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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第三章  ソフィアの初冒険
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第三十六話  アンハッピーバースデー

 私は自分の部屋で、ベッドに座っていた。誕生日だというのに、どこにもいかず、ただただ泣いていた。


 『ハナが難病』。それは、私にとって大きな錘になった。

 ジェイドがどんなに慰めてくれても。クララたちがプレゼントを持ってきてくれても。スカーレットがメイド服を新調して可愛くしてきても(?)。部屋から出る気にならなかった。


「どうして・・・? ハナ、ハナ・・・」

 頭がぼうっとして、クラクラする。もう何も考えられない。つい一昨日まで、誕生日を楽しみにしていたというのに。


「ソフィアお嬢様・・・」

 まだ外にいたジェイドは、私の動く気配がないことと、自分が疲れたのとで、そっと扉の外でしゃがみ込んだようだ。気配でなんとなくわかる。

 私の友達だったのに。私の家族だったのに。私の大切な人だったのに・・・。


 ハナの病気は、治らないそうだ。あと三年で、確実に、死に至る。

「お嬢様。気持ちはわかります。私も、昔、親友亡くしてますから・・・。でも、だからって、何もしないんじゃ、ハナさんだって・・・」

「わ、わかってる。でも、私の、家族、なのよ・・・」


 外のジェイドが、思い切り立つ。それから大きな声で叫んだ。

「いつまでそうしてるつもりですか! 何か行動しないと、ハナさんのそれは、何の意味も持ちません!」






 次の日、私は久しぶりに家に帰り、禁止されていた地下室を開けてもらった。大量の資料を読み漁り、少しでもハナの病気に似たものがないか調べた。


 禁止された、とは言っても、しょっちゅう入っていたが。こっそり、気づかれないように。でも、実際は気づいていたのかもしない。

「ソフィア、もう七時よ。上がってきなさい?」

「! うん。ちょっと待って、いま行く」


 この日は、特に何の手がかりもつかめなかった。でも、ジェイドに言われて気がついたのだ。何か、私にもできることがあるはずだ。

 何もしないで、このままいたら、ハナだって、悲しむはずだって。






「お母様! 来て! これ、見て!」

 私の叫び声に、母が急いでやってきた。もうちょっとで階段から落ちるところだったくらいに。


「どうしたの?」

「これよ。不治の病を治すための、冒険。この子は、助かっている。鮮やかな色をした花だという。これがあるのは・・・」

「ソフィア、ダメよ!」

 母が叫んだ。私は何事かと母の顔を見る。


「アバドンの森は、ダメ! アバドンっていうのは、奈落の王で、破壊の場とか、滅ぼす者って意味よ。その名のとおり、強い魔物の住処で、百万人で入っても、誰も出てこれなかったのよ」


 アバドンの森・・・。どんなところでも、行かなくてはダメだ。ハナを救いたい。

「いいえ、私は行くわ! お母様、絶対に帰ってくる。死ぬ前に、絶対逃げてくるから。ね」

「ダメよ! 絶対に行かないで!」


 ダメだよ、お母様。私は、後悔したくないの。

 それに・・・。いいんだ、許してくれなくても。無断でだって、出られるんだから。

 私はもう、子供じゃない。






「えぇ?! アバドンの森?! 本気ですか?」

「うん。ハナを救いたい。お願い。行かせて」

「ダメ、と言いたいのですが、行動しろといったのは私ですしねぇ。その代わり、私も行きますよ」


 私はジェイドにお礼を言って飛びついた。まさか、ついてきてくれるなんて! なんて優しい・・・。






 という事で、私は早速準備を整えた。準備というのは、仕事を終わらせ、他の者にいない間の仕事を頼むこと。

 それから、綺麗な新しい装備品を買って、装備を整えること。


 その日のうちに全て終わり、次の日の早朝、私は門の前でリーダーと話していた。

「行かないとなの。ごめんね。クララ、ルアンナ。寮、お願い。みんなも、ちゃんと将軍として働いて」


 ダメとは言えず、黙って私の顔を見ていた。大丈夫、もう会えなくなっちゃうなんて、しないから。私が街から出ようとすると。

「待って! ソフィ、待って!」


 目の前に、五人の女性がいた。よく知っている人だ。

 リリアーナ、マリア、エベリナ、それから、リリアーナのお母さんジュリアーナとエベリナのお母さんイラーナだ。


「この子達も、連れて行ってもらえない? 家にずっといても、何も変わらないの」

「ソフィを助けたい。ハナさんを助けたい。」

「二人じゃ見つからなくても、五人なら見つかるかもだしね」

「ソフィが危ないことしないように見てなきゃ落ち着かないしねぇ」


 ジュリアーナ、マリア、エベリナ、リリアーナが言った。

 私が黙っていると、ジェイドがそっと笑う。


「いいんじゃないですか? 冒険は人を強くしますよ。ね?」

 私は頷いた。目を離したくない気持ちもわかるし、助けたいという気持ちもわかる。


 あれ? どうして知ってるんだろう? ってことは、母は許してくれたってことかな。


 なんて考えていると、マリアがちょっと迷ったようにしながら、綺麗な箱を私に渡した。

 誕生日プレゼントなのは、言われなくてもわかる。


「去年、十二でしょ? でも、特別なお祝いできなかったから、ちょっといいプレゼント、ね」

 エベリナがそう説明した。私はそれを聞きながら、丁寧にラッピングをほどいていく。


 出てきたのは、茶色い淵のメガネだった。

「魔法道具だよ。戦闘能力を数値化できるの」


 リリがそう言った。どうやら、いきなり強い人を見ないほうがいいということなので、農民で慣れさせることにした。


 平均すると、体力が五千、魔力が四十、ダメージが五%、攻撃力が六百、魔法攻撃力が三十といったところか。


 体力は名前の通り。魔力も。ダメージは%表示で、百%で死だそう。

 攻撃力は力といった感じで、魔法攻撃力は、打てる魔法の強さらしい。回復魔法の強さもそれで。

 当然、それより弱く打つこともできるが。


 にしても、これは便利だ。かけて電源入れればいいんだから。

 しかも、顔じゃなくても平気。どこか一部でもいいし、何人かいても見たい人の能力が見れるのだ。


 で、最後に私たちの能力も見てみた。こんな感じだ。数字で現れるから、パッと見でもわかりやすい。でも、万いったらわかりづらいかもしれないや。


 ソフィア=レルフ

 体力 2000/2000  魔力 4000/4000  ダメージ 0%  

 攻撃力 800  魔法攻撃力 2500


 リリアーナ=カリディ

 体力 5000/5000  魔力 500/500  ダメージ 0%

 攻撃力 1200  魔法攻撃力 300


 エベリナ=ララ

 体力 4500/4500  魔力 3000/3000  ダメージ 0% 

 攻撃力 1000  魔法攻撃力 2000


 マリア=クリスティション

 体力 3000/3000  魔力 3500/3500  ダメージ 0% 

 攻撃力 600  魔法攻撃力 1000


 ジェイド

 体力 7000/7000  魔力 2800/2800  ダメージ 0% 

 攻撃力 2500  魔法攻撃力 1200

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