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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第二章  ソフィアの街
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第二十五話  トレアと街の発展

 気がつくと、なんとなく懐かしい気がする場所にいた。夕方の、薄桃色の雲の上のようなところだ。


「ここは……?」

「ソフィアちゃん、いきなり呼び出して悪かったわね」


 いつか見た、あの神だ。どうしてか、姿がぼやけて見えない。周りははっきりしているのに……。


「訳あって、姿を見せられないの。許してね」

 透き通った綺麗な声で言った。とりあえずは女神様と呼ぶことにしよう。


「あの、用件は?」

 言うと、女神様は静かに、真面目そうな声を出す。

「そうね。もう気づいているみたいだけど、魔王は、復活したわ」

 あれか、いつかマリアたちが言っていた……。


「多分、今のままでは勝てないと思うの。もう少し、軍を鍛えなさい。それから、必要があれば、手を貸すわ。連絡は……、そうね、使いを送るわ」

「ちょ、ちょっと待って、あなたは誰なの?」

「今は言えない……。でも、名前はないと困るわよね? トレアと呼んで」

「トレア、ね? わかった」

「じゃあ、また。そろそろ夜が明けるわ……」

 え、夜……?






 私が目を開けると、そこはいつもの部屋で、ベッドの上だった。……、夢か。

「トレアって、夢でしかうまく干渉できないのかな……?」

 いつかも夢だったし……。そんなことを思いつつ私は部屋から出る。


 つもりだったのだが。

「ソフィア様、おはようございます。私はトレア様の使いの天使エンジェルです」

 ふわっと大きな羽を持つ女の子が、窓枠に座ってこちらに声をかけてきた。


「! い、いつから居たの?」

「ずっと見てましたよ、トレア様と話している時から」

 優しく微笑むその天使エンジェルは、短いクリーム色の髪をそっとひと撫でした。


「名前は? なんていうの?」

「私は最下級の天使エンジェルですから、名前などありません。天使エンジェルと呼んでください」

 そうか、天使の中の最下級じゃ、名前も持てないのか。


「まあ、何かあったら関わることになると思うので、その時はよろしくお願い致します」






「ソフィア様、中級魔法を教えて欲しいのですが……」

 桃色魔法衣ピンクローブの一人が言った。


「え、中級? いいよ」

 私は快く了承して、いつもの練習場に案内した。


 中級魔法は、こんなかんじだ。

 火  火壁ファイアウォール  火炎フレイム

 水  水壁ウォーターバリア  豪雨ヘヴィレイン

 草  草壁プラントウォール  グロヴグ

 雷  雷壁サンダーウォール  落雷サンダーボルト

 土  土壁アースウォール  黄石弾トパーズブレッド

 空  雲壁クラウドウォール  暴風ストーミーウィンド


 空は、天気のものなのだけれど、雷となんとなくかぶる。雷、いるの?

「ソフィア様、回復魔法は、どうでしょう?」

 そうか、回復魔法か。この子達は、何でもやるつもりなんだな?


 回復魔法は、初級は小回復プチヒール、中級は回復ヒール、上級は上回復アドヴァンストヒール、超上級が全体回復ホウルヒール、神級が全体上回復オールヒールだ。

 まあ、これは得意不得意あるし、出来なくてもいいと思うが。


「ソフィア様がいなくてもなんとかなるようにしますから、早く好きなことしてくださいね?」

「えっ?!」

「まだお若いのですから。好きなことしてもいいのですよ? 百年くらいは」


 え、ひゃ、百年? この人たち、時間の感覚がおかしいよ?

 まあ、みんなが私のことを考えてくれるのは嬉しいな。ちょっとしたら冒険でもしてみようか?






 今は九月。もうだいぶ街は活性化してきた。


 まず、住民が千人を超えた。みんな私に忠誠を誓うと約束したもののみ。でなければ住むことは許されない。まあ、ポイントでわかるから、みんな必死だけどね。


 それから、いろいろな設備を作った。病院、綺麗な道路、公園、ショッピングモール、移動魔法を魔法道具にしたものなんかも。みんな楽しそうでなによりだ。

 洋服なんかも、みんなに作ってもらって、ポイントで買い取ってあげた。そういう街なのだ。


 そして、先ほど。

「ソフィアお嬢様、私も欲しいものがあるのですが……」

 控えめにジェイドが言うので、細かい事を訊いてみた。


「新しい武器が欲しいのです。今の剣が、古いもので」

 なんだ武器くらいいくらでも買ってやるのに。そういうことでショッピングモールへ。


 ショッピングモールは、私がこっそり作っていたものだ。まあ、大きくなってくると、さすがにバレたが。

 4階建てで、天井も高い。入っている店は、一階が食べ物系。普通は食堂だが、一日3食しか食べられないし、お菓子なんかはここで買う。結構繁盛しているから、どんどん新しいお菓子を作ってみた。


 二階は生活用品。当然、ここも結構繁盛する。石鹸とか、ティッシュとか。


 三階は家具・ファッション系で。かわいい家具とか、洋服とか、アクセサリーとかもある。一応、鎧だとかもここで。ちょっと違和感あるけど。


 四階は武器と魔法関係の本。本は印刷技術はないから手書きだけど、みんな相当の量を書いてくれた。内職ってことで。


 ということで、4階に行くとしよう。あ、私がどうやって買うのかって? 私の作った新作の武器を持ち込めばいいんだよ? 鍛冶も学校でやったから。それに、ここの武器は、ほとんど私が作ったものだし。


「はい、ジェイド、好きなの選んで? 今日は新作いっぱい持ってきたから、気にしないでいいよ」

 うん、私がつくればよかったんだけど。でも、こうやって選んだほうがいいかなって。


「なら、これがいいです」

 ジェイドがさしたのは、対魔物用の、特別な銀で作られた剣だ。ちょっと遊んで、持ち手をおしゃれにしてみた。まるで装飾品。


「あ、いいんじゃない? えっと、みんなー、これ持ってきたよー。こっちが銀ので、こっちは鉄だけど、軽いやつ」


 店員さんに持ってきた武器を渡して、ジェイドの選んだ武器をもらった。ちなみに、この新作は特別なものでない限り、鍛冶屋の人が複製してくれる。


「ありがとうございます! 丁寧に使います!」

 喜んでくれるのはいいけれど、使ってくれなきゃダメだからね?

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