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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第二章  ソフィアの街
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第二十二話  男の子たちとソフィア

 あらら、私ったら、何言ってるんでしょう? なんか、起きたら目の前で暴れてるジェイドを見て、うっかり頭に浮かんだ事しちゃったけど……。

 まあ、おかげでジェイドは元に戻ったし、いいか。いやいや、良くない。どうしよう……。


「ソフィア! 大丈夫?」

 フェリオスの声がしたので、私は冷静な顔を装ってそちらを向く。

「フェリオス! みんな! どこ行ってたの?」

「ソフィアの部屋に、ドラキュラが入ろうとしてたんだ。そのインキュバスは囮だ」


 私は、そこで転がっているインキュバスを見た。生きてはいるみたいだけど……。

 フェリオスの後ろにいるこの中のヴェリが、男の子を連れている。ドラキュラはその子だろう。


「とにかく、みんな無事でよかった」

 私が言うと、レオンが小さく頷いた。

「お姉ちゃん、ドレス」

 マリンが小さく言った。確かに、血でドロドロになってしまった。もう着ることはできないな。


 なんだか、パーティやるたびにこうやってなるのは、どうしてだろう。

 もうやりたくなくなっちゃうな。良い思い出が無いんだもん。こういう時に襲撃してくるの、もう止めて欲しい。


「インキュバスとそちらのドラキュラは、どうする?」

 サウルが聞いてきた。普通だったら死刑だけど……。


「まあ、死刑だろうな。ここまでやられちゃ、ね」

 ニコライが口を開く。わかってるけど、なんか嫌だ。

 でも、私が言う前に、マリンが言葉を発した。

「じゃあ、明日、処刑だね」






 家に帰ってからも、マリンのあっさりと言った言葉が引っかかっていた。

「マリンは、平気で人を殺せるのかな」

 今は、それが普通なところで暮らしている。でも、結局、そんなことは出来なかった。


 そもそも、殺人ってなんなんだろう。自然では、同じ仲間でも殺すし、強いものが生き残るのは当然なのだ。

 でも、それが人間だと、おかしく思うのはなんでだろう。結局、同じなのに。


「ソフィア、入って平気?」

「うん、いいよ」

 エベリナの声だ。私は入ってくるよう言った。


「大丈夫? 怪我したって聞いたけど」

 リリアーナが心配そうに言ってきた。でも、もう痛くないんだよなぁ……。

「平気だよ。ここまで来てくれたんだ。ありがとう」

 そう言うと、眼帯をしていないマリアがぼんやり私の体を眺めた。


「大丈夫だ。嘘は言っていない」

 マリアが言うと、二人はほっとしたように息を吐いた。すると、思いついたようにエベリナが言った。

「そうそう。私たちのこと、『リリ、マリ、リナ』って呼んで?」

「……、リリ、マリ、リナ……?」


 少し目を細めて、嬉しそうな顔をしてから、リリアーナが口を開いた。

「ソフィ。もう。仲間なんだからね? ……頼ってくれなきゃ、嫌だよ?」

「……、わかってるよ。ありがとうね」






「ねえ、ソフィアのこと、呼び捨てで呼んでていいの?」

「え?」

 エベリナたちの後に部屋に来ていたサウルを除く八人の中で、クララが聞いてきた。


「だって、住民と、おさ、だから」

 確かに、ちょっとおかしい……か? 今日はやたら呼び方について言われるな。

「別に、どう呼んでもいいんだけど……」


「私たちは、敬語を使いたいなぁって」

 さっきまで黙っていたルアンナが言った。

「な、なんで?」

「私たちだけ、浮いてるんだもん」

 そういうものだろうか。別に気になるほどじゃないと思うんだけど……。


「男の子は、ちょっとまずいみたいよ。気があるんじゃないかって、大喧嘩になりかける」

 ああ、そういうことか。まあ、喧嘩になったら困るな。でも、いきなり変えるのもどうだろう? って、ああもう! よくわかんないよ。

「好きにしてもらって構わないよ」

「ありがとうございます。ソフィア様」

 それもどうかと思うけど……。


「ところで、迷惑じゃないですか?」

「全然。むしろ、暇だからいいんだけどね」

 にっこり微笑むと、男の子組が頬を少し赤く染めていた。あれれ……?


「ソフィア様は、俺たちのこと、友達だと思ってたんですか? 身分違うのに?」

「だって、友達は友達だよ? 身分とか、関係ない」

 実際、命令に従わない使い魔(ジェイド)もいるし。あんまり実感ないんだよなぁ……。


「よければでいいのですが、欲しいものがあるんです」

「ん、なあに?」

 フェリオスは、後ろに飾ってあった私の似顔絵を指差した。


 ……。えっと、どういうことだろうか。あれは、絵が上手いという桃色魔法衣ピンクローブのうちの一人が書いてくれたものだ。大量に書かれて、処分に困った代物。


「……持っていけば?」

「おお! ありがとうございます!」

 なんだか、関係がわからなくなってきたぞ?






「ソフィア様! フェリオスがソフィア様の絵を持っているというのは本当ですか?!」

 みんなが帰ったあと、サウルが飛び込んできた。さっきの絵のことかな?


 っていうか、サウルは仕事してたんじゃなかったの? なんで飛んできた。

「なんで……? フェリオスなんかに……」

 私って、どういう立場なんですか? エルフは女の人が多いし、奪い合いになるのは男の人だ。


「欲しけりゃあげるから。ね?」

 困ったな。ジェイドにフェリオスにサウル。たしか、ヴェリもそんなようなだった噂が……。

 ちょっと! どうすればいいんですか、これぇ?!

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