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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第二章  ソフィアの街
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第二十八話  始めての戦争1

 次の日、私は早くから杖を持って外に出ていた。みんなの状態を確認するためだ。

 というか、まだ5時なのになんでみんな起きてるんだろう? 起きてないと思ってたんだけどな。


「ソフィア嬢! 来ました。我ら洋紅戦士カーマインウォーリア、進んでもよろしいですか?」

「もちろん。それから、フェリオス! 蜂蜜色剣士ハニーフェンサーも出して」


 クララの声が響き、みんなの中に緊張が生まれる……かと思いきや。力を見せつけてやるんだと言わんばかりに張り切っていて、緊張の色が見えないのはなんでだろう。自信があるのはいいんだけどさ。


「じゃあ、ちょっと主将さんと話してくるね。ルアンナは後ろから軍を連れて行きな。サウル、ニコライ、ナタリアもそろそろ指示を出して。じゃ、頼んだよ」


 私は移動魔法で主将のいるであろう馬車の近くに飛んだ。

 戦いの舞台は、南側の森。多くの木が生え、でも、わりと中は歩きやすい。森は広いけど、木と木の間はちゃんとある。


「はぁい。いらっしゃい、私の街へ。でも、ちょっと無礼じゃない?」

 ニコッと笑ってそう言うと、向こうは笑顔どころか固まった。おいおい、私の街だって知ってたんだよね?


「まさか、レルフの少女にこんな力が……?」

「ん、何か言った? わかるかなぁ? 私が初対面の人に敬語じゃないってことは、怒ってるんだよ?」


 当然、向こうが仲良くしよう? というようなところなら、丁寧に対応したさ。でも、いきなり攻めてくるようなところに、そんなことできるわけない。


「大丈夫、いきなり主将の首取るような優先順位のわかんない子じゃないから。さて、少将から行こうかな」


 中佐やら大佐なんかはフェリオスとか、クララとかでも頑張れば倒せるだろうし、問題ない。最悪ジェイドも回ってくれるはずだ。

 にしても。数が多すぎる。私の軍は魔力切れも考えられるな。大丈夫だろうか。


 でも、敵も予想外だったことがあるみたいだ。一つ目に、思っていたより数が少なかったこと。二つ目に、ひとりひとりの戦闘能力が高いこと。向こうの数で押す、みたいなのとは違うのだ。


「さて、あの子がいいでしょう。」

 綺麗な兜をかぶった剣士。新しいところを見ると、この戦いのために新調したのかもしれない。ごめんね、すぐ傷つけちゃって。


「はい、こんにちは。ソフィアです。あなたは?」

「! 中将の、ウィリス。主将がこんなところでフラフラしてていいのかい?」

「大丈夫。多分私が一番強い……、ジェイドの方が強いかな?」


 ウィリスと名乗るその少年は、いや、少年かはわからないけど、ともかく、彼は私と当たったことをなんて不幸なんだ、と思っているようで。顔にバッチリ書いてある。


「まあでも、ちょっと相性がなぁ。接近戦だと、魔法使うの大変かな?」

 私はそう言いつつ、杖を構えた。要は距離を取ればいいわけだ。簡単さ。

 ただし、動くのは私じゃない。

吹雪スノウストーム!!」


 空の超上級技。普通の人は使えない。でも、あいにく私は普通じゃない。

 ウィリスは、可哀想に。ずーっと先まで飛ばされていた。

 あー……。こりゃ遠すぎるや。距離にして百メートル。

 木にはぶつからないように気をつけたけど、ここまで飛ぶとは思ってなかった。


「ごめんごめん! 強さ間違えちゃった!」

 仕方がないので、私が歩いて近づいた。半泣きのウィリスに攻撃するのはちょっと哀れなので。少し待つ。


「悪かったって。あんな飛ぶと思わなかったんだ。ヴェリは完全に防いでくれたし……」

「?! これを防ぐって?!」

「完全装備だったけど。防御魔法駆使してたけど」


 そう、少し前に、一番いい装備つけて、強い防御魔法張ってもらったら、全て防がれてしまったのだ。でも、今はあの時よりも威力が上がってるかもしれないけど。


 でもまあ、この子、殺せないんだよなぁ……。どうしようか。最後の最後まで粘りそうだし。泣き虫だけど。

「あー、殺すつもりはないからね? ただ、ちょっと寝てて欲しいの。毒草ポイズンプラント


 これも草超上級魔法。超上級って、本来なら一回しか使えない『必殺技』といった感じみたい。私はなんてことないんだけどなぁ……。魔力、どれくらいあるんだろう。あまり底が見えない。


 って、そんなこと言ってる場合じゃない。ウィリスを生活魔法の中の転送魔法で臨時の治癒室に送りつけ、私は次の敵を探して歩き出した。


 と、その前に、みんなが眠らせ(きぜつさせ)てくれた人たちを手早く転送。治癒室は相当広いから、適当に寝かせておけばいいと言ってある。あまりにひどければ治癒。起きた時にはここに住んでもらえればいいんだけど。

 無理なら死刑かもね。前の流れだと。っていうか、今殺せるところを殺してないわけだし、仕方ないよね……。






 あ、今度は綺麗なローブの美少年。いや、見た目じゃわかんないんだった。男の人を見つけた。フードの下から白い、男の子にしたら長めの髪が見えている。


「こんにちは、ソフィアです。相手してもらえるかな?」

「チッ、首相が出歩くとか、どんな軍だよ。中将のルース。」

 ああっ! 今、今。ちょ、これ、いいの? 挑発して……。

「ああもう! じゃあ、本気で相手するからね?! いいんだね?!」

 無詠唱で、どころか、技の名前すら言わないんだから!


 まずは得意技から。火の噴火イラプション。久しぶりに本気で打つ。火は得意だ。レルフは赤の家系だし。彼はそれをぎりぎり避けた。いい判断だろう。防御は不可能だろうし。


「――、豪雨ヘヴィレイン

 おっと、遅いね。詠唱してちゃ、避けられちゃうよ。それに、中級魔法なんて私には効かない。あ、でも避けるのは面白くない。軽いバリア魔法で防いでやる。


 さて、水を使うってことは、水魔法を使うべきじゃない。水の扱いは上手いだろうし、操られる可能性があるから。ここは土! 私の好きな、ね。

 超上級で、赤石弾ルビーブレッド赤石ルビーは、少し火の効果がある。もうひとつの青石サファイアより、こっちのほうがいいと思ったのだ。


 さて、どうだ。と思ったら、どんどん飛んでいく。これは、飛ばしすぎだ。

 本気で撃ったとはいえ、威力はそうだけど、飛距離は落としたはずなのに。ここからじゃルースに魔法が届かない。仕方がない。弓を使おう。

 これに後ろから風を吹かせて、うん、届く。移動魔法で弓を呼び出す。


 私は学校でいろんなものに手を出した。弓くらい、なんてことない。

「少しは楽しかったよ、ありがとー!」

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