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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第七章  魔王との戦い
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第百三十二話  トレア、ありがとう

「実は、私、普通の魔法が一切使えなくて……」

「……?!」


 どうやら、ダイアナは使役しかできないとか。それ以外は封印されちゃってる。

 つまり、解けば平気なんだろうけど、解けないから使えないってことか。


 封印が溶けるのは勇者が死んだ時。それまでは、配下が戦えばいいから、戦う必要ないし。

 配下も、魔族が世界を支配するのが目的だから、何が何でも従うだろう。

 魔族の性格上、それは絶対だ。戦いが好きで、常に自分が一番で居たいから。


 で、勇者が死んで、魔王が世界を支配したら。全員の目が自分に向く。

 下剋上も心配しないといけないし、そうなると、ある程度は魔法が使えないといけないんだろう。


 まあ、普通に勇者を倒して、という流れなら、この縛りは何の問題も無い。けど、この場合、問題しかないわけで。


「どうしよう。せっかく考えてくれたのに、ごめん」

「いや、いいよ。それより、別の考えるから待って」

「ソフィ、なんか悪いな」

「いや、いいよ。この中で、本当の事全部知ってるの私だけだし」

「?」


 さて、どうしたものか……。ダイアモンドの魔力なんて知らないし……。

 ……え? あ! 知ってるよ、これだもん。ってことは……。


「ああああ! そっか。ちょっと待ってて」

「そ、ソフィ……? そっか、ソフィは出来るんだったね」

「上手く行くかしらぁ……」


 私は魔力を集中させて、この石の中の魔力に合わせる。ジェイドの時と、同じように……。

 もうちょっと水を減らして……、いや、違うな。火を増やして。魔力の属性を調整しながら、ピッタリ合うように合わせていく。


「よし……。あとちょっと」


 あとは、明暗を合わせて。よし、これで良いだろう。この色こそ、ダイアモンドの、ジェイドの愛した、魔力。


「失敗したら、ごめんね……」

「えぇ?! あ、うん……」


 封印よ、解けろ。封印解除!


「え、ああ! なにこれ……」

「ダイアナさんが、光って……」


 ダイアナの周りにふわふわと光が集まって、体の中に入っていった。

 そして、何故か私たちの中にも入っていった。それを見たダイアナは、顔をしかめる。


「あ、お母様の時と一緒。多分、死ななくなったよ」

「へぇ……ええ?! ちょっと、ソフィ?」

「し、知らなかったんだから、仕方ないじゃない!」


 嘘だろ……? 不死とか止めてよ。ただでさえ長命だっていうのに。

 あ、でもそれを言ったらジェイドが可哀想。もう何千年も生きてるって言うのに、まだ……。


「はぁ。なんか、色々ごめんね。それと、ありがとう」

「ううん、気にしないでね」

「何が起きてるんだかよく分からんが、とりあえず良い、のか?」


 まあ、後でゆっくり話してあげるよ。今は、そんな気になれないからさ。

 それにしても、随分あっさりだなぁ。こんな簡単に終わっていいのかなぁ? でも、本当に魔法の練習していて良かった。ダイアナも嬉しそうだし。

 そこで、私たちはある事に気がついて窓の外を眺めた。顔を見合わせて、頷く。

 みんなで一緒に階段を駆け下り、廊下を走って、ハリケーンのせいで開いた穴を何とか越えて一階まで下りた。


「わぁ……。すごいわぁ……」

「初めて見たよ、こんなの。とても綺麗……」

「珍しいな……、この大陸で」


 空には、はっきりと大きな虹が掛かっていた。


 極端に雨が少ない魔族の国で、虹と言うのは滅多にない。一部は砂漠化してるし。

 雨なんか降っていないのに、この大きな、言葉を失うような綺麗な虹。つまり。


「トレア、ありがとう。今まで、ね。それから、さっき、手伝ってくれたんじゃないかなぁ? ねえ、トレア?」

『ふふ……。何であれ、公には、救世主はあなたよ、ソフィアちゃん。ありがとう、これで、もう満足よ……』

「? と、トレア……?!」


 サークレットから、力が抜けていくような感じがした。私は慌ててもう一度空を見る。

 虹の向こうで、トレアが手を振っていた。泣きそうだけど、笑ってるような、そんな顔だ。

 他のみんなは、気づいていない。見えていないのかもしれない。


 トレアって、いったい、なんだったんだろう? どこに、行っちゃったのかな。

 でも、多分……。星になったんだろう。この世界の星に、乙女座はないから。


「どう、したの? ソフィ?」

「なにかあったのぉ?」

「ううん、平気。トレア、今まで、お疲れ様」


 この世界を守るため。他の神に殺されそうになっても、やり通した。

 知ってたよ。トレアは、他の神に、嫌われてた事。

 みんなが地球を見捨てたのに、まだ留まってたし、そうかと思えば、滅亡寸前の星を救うのに全力を尽くす。

 運命を捻じ曲げてしまう力を、私情に使ってしまった。それは、いけない事だろう。

 でも、間違ったことはしてないんじゃないかな。


「トレアって、結局、なんだったんだろう?」

「ソフィの女神様? そうだね……」

「いつもソフィを守ってくれたしぃ。何の利益があるのか、よく分からないわよねぇ」

「だが、全てを解決させたのは、トレアだろう?」


 そっか……。


 綺麗な虹は、その後、何時間も消える事が無かった。

 さて、ついに次は最終章です。随分あっさり終わりましたねぇ。これでいいのか? ボク。

 とはいえ、もうとっくに書いてたんですけどね。最終話まで書き終わってます。あとは手直しと投稿だけ! もう少し、よろしくお願いします。

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