「なんだ……。変わった奴だな。私は、そんなつもりはない」

「はは、そうでしょうね。まあ、ゆっくりお休みなさい? ソフィア様、マリア様が風邪ひいて、なんて、悲しみますし」


 そう、だな。自分のせいだって言い出すだろう。それは、ダメだな。


「じゃあ。私はもう寝ることにする。起きなかったら、起こせよ?」

「わかってますって。おやすみなさい」


 誰にでも、あんな態度なんだな……。ソフィアにだけかと思っていたが。

 こいつは一体、誰の事をどう思っているんだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ