表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
最終章  その後
135/140

第百三十三話  帰ってきました

 私は今、懐かしいところに居ます。一人ではありません、マリンとです。


 さて。まさか、一発で成功するとは。マリンもちゃんと連れてこれたし。

 この、車のエンジン音がとっても懐かしい。またこの音を聞けるなんて、思いもしなかった。


「マリン、行くよ」

「うん、もちろん」


 私は、ある家のチャイムを押した。本当だったら自力で入れる家なんだけど、今は。鍵なんて、持ってるはずもなく。

 しばらくすると、向こうから、大好きな声が聞こえてきた。


「どちら様ですか?」

「お母さん!」

「なっ?! 蒼海?!」


 すぐに扉が開いた。そこには、私の記憶よりも年をとっているけれど、あまり変わらない、お母さんの姿。


 今、地球に来ている。時間は、私が転生してから十六年後。私たちと同じ時間が流れているところってことになる。

 なにせ、私たちが居たのは、大昔の地球だったらしいのだ。人々がこの時代に地球が出来ただろう、と考えていた四十六億年よりもずっと前。

 ちなみに、姿を魔法で偽ってる。金髪は黒髪に、目の色も黒に。私の長い耳、マリンの尻尾も無くして。それから、年相応に見えるように。


「蒼海、今頃、なんで……?!」

「ごめんなさい。色々あったの。中入れる?」

「ええ……。もちろんよ!」


 あと、問題は私でして。死んでるからね。いくらなんでも帰ってきたら、それこそ死なれそうだよね。なんて。


「もう一人、いるんだけど、驚かないって約束して」

「? 良いけど……。彼氏とか?」

「えっ?! そ、そんなんじゃないよ!」

 慌てて飛び出してしまった。お母さんは目を見開く。

「蒼空?! そんな馬鹿な!」

「約束してって言ったじゃん。とりあえず、中入れてね」






 中は、殆ど変っていない。見慣れていた、あのまま。意外と忘れてないものだね。

 私が辺りを見回していると、お母さんはソファに座るよう言った。


「えっと、どういうことなのかしら」

「うーん、信じてくれないだろうから、ちょっと嫌だなぁ……」

「……、分かったわよ、信じるって約束するわ」


 でも、さっきの事もあって、マリンは話そうとしない。何か、考えているようだった。

 けれど、しばらくして、あっと声を出すと、耳打ちする。


(魔法を見せてあげてよ、言いやすいでしょ?)

(で、でも、びっくりするんじゃ……)

(そしたらそれまで。すぐ帰れば良いよ。夢だって思って貰えば良い。出来るでしょ?)


 ま、まあ、記憶操作だって、出来なくはないけど……。

 とりあえず、もう一度驚かないと約束して貰う。


「何が良いか……。と、とりあえず、火球ファイアーボール?」

「え、お姉ちゃん、火は危ないって」

「そ、そうか。水球ウォーターボール


 私は小さな水球ウォーターボールを撃つ。置きっぱなしになっていたコップに入るようにして。

 お母さんは悲鳴すら出せないようだった。まあ、そうだよね……。


「このように。私たち、もはやこの世界の人間じゃなくってさ」

「異世界転生を果たしたの」

「な、何を言っているの?」


 まだ信じない? じゃあ、もっと大掛かりな魔法を使おう。私は近くに人の居ない広場を見つけると、二人を巻き込んで移動魔法で飛んだ。






 私は、全部を見せた。

 全ての魔法を、説明しながら。あ、マリンが。私はマリンに従って撃ってただけ。

 流石に信じて貰えたみたい。まあ、もう此処まで来たら、信じるしかないよね。


「ど、どうして魔法を使えるように……」

「私、死んでから、異世界に飛んだの。そこで、勇者として、活動した」

「勇者? 蒼空が?」

「その呼び方、どうも慣れないなぁ……。あ、気にしないで」


 そりゃ、今の名前はソフィアですよ、と言ったところで仕方が無いし。それに、確かに私は蒼空なのだ。ソフィアは、ある意味もうひとつの人格の事でしょ?


「お姉ちゃんは、本当に、世界を救ったよ。信じるって言うなら、話してあげるけど」

「……、一応、お願いするわ」

「じゃあ、信じるって前提で話すね」


 私たちは変装を解いた。長い髪が風に舞うように動いている。

 今度は、驚いた様子を見せなかった。信じるって、言ったからだろう。


「じゃあ、ちゃんと聞いてね」

「ええ、もちろんよ」


 私がこの十六年間、何をやっていたのか……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ