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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第二章  ソフィアの街
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第三十五話  お嬢様と同僚たち

またまたジェイド目線でいきます。たまに挟んでいこうと思います。

 私がお嬢様の部屋に入ると、スカーレットがいた。


「こ、これは……。一体、どういう状態なんだ?」

「あら、ジェイド。こんな時に来るなんて、酷いわ」

 ソファーに座っているスカーレット。お嬢様は寝ていて、スカーレットの膝に頭を載せている。


「この子って、一月で十三歳でしたっけ?」

「ああ。そうだ。スカーレット、何があったんだ?」

 お嬢様の目にはうっすらと涙の跡があるようだ。

「うん? ええと、少しだけでいいから、私のお母さんになってって。まだ十三歳なのに、長だもんねぇ」


 確かに、あの馬鹿なフェリオスやレオンたちはよく親のもとに帰っている。クララさんや、ルアンナさんなんかも、二週間に一回くらいは帰っているようだ。

 ってことは、ずっとここに居るのはお嬢様だけ。周りに友達や大人はいても、甘えられる人などいない。


「まぁ、私なんかでいいならいいのだけれど。悪魔だし、使い魔だしねぇ……」


 そう言いつつも、スカーレットはさっきからずっと頭を撫でている。スカーレットは悪魔。大げさに言うが、戦いだけが、存在する意味だった。

 それが、お嬢様にあった途端、優しい姉のように変わった。私には冷たかったりするが。まあ、私のせいでもあるから仕方がないが。


「スカーレットは、お嬢様と会って変わったな。感情が増えたか?」

「どうかしら? でも、ジェイドだって。前は虐殺だけが娯楽、みたいだったじゃない」

「……そんな酷くないだろ」

「いいえ、みんな言ってたのよ……。悪魔の中の悪魔ってね」


 そう言うと、スカーレットはくすりと笑った。昔は、笑った顔などほとんど見たことがなかった。私たちにとって、お嬢様はとても大きな存在なのだ。


「そうね、まさに悪魔だったわ。剣を研ぐのがすっごく楽しそうだったわね。インディゴと戦う前の日はやったら機嫌がよかったわねぇ」

「ちょっ! おい、もうやめろったら。いつまで言うつもりだよ……。って、お嬢様に言ってないよな?」


 すると、スカーレットは「大丈夫よぉ」と言って笑った。不安だ。言ってなくても言うかもしれないしな。

 ……、本当にやめてほしい。


「そうだ、お嬢様が起きたら、ルースという娘からだが、寮ができたと伝えてくれ」

「わかったわ。早いのね。まだ一週間じゃない。でも、人数も増えたし、お嬢様もやったしね」


 前は、お嬢様は商店街や、ドーム作りに行ってしまっていた。今回はお嬢様が一つ作ったようなものだから、早いのも納得だろう。

「じゃあ、ちゃんと言ってくれよ? またな」






 にしても、いつも間にスカーレットとお嬢様はあんなに仲良くなっていたんだ? 私の知る限りでは、ただの友達だったはずだが。


「そういえば、インディゴどこいったんだ?」

 さっき、探したらいなかった。やってほしいことがあったのだが。まあ、他の者がやってくれたからもういい。

 ただ、いないとなるとまた少し心配だな。






「インディゴ。こんなところにいたのか」

「ジェイド。用でもあったか? 全部終わらせたと思うのだが」

 別に用はないというと、何しに来たんだと怒られた。ただ、何も言わずに『ソフィアお嬢様秘密の特訓所』にいるのはどうなのだろう。


 ここは、ただの芝生広場だが、魔法に耐えられる芝生が植わっている。ただ、前にお嬢様が魔法を試していたら焼け野原になったので、大した耐久はないことが分かっている。意味ないな。もしかしたら、ソフィアお嬢様のせいかもしれないが。


 なんとなくインディゴを眺めていると、彼はいきなり思い切り転んだ。

「うわあ! 何やってんだよ」

「いや、さっき降らせた小石のことを忘れていた。そこらじゅう小石だらけで、危ないぞ」

 私は土魔法の応用で、小石をすべて浮かせて砕いた。土になった元石がバラバラと地面に落ちた。


「まったく。なんでインディゴってそういうところがあるんだろうな」

 いつもなんでもできるが、肝心な時に小さなミスで死にかける。


「俺と初めてあった時も、そんな感じだっただろ?」

「あぁ。あの時か。ジェイドが助けてくれたんだよな。それに、この目の時も。目くらいですんで本当に良かった」


 インディゴは、大量の魔物に囲まれて魔力が尽きていたところを私が発見した。すぐに魔物を追い払い、治療をしたが。

 目の時は……。私も、一緒にいたのだが……。


「悪かったな……。あの時、もっと魔法をやっていれば、治せたかもしれないのに」

「馬鹿言え。あれだけしてくれたら、何も言えない。感謝してるんだからな」

「でも、子供を助けようとして……」


 インディゴは、小さな悪魔を助けようとして、自分が襲われた。悪魔だというのに、人間らしいやつだったのだ。今では、その気持ちも理解できるが、その時は不思議で仕方なかった。


「それより、フェリオスがお嬢様への告白文考えてたぞ」

「なんだと! そんなの許すわけ無いだろ!」

「おいおい。お前、何言ってんだよ。別にそこまでのことじゃないぞ?」


 インディゴは気づいていない。お嬢様の可愛さに。どうしてか、そういったところに鈍感なのだ。まあ、好みもあるなって、何言ってんだか。


「サウルがさっき、花採ってきてたぞ、花束にして」

「サウルもか! って、お前、なんで知らなくていいようなことばっかり出すんだよ」

「レオンがお嬢様の作った槍持って嬉しそうにしてたぞ」

「もういいから! 黙れってば!」


 私たちは今日も楽しくやっています。御嬢様、心配なさらないでくださいね。

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