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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第四章  ソフィアの国、レルフィア
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第五十四話  練習試合3

「ひゃあ?! なにこれ、急潮ラピットタイドじゃないわね?」

 私は、さっさと抜け出していた。反応が遅れた者は、海の餌食だね。


「アイリス、ここから雷とかも撃つけど、いいね?」

(平気平気。絶対落ないようにするから)

 うん、ちょっと不安だ。でもまあ、仕方ないから、いくか。


 霹靂サンダーストラック。濡れてるスカーレットにはよく当たるだろう。もはや、この状態では雷雨サンダーストームは意味がないし。

 でもまあ、雷系は嫌いだ。アイリスも怖がるし。でも、それ!


(えっ、あっ、ひゃあっ?!)

「?! ちょ、アイリス!」

 うえぇ?! ふ、不安だ! ちょこっと落ちたんだけど? やだなぁ……。


 ところで、スカーレットは?

 あ……。まずい。まさか、そうなるとは想像もしてなかったんだが。


「ごめんね? 大丈夫?」

「ひ、ひどいですぅ。怖かったですよぉ。わあぁ、ばかぁ」


 いやいやいや。どうしてそうなった? この泣いてるメイドはどうするべき?

 ともかく水は引かせて、スカーレットのしがみついている木を離させる。……どこから来たんだ?


「誰か、これ何とかしてー」

「スカーレット、ほら。ジェイド、お前は次を」

「えぇ。ほんとにやるの? 仕方ないですね……」


 大泣きのスカーレットはインディゴが引き取った。で、最後、ジェイドとだね。


「ふふふ、ソフィア様とこうやって正面からぶつかったこと、なかったですよねぇ?」

「そうかもね……。戦いは見てるけどね」

 でも、ジェイドはなんでもするから対処しきれないんだよね。魔法も、武器も。

「じゃあ、行きますよ!」


 ジェイドの使った技は……地獄草ヘルプラント?! そんな馬鹿な。無詠唱で、地獄草ヘルプラントって……。

 まさか、私以外にもできる人がいたとは。あ、人じゃないや。


 でも、これはまずいね……。なんたって、私の魔力残量は……。

ソフィア=レルフ

 体力 1500/3000  魔力 1500/4500  ダメージ 10%  

 攻撃力 850  魔法攻撃力 3200


 3000減ったってことか。緑石弾エメラルドブレッド死海デススィーが神級、1000ずつでしょ、霹靂サンダーストラックが超上級、500でしょ、それから解くのに300、アイリス召喚で200。足りるかなぁ。

 ってか、あんなに練習したのに、パラメータほとんど変わってないんだが。


 さて、そんなこと考えている場合ではないな。ジェイドの剣がものすごい勢いで振り下ろされているから。

 しかも、やっぱり真剣かよ。木刀じゃなかったの?!

 魔力的に、もう神級はまずい。どうしようか。でも、これはマジで殺されそうなんだけど?


「ジェイド! どういうこと? こんなの!」

「偶には本気でやりたいんですよ、私だってね」


 あのさぁ。私、体力少ないんだよ。連戦でもう疲れたんだけど。


 って、ああっ?!


 肩にざっくり刺さった剣を見ても、状況が理解できない。どういうこと? これ、ちょっと……。


「うわあああ!!」

 え、あぁ、なんかクラクラする。全く、ジェイドったら、いっつもやりすぎなん、だか、ら……。

「うわ! ソフィア様!!」






「…………あ、あれ?」


 私には真っ白な布団がかけられていた。何があったっけ?

 あぁ、そうか、ジェイドの剣が、ね。


 誰が治療してくれたんだろう。ここ、病院だよね。私が作ったから知っている。地球の病院をイメージしてね。

 うーん、ちょっと喉が渇いたなぁ。くるくる辺りを見回すと、扉を開けて入ってくる人が見えた。


「まぁ、起きていたのですか?」

「今起きたとこだよ……」


 あ、知ってる子だ。誰だっけ。この白衣着てるの。

 えっと、茶色の三つ編み、緑の目……。ルシアンナ。桃色魔法衣ピンクローブの子か。


「ソフィア様! よかった。ちょっとびっくりして……」

 ルアンナだ。いつもの、黒ぽい服を着ている。というか、どうしているんだろう。


「お母さん、ソフィア様の体調は?」

「そんなに大変じゃないわ。うーん、そうねぇ。なんというか、スパッと切れてたからね」

 ……お母さん? え、あ……。


「ルシアンナ、ルアンナって、あなたの娘なの?」

「え、あ、養子だけどね。この子の親、あまり裕福じゃないから。でも、名前見ればわかると思ったんだけど」


 そうだね、でも、似てる名前は結構多いよ?リリアーナなんかは割と似ている人が多い。桃色魔法衣ピンクローブのリリアンとか、先生はリリアだったね?

「あぁ、そのへんは流行ったのよ。リナルド様とジュリアーナ様が結婚なさった時、『娘の名前は絶対リリアーナにする!』って宣言したから」

 ……。勝手に使っていいのか? カリディ家令嬢でしょ?


「そういえば、お母さん言ってたね。確か、名前買ったんでしょ?」

「そうそう! 『リリア』までくらいは、買わなきゃいけなかったのよ。そりゃ、すごかったわね」

 えー。名前買うって……。どこから買うの? カリディ家か?


 まあいいか。もしかしたら『ソフィア』も売られてるかもしれないし。

「とーにーかーく! ソフィア様はもうしばらく休んでいなくてはなりません。わかりましたね!」

「は、はあ。じゃあ、ルアンナ。またあとで来てね」


 ルアンナは不満そうな顔をしたけれど、「はあい」と言って出ていった。


「もう。ジェイドったら。いっつもやりすぎなんだよなぁ」


 でも。どうしてか、そんなに嫌じゃない。なんでだろう……?

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