表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第四章  ソフィアの国、レルフィア
57/140

第五十五話  天使と悪魔

 次の日。ジェイドがそりゃあもう住民が全員驚くくらいおとなしかった。そして私のやろうとすることすべて先回りしてやった。


「あのさぁ。今日のこれは一体なぁに?」

「! なんでも、ないですよ?」


 いやいやいやいや。絶対違うから。あれか。償いのつもりか。

 でも、そこまでするほどじゃないし、代償といっても昨日の午後と練習用に作ったローブだけだ。大したことではない。……よね?


「あのね? 私もう治ったの。そんなに付きまとわなくても……」

「いいえ! 絶対にダメです」

 なぜここだけ譲らないの? どういうことでしょうか?


 歩いていて、ふと、黒髪が目に入った。この国にいる黒髪の人は、限られている。その中でも、猫耳があるのは。


「マリン! ちょっといい?」

「お姉ちゃん。どうしたの?」

「この前ね、マリン召喚しちゃった村行ったの。だから、ちょっと言っておこうかと思って」

「ミーシャちゃんにも会った?」

「会ったよ」


 マリンは顔を輝かせた。ミーシャって、村長の孫だよね? 仲良さそうだけど、どうして?

 聞けば、どうやらミーシャはマリンに懐いたらしい。マリンの戦いの術はすべてミーシャから教えてもらったのだそうだ。


「そっか。お姉ちゃんが助けてくれたんだ。ありがと」


 マリンは嬉しそうだ。こんなことなら、連れてけばよかったか? うーん……。

 あ、マリンは行かなくて良かったかもしれないな。ユリアナのこともあるし。

 って、あ、今更思い出した。サークレット。忘れてたや。付けてみよう。じゃあ、急いで部屋に戻らないと!


「ソ、ソフィア様?! 一体どこに?!」


 あ、ジェイド。忘れてた。ごめん。今日は随分おとなしいからさ。






「おぉ! お綺麗です! 女神のようです!」

 女神のだからね。知る由もないだろうけど。でも、ホント綺麗。

「うーん、これ、本当に綺麗ね。何で出来てるのかな?」


 金とは、ちょっと違う? なんだろう。

 ああ、綺麗だけど、金髪だから、ちょっと目立たない。宝石は目立つけど。

 とにかく。後でこれつけて魔法撃ってみよう。どんな感じになるかな? 楽しみだ。


「ところで、それ、どこで手に入れたんです?」

「あぁ、この前、マリンのいた村にに行ったの。そこで、ちょっといろいろあって」

「じゃあ、これ、獣人が作ったんですか?」


 あぁ、それは違う。トレアのだ。そう言ってから、気がついた。トレアのこと、まだ言ってないのに。


「トレアって、誰ですか?」


 ど、どうしよう! 言っていいのかな。大丈夫、だよね……?

「私と関わってる女神様、だよ……」


 あらら、もしかして、これ、まずかった……?

「ソフィア様ぁー?」

 天使エンジェル! このタイミングで現れるなんて……。今のが駄目だったとしか思えない。


 私が青い顔でうつむいていると、ジェイドは私をその天使からかばうように抱いた。

「なあんて、冗談です。私はそんなこと言いに来たんじゃないんですよ。用があって」


 え、あ、そうなの? びっくりしたじゃないか。こんなタイミングで来ないでよ。


「そのサークレットがあなたに回ったってことは、やっぱり悪は存在するのですね……。ということで」

「……? え、どういうことだって?」

「そのサークレットの使命は『悪を滅ぼすこと』です。今、サークレットが発動しているということは、悪は、今、存在します」


 それって、つまり、魔王が復活したって事だよね。間違いないの……?

「ああ、でも、悪が魔王かどうかはわかりませんので。とにかく、悪であることは間違いないですが……」


 天使エンジェルがこちらに笑いかけると、ジェイドがビクッとして怯えたように天使エンジェルを見た。

「では、頑張ってください。悪を滅ぼす者に認定された方。さようなら」

 ちょっと、なんて言った? 私、悪を滅ぼすものになっちゃったの?


 それはともかく、ジェイドの怖がりようが異常だから、なんとかしよう。

「大丈夫? 一回どっか座ろうか」

 私の国だ。ベンチはたくさん作ったことくらい知っている。一番近いところに座らせる。


天使エンジェル、そんなに嫌い?」

「いいえ、そういうわけでは……。いや、そうですね。どちらかといえば、苦手ですが」


 まあ、天使と悪魔は真逆だし、それもわかるけど。

「昔、天使エンジェルと戦ったことがあるんです。天使は、勝手に悪魔を悪としてしまったから、いつも悪魔を狙ってるんです。一人狩れば富豪ですから」


 そんな、理不尽な。悪魔は、何もしてないのに、って事?


「ずいぶん昔のことですけれど、インディゴが小さな悪魔と遊んでいた時です」

「それは、アンカさんと結婚する前? 後?」

「知っていましたか。後です。もっと言えば、なくなって三年後です」

 三年後……。一年ちょっとで慰めたって言ってたっけ。そのあとね。


「小さな悪魔……、ああ、これも知っているんですよね。ブランシュが18のときです。買い物をしていたんですね。その帰り。

 二人がうっかり天使に見つかって。その天使は、大天使アークエンジェルでした。インディゴは、ブランシュを守ろうと抱きしめて走って。でも、運悪く途中で転んじゃって」


 ! 大天使アークエンジェル天使エンジェルよりも強い天使。インディゴは、そんなのと当たったんだ。

「ちょうどそこに私が通りかかりまして。防御魔法を思い切り張ってその場は助けました。でも、インディゴはブランシュを守るのに必死でまともに戦えないし、私にひとりではなんとかなるものではなかったんです」


 その時は、もっと弱かったんだろうな。しかも、怯える小さな子供をかばいながら……。

「私の魔力も少なかったし……。私が疲れて手に負えなくなった時、インディゴが……。ブランシュをかばって、目の傷を……。戦いの途中インディゴが呼んだスカーレットがそこを助けてくれたんですけどね」


 その時は、怖かっただろうな。生きるか死ぬかの瀬戸際で。必死に戦って。でも、手に負えなくて。もうどうしようもなくなっちゃって。

「あの時のスカーレット、それは救世主に見えましたね……。私、そのあと気を失っちゃってあまり覚えてないんですけれど」


 だから、天使が怖いんだ。じゃあ、インディゴも……。絶対に、言えないな。天使と交流がある、なんて……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ