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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第一章  ソフィア=レルフ
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第三話  誕生日パーティー

 二ヶ月かけて、火、水、草、雷、土、空の初級魔法を詠唱なしでできるようにした。召喚は難しいから後でやるらしい。


 そんなのはどうでもいいのだ。今日は特別な日。一月の二十日。私にとって、重要な日。誕生日だ!


 母は可愛いピンクっぽいケーキを作ってくれた。まだ食べてはいない。今はお昼だ。全て夜までおあずけ。


 これでやっと六歳になる。長いもんだ。とはいえ、もう人間の六歳と同じくらいできると思う。

 エルフは成長が遅い。なのに、私だけやけに成長が早いのだ。なぜでしょう?


 それはいい。別に、気にするほどじゃないから。成長が早いのはいいことだし。それより、誕生日プレゼントが楽しみだ。二ヶ月前に買ってもらったピンクのローブ。その換えが欲しい! のだ。


 魔物の毛で作られたそのローブは、大幅に魔法の威力が上がる。いつも着ていたいけど、一枚しかないから、もう何枚か欲しかった。これで毎日着られる。とっても楽しみだ。


 

「ソフィア、おめでとう!」

 私はまだ小さいから、私と母と父だけでのパーティだ。

 綺麗なワイン……もどきをグラスに入れてもらう。淡い黄色が綺麗だ……。飲むのがもったいないよ……。


「ソフィアの好きな雉肉の塩焼きよ」

「ありがとうございます、お母様、ハナ」


 だって、雉ならぎりぎり、地球でも食べたから。だから、実際、そんなに好きなわけでもない。

 結構違うところもあるから、完全に同じものなんて無理だし、我慢する。


 それに、こっちでは調味料が少ないから、濃い味もないし、はっきり言って、あんま美味しくなかったりもする。


 でも、ハナや母はおいしく調理してくれる。私にとって、だ。三人にはしょっぱかったりするようだが、私にだけ味を変えてくれたり、個人で味付けできるようにしてくれたりするから、結構不自由はない。


 それより、今日の料理だ。雉の塩焼き、といってもハーブとかも使ってるし、香味焼きとかの方がそれっぽいけど、こちらの区分では塩焼きらしい。別に、文句がある訳じゃないんだけどね?


 スープは具だくさんだ。トマト、人参、ピーマン、キャベツ、ヒヨコマメ、小さなハムとか。器が可愛い。それと、ウサギや花の形をした人参も入っている。全部含めて可愛いと思う。


 それと、サラダも可愛い。器用なハナがやったであろう、バラなどの形になった人参の立体飾り切りなどがある。もはや飾り切りの概念を超えている。こんなの恐れ多くて食べられない。……わけでもないな。


 主食はパンだ。ここには、米もあるみたいだけど、あまり普及はしてないみたい。でも、レルフの力はすごいから、結構集まるものだ。とは言っても、毎日は食べられないが。たいていはパン。


 それにケーキといった感じで、だいぶ豪華な食事を終えると、プレゼントを取りに行くと言って、ハナが部屋から出ていった。


 そういえば、ラッピングされたようなものはない。でも、ローブなんて、ちょこっとどこかに置いておけるのにな。


 なんて思っていたら、いい意味で期待を裏切る。何故かベッド並みの大きさで、高さもそれなりの大きな箱が出てきた。

 でも、何をそんなものに入れるって?


 箱が開いた時・・・。私はびっくりしてその場で固まった。同時に、思わず、目から涙が溢れてきた。

 その箱の中身は、大きな犬だったのである。


 ちょっと欲しいな、と思って会話の途中で言ったことがあった気がする。でも、こんなに簡単に買ってくれると思っていなかった。

 本気で嬉しいプレゼントである。


「あら? ソフィア、どうしたの? 早くなでてあげなさい?」

「はい、お母様」


 容姿は超長毛の茶色と白のパピヨン。に見える、が正しいのかもしれない。だって、大型犬くらいの大きさだ。そして、毛並みはつやつや。

 まさにお姫様のペットといったところだろう。


「ソフィア、名前はどうするんだい?」

 父であるスチュアートが聞いてくる。名前、か。


 うーん、少しこの子を眺めてみることにした。女の子だということは聞いている。あ、とふと思いついた名前を言ってみる。


「シナモン。シナモンでいいかな」

「まあ。いいんじゃない?」


 この子の茶色の毛の色が、シナモン色に近い。え、シナモン色って、分からないかな?

 なんでそんなこと知ってるのかって? 知識が偏ってるんだよ。いろいろと、ね……。


「シナモン、おいで?」

「ワン!」


 キャン、ともとれるような可愛い声で鳴いて、私のところに駆け寄ってきた。ふっさふさの毛が心地いい。


「お母様、お父様、ありがとうございます」

「いや、これは、ハナからのプレゼントなんだ」

「え?」


 すると、真っ赤になったハナが、小さく頷いた。

「お嬢様が、犬を飼いたいとおっしゃっていましたので、一番良い子を取り寄せました。お金の方は気にしないでください。知り合いのブリーダーから安く譲っていただきました」


 仕事の報告のようにスラスラと答えるが、こんな立派な犬をメイドが買えるの?

「ハナは随分ソフィアのことを気に入ったみたいだね。あんなに人見知りだったのに、世話焼きになっちゃって」


 ハナが人見知り?

 どこにでもついてきて大丈夫かとうるさいほど世話焼きのハナが?


「お嬢様、可愛いんですって。私だって、びっくりしてますけど、子供って、こんなに可愛いんですもん」


 子供、好きなんだ。そういう事。

 え、でも……。それじゃあ、私が大きくなったら……。

 いや、そういう事を考えちゃ駄目だ。両親に視線を向ける。


「で、私たちから、このローブを」

 可愛く包装されたそれは、誕生日プレゼントと呼ぶのにふさわしいものだった。


 なんと幸せなんだろう。こんなに私を愛してくれる母がいる。父がいる。メイドがいる。そして、神たちもいる。外が騒がしいのはそのせいだろう。違うかもしれないし、言い切れないけど。


 今日は薄いブルーのドレスを身にまとっている。ふわふわとお嬢様っぽい。

 まあ、ほんとにお嬢様なのかもしれないけど。

 こんな風な誕生日なんて、考えられなかったなぁ。ほんと、凄く嬉しい。


「ソフィア、もう六歳になったんだから、ね」

「? 何か特別なんですか?」

「ああ。三十歳で成人だろ?五でちょうど割り切れる。成人するまでに五回特別な誕生日をするんだ。お祭り好きなエルフのせいだ」


 お祭り好き? そんなこと聞いたことないけど。理由がないからごまかしてるだけかもしれない。そうだったらあまり深く言うのはよろしくない。

 スルーしようか。


「とにかく、来年度にはもう学校に行くんですもの。お嬢様も立派になられましたね」


 ん?! 学校って?! なんか、今日は色々と聞いたことのないことが飛び交ってるんだけど?! そうか、学校、六歳からなんだ。知らなかったんだけど? っていうか、どこにあるのかな。


「まあ、ソフィアならうまくできるだろ?」

 ちょ、ちょっとー……。

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