表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第五章  外国での冒険
70/140

第六十八話  へレーナの仲間

「ソフィア様、お客様です」

 ノックのあと、そんな声が。この宿のオーナーさんだ。

 でも、私に客なんて。どうせ碌な事にならない。さっさと追い返してくれればよかったのに。

「もう。どなた……、ん?」


 レイフでした。






「昨日はあのあと、大丈夫だったか?」

「いつもどおりだから。ベッドで一時間も横になってれば問題ないよ」


 いや、別に椅子に座ってるんでもいいんだけど。

 問題があるとしたら、ちょっと動くのが大変で、魔法関係が一切使えないだけだ。


「んで、用がそれだけなら、帰って」


 レイフは少し笑いながら「そんなわけ無いだろ」と言ってから、もう一度真面目そうな顔を作ってみせた。


「昨日、友達のよく行く酒屋で昨日のことを話したら、少しお前と話したいというものがいてな」

「なるほど。私は話したくないわ」

「え。そんなこと言わないで。大変だったんだぞ。金髪で、緑髪悪魔連れた少女見てないかって」


 ……。名前、名乗ってたらもっと早く来てたんだろうか。ってか、来なくてよかったのに。

 と、レイフの後ろからひょこっと女性が飛び出した。背は私くらい。人間ではなさそうだ。


「あの、いきなりなんですが、『へレーナ』って名前に、覚えはないですか?」

 ん? へレーナ……。って!

「ある! 超ある! それ、どこで?」

 へレーナって、ハナのことだ!

「えへへ……。私も、同じ、なんです」






 レイフには出ていてもらって、私たち――私とこの子、それからなぜかジェイド――は部屋にいた。


「だから、私も、エルフ戦士でした。この前、変わったニンフを見て、もしかして、って思って。その時にいた女の子が、あなたじゃないかなって、思っていたんです」


 この子もニンフのようだ。さっき、名前をエーヴァと名乗った。元の名前はエリヴェラらしい。

 茶色のちょっと長めの髪。覚えは、あるかなぁ。あまり変わった子じゃないし。


「よかった。やっぱり、へレーナだったんだ。探してたの。親友だったから」

 エーヴァは私にそっと微笑んだ。変わった子じゃないとか言ったけど、前言撤回。超可愛い!


「でも、やっぱり、みんなニンフになったんだ……。エルフもニンフも精霊だし、ニンフは考え方によっては下級女神だし」

「みんな、ってことは、ほかにも見つかってるって事?」

「そういうこと。伝えておいてくれる? へレーナ以外はみんな見つかってるから」

「わかった。伝えておくね」


 よかった。ハナはよくみんな無事かな、って言ってたから。


「私たち、時空移動するのに、女神様の力を借りる魔法を使ったの。だから、そのせいかもしれない。詳しいことはわからないけど」


 女神って、もしかして、トレアじゃないよね? だったら、まあ、納得っちゃあ、納得だ。きっと、私への目印だろう。

 と、いうことは。今も、いつ気がつくかな? って見てるんじゃ?


「で、聞きたいことがあります。単刀直入に行きます。ソラさん、ソフィア様ですよね?」

「なんだってぇ?!」


 あ……。まさかのレイフ登場。部屋の隅に座っていたらしい。魔法を使って身を隠していたのかな?

 なんてね。気がついてたさ。甘いから。魔力でバレる。訓練したほうがいいよ。


「そうだよ。目立つの好きじゃなくてね。偽名使っちゃった」

「やっぱね。レイフ君なんかに勝てるわけないわ。このお方、次の勇者様ですもの」

「次の……? 勇者……?」

「聞いて、ソフィア様。私はね、あの時、六十年くらい前に飛んだの。今私、五十歳よ。もうすぐ、魔王と戦うことになると思うの」

「私も、そう思う。ハナの年からも知ってるし。そのために、強化のために、冒険しに来たの」


 エーヴァはふうっと息を吐いて言った。

「その時はね、ナディア様の娘は、あなたじゃないわ。だから、何かしら、未来は変わるはずなの。何か、心当たりがあるんじゃない?」

 転生。あのせいだろう。私と、もしかしたら、マリアも。


「じゃあ、気をつけてね。もう、未来は変わったから、私たちの知っていることとは違うと思うの。協力は、まあ、できる限りするけど」

「うん。私たちもいろいろ行動するようにするから。それより、気をつけて。ばれたら、殺されるだろうし」

「そうだろうね。気をつけるよ。じゃあ、また会おう。今度は、もっとゆっくりね」


 エーヴァが扉に向かって歩き出すと、バン、と大きな音を立てて扉が開いた。驚きすぎて声も出ないエーヴァは、そのまま後ずさって戻ってきた。


「なるほどね。ソフィが隠してたのって、そういうことか」

「ハナさん、未来を知ってたのねぇ」

「それから、ソフィはそれを知ってたんだな」


 リリアーナたち乱入。さすがに気がつかなかった。

 彼女らは、見ようと思ってみればわかるけど、そうじゃないと気がつかないくらい魔力を消せるから。


「あと十年くらいで魔王と戦うことになるのかぁ。あぁ、もっと前に行かないと、手遅れかなぁ」

 リリアーナがポンッとソファに座る。それから、私とエーヴァのこと見て言う。


「私たちも、協力しないと、解決しないよねぇ? なんで言ってくれなかったのかなぁ?」

「ありがとう! 手伝ってくれるのだな!」

「こらこら、エーヴァさん、私たち、一応勇者になる予定だからね」

「は! す、すみません」


 ぺこりと頭を下げると、少し笑ってマリアが言う。


「まあ、そんなに固くなる必要はない。私たちにとって、大切な人物になるようだからな」

「そんな……。もう、お役に立てないと思います」

「まあまあ、それは、まだわからないのだろう?」


 エーヴァは嬉しそうに微笑み、大きく頷いた。

 みんなになら、隠してる必要も無かったか。どうして、黙ってたのかな。


 そして、ふと後ろを見て、気が付く。


 忘れ去られたレイフが、一人で首をかしげていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ