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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第五章  外国での冒険
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第七十五話  うるさい男が来たようです

 今回はジェイドで行きます。うーん、あまり得意じゃないみたいです。

「おい、ジェイドとやら、今日の夜、空いてるか?」

「ん、ジェイドいないよ?」

「……は?」


 私はそんなおかしな会話を聞きつつ下に降りてみました。


「なんですか?」

「ああ?! なんで出てきたの? もう、また厄介なことに巻き込まれるのはごめんだよ!」


 ソフィア様が文句を言っているのはさて置き。わざわざ宿に来るまでして伝えたい用ってなんなんです、ドミニク?


「ほら、行きつけの居酒屋、ここで待つからな」

「え、あ、はあ……? 夜って、大雑把すぎるんですけど」

「いいから夜!」


 行ってしまった。って、夜ってなんだよ。

 適当すぎるが、訂正してくれるような人ではないようですね。フェリオス様に似ています。

 大雑把って言えば、この地図も大雑把すぎます。クララ様に地図を書かせてもこうなるんですよね。


「いく、の?」

「え、ダメですか? 居酒屋ってことは、大したことするんじゃないでしょう?」

「ジェイド、お酒飲まないくせに」


 え? 別に、飲まないって、まあ、そうですけど、飲めないわけではないですよ? まあ、好きなわけでもないですが。

 ……、あれ? なんででしたっけ。






「よう、きたか、ジェイド」

「私はあなたに呼び捨てで呼ばれる筋合い無いですが」


 そう言うと、軽く笑って座れと命令した。命令される筋合いもありません。

 私のことをしばらくじっと眺めていたドミニクですが、しばらくすると、にやっと笑って聞いてきた。


「で? どれが本命だ? 白髪の子? 茶髪の子? 金髪の子? 眼帯の子?」

「……は? ソフィア様が私の『主人』なんです。それ以外、何が?」

「ソフィア……? あぁ、あの金髪の。可愛いよな」


 何が言いたいんでしょう。意図が見えません。今まで、こういう会話の経験はほとんどありません。

 なにせ、二千年も生きてると、仕草で言いたいことは丸見えですから。


「そういえば、一回白黒のフリフリの衣装で外出てたことあったな? 似合うよなぁ?」

「あなた、初日から私たちのこと見てたんですか? 全く、呆れます。よく飽きませんね」

「おい、そう言うな。ずっと機会狙ってたんだぞ」


 だいぶ酔ってますかね? こいつ。私はこんな話をするつもりじゃ……。こんなつもりだったんですか。

 全く、ソフィア様の言うことを聞いて来なければよかったです。


「それにしても、それ。お前こそ飽きないんだな」

「何がですか?」

「それだよ、それ。敬語」


 ……? 敬語……。そういえば。これが普通になっちゃいましたからね。気づきませんでした。どうりでこいつの言葉使いが野蛮に聞こえるわけです。すごくうるさい男なのかと思いましたよ。いや、うるさいんですけれど。

 ドミニクはなんだかわからないが黄色い液を飲む。あまり好きじゃないのは、馬鹿なスカーレットのせいでしたね。それ以来、飲んでなかった……。


「飲まないのか?」

「あまり好みではないもので。それより、もう帰ってもいいですか?」

「んだよ。せっかく来たんだから、もっと聞かせろよ。お前の可愛いご主人様」


 ああ、馬鹿にしてるんですか。悪魔だからでしょうか……。勝ったのは私なのに。


「でも、あっちの、えっと……。もう一人の金髪の子? 俺はあっちの方が良いな」

「マリア様は、もっと恐ろしいですよ。ドラゴンなんか召喚しますから」

「召喚士か。そりゃ怖いな。その、ソフィアとやらは?」


 主人だと言っているそばから、こういう言い方、何なんでしょう。一般の人はこんなもんなのか、こいつが特別悪いのか。

 っていうか、見たんでしょう、あの戦い。まだちょっかい出す気があるなんて、死にたいんでしょうか?


「全属性神級。召喚と回復少々。生活魔法も行いますね。それから、剣と盾も少しなら扱えます」

「おいおい。そりゃ、お前より化物がいたもんだな」

「私の主人なんです、当然でしょう。そろそろ帰っていいですか? ソフィア様が早く帰ってこい、心配だ、とうるさいです」


 ドミニクはキョトンとした様子で私を見ています。私も、しまった、という気持ちでいっぱいです。

 だって、ずっと聞いてるみたいですし。ソフィア様。


「さっきからずっと念話が送られてくるんですよ。話もほとんど聞き取れません」

「……。まあいいか。じゃあな。今度誰か紹介してくれ」

「ダメです。殺されますよ?」


 またもやキョトンと。あの戦いんのルール、知らないんでしたね。そんな人がいるってこと自体、忘れてました。






 コツコツと涼しい道路を歩いていく。この時間に外にいるのは、盗賊か酒飲みでしょう?

 私も、こんな時間に外にいることは、滅多にありませんし。


 って、あれは……?

 い、今、超見慣れた炎のような髪が見えた気が……。嘘でしょう……?

 ですが、隣の人も見てしまった以上、否定はできません。


「スカーレット? インディゴ?」

「え、ジェイド?! 嘘、早くない?」

「お、お前らこそ、何やってんだよ」


 まさかの二人と会ってしまいました。

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