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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第七章  魔王との戦い
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第百二十六話  魔王さん

「初めましてだね、勇者さん」

「?! な……」


 1人の人が、窓枠に座っていた。

 足を組んで、手を腰に当て、もう片方の手は下におろして、窓枠を掴んでいる。風が吹くと、長い髪が風にたなびいた。

 そこに居たのは、私たちくらいの、可憐な少女だったのだ。


「ここに来るまで、大丈夫だった?」

「随分なおもてなしだったじゃない、魔王様?」

「え? なんのこと?」


 魔王は、キョトンとしたような顔をする。そんな顔をされたら、こっちは拍子抜けだよ。

 でも、ほんとに知らないみたい。じゃあ、あれは何だったのかな?

 って言うか、すぐそばでコンチータと戦ってたんだけど? 何故知らない?


 ちょっと待って、整理しよう。

 まず最初の問題だけど、魔王は戦う気が無い? 今の反応だと、そんな感じだと思う。もしくは、戦っている事を知らないか。

それなら、この戦いのリーダーはだれか。大体、なんでそれなのにあの手紙を送って来たのか。そして最大の問題は、魔王がなんで状況を理解していないのかだ。


「……外の様子、知らないの?」

「このカーテンは、音も、衝撃も、魔力の波動も、全て遮ってしまうから」

「そう。じゃあ、聞きたい? あんまり嬉しくないと思うよ」

「え? な、なに? でも、一応聞きたい、かな」


 なら、問題はない。私は全て言ってやった。

 外に大量の兵士がいたから、私が全ての魔法(オール・マジック)でみんな消してしまった事。

 生き残りをマリアが操り、まだ残っていた人はリリアーナの餌食になった事。

 アリシア達と戦って、最終的にハリケーンで城ごと飛ばされていった事。

 すぐそこで、コンチータとジェイドが戦った事。

 その後、何者かに落下させられた事。すぐにその人が消えてしまった事。

 そう、全部だ。


「嘘だ……。せっかく戦う気が無いってことを証明しようと思ってたのに……」

「あのさぁ、これ、どういう事なの?」

「私が聞きたいよ……。と、とりあえず、私の名前はダイアナ。もう分かってるね、魔王だよ。私の意思としては、勇者とはできれば戦いたくない。おそらく、これの指揮は全部アリシア」


 おそらくって、おい……。なんで魔王がそれを知らないんだよ。勝手にここまで大がかりに私たちを殺そうとして来れるものなのか?

 で、戦う気が無いってどういうことだろう。


「私があの手紙を送ったのは、平和に過ごしませんか? って言いたかったから」

「じゃあ、なんでその時にそう言ってくれなかったの?」

「だって、嘘っぽいでしょ? だからだよ」

「余計に戦う気がありそうに思えるよ……。で? アリシアはどうなってるわけ?」


 飛ばされてったからすぐには戻ってこないと思うけど。一応、今の最大の敵はアリシアっぽい。魔王じゃない。なら、アリシアの事を知らないと。

 魔王……、えっと、ダイアナは少し考えたような仕草をしてから、それより、と言う。


「君、エメラルドくんだよね? 久しぶりだね」

「だ、ダイアナ様……! ご立派になられて。ダイアモンド様に良く似ていらっしゃいます」

「見ないと思ったら、勇者についていたなんてね……。でも、会えてうれしいよ」


 んん……? ダイアモンドに似てるって、ええ?


「ちょっとちょっと! ジェイドの前の主人って、魔王様?!」

「あ、その……。ああ、どうしようかな……」

「全部言ってしまおうか? 最初から。ほら、そこの子たちが理解できてないから」


 あ……。そう言えば、リリ、マリ、リナは何も知らないんだった。ジェイドに、前、主人がいたことすら。

 ってことは、本当に最初から話して貰うべきかもしれない。私も、知らない事が多すぎる。


「順番がバラバラでごめんね。それだけ分かれば十分だから、話すのはちょっと待って」

「は、はあ……」

「ソフィアさんがさっき攻撃されたって言ってたよね? それ、多分アリシア」

「うそ?!」

「あの子、移動魔法で帰って来たんだよ……。もうこの辺に居るかもしれないから、バリアはっておくよ」


 そう言うと、ダイアナは守備魔法を応用したバリア魔法を部屋全体に張った。

 このバリア魔法は、外からの衝撃に強く、中からの衝撃に弱い。まあ、こちらから攻撃しようと思えば可能ってわけである。


「じゃあ、そうだなあ。三人は何が知りたい?」

「ふえっ?! えっと、ジェイドさんって、何者?」

「というか、お前が何者なんだ? ダイアナ。魔王は復活したわけじゃなかったのか?」

「あー、はいはい、訊いた私が悪かった。うん、全部言うよ。じゃあ、エメラルドくん、先お願い」

「ええええ?! なんでいきなり振るんですか?! はあ……」


 なんだか、見ていていらいらするな。ちょっと、ジェイドが一番楽しかった時知らないみたいな感覚。そして、その友達がとても仲良さそうで、1人おいてかれちゃったみたいで、悔しいって言うより、もやもやするよ。


「じゃあ、ソフィア様は知っている事ですけれど、そこから行きますね」


 ジェイドは、深呼吸して話しだした。

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