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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第七章  魔王との戦い
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第百二十一話  意志の矢

「勇者様でいらっしゃいますか?」

「は? はい……?」

「お待ちしておりました。お城までお送りします」


 いったい何を言ってるの……?


 さて、お城に向かおう、といって、小屋を崩して準備を整えた時。急に魔法の手下を名乗る人が来て、そんな事を言うんだ。

 戸惑っていると、その人は強制的に魔法を唱える。

 急にゴウッと強い風が吹き、私は右手を前に出して目をキュッとつぶる。


 風がやみ、目を開けた時には、もうそこからはお城が見える、そんな距離まで来ていた。

 強制的な移動魔法……。しかもこの多人数? そんなの、出来る人がいるの?

 人間ではないな。ってことは……。


「悪魔?」

「コンチータ様みたいに、羽を隠していたんじゃないですか?」


 移動魔法は悪魔の得意分野。もしかしたら、そうかもしれないな。

 とにかく、今のまま突っ込んで言っても危ないだろうし、作戦を考えないといけないよね?

 ということで、ルアンナに習った強力な隠蔽魔法で姿を消す。


「で、どうするべきだろうな」

「まずは……。私がアイリスと一緒に飛んで、気絶させるくらいですべての魔法(オール・マジック)撃とうか」

「では、私が残りを操ろう」

「じゃあ、私は隠れてた人とか襲えばいいのねぇ?」

「私は怪我したらすぐ治すから。本気で突っ込んで言っても構わないよ」


 自分のできる事は先に言っておくべきか? そう言う事で、私たちは勇者魔法の撃てる回数を言ってみる。

 まあ、さんざん一緒に居て、だいたいは分かってるけどさ。いちおうね。


「私は……。そうだなぁ。全ての魔法(オールマジック)は、強さにもよるけど、5発が限度かな」

「私の召喚魔法も、3回が限度だと思うぞ」

「私の矢は……。多分、500本位しかないと思うわぁ」

蘇生回復リヴァイヴァルヒールは、3回が限度だね」


 そう言えば、リリアーナも勇者の技『意志のウィルボウ』を使えるようになっている。

 えっと、リリアーナは……。






「なんだか、私だけ遅れちゃったみたいねぇ」

「まだ時間はあるし、ゆっくり行こうよ」

「そうねぇ……」


 みんなで……、たしか、獣人の国を冒険をしていた時、ぽつりとリリアーナが呟いた。

 私たちは気にしていなかったけれど、やっぱり本人は気にしていたみたいだった。

 と、話しながら歩いていると、私の杖が何かに奪われた。


「きゃっ?!」

「あ、杖が!」

「ソフィ?! 大丈夫?!」


 みんなが驚いていると、猿のような生き物がぴょんぴょんと跳ねながらこちらを見ていた。手には、私の杖が握られている。

 リリアーナは弓を手にとって猿に狙いを定める。けど、すばしこくて当たらない。


「ああ、もう! 絶対に仕留める!」

「り、リリ……?!」


 リリアーナは猿をギラッと睨むと、力強く弓を引く。ひゅん、と音がして、高速で矢が飛んでいく。今まで見た、どの時のよりも、早かった。

 でも、問題はそこじゃない。

 その矢は、真っ直ぐではなく、猿に向かって飛んでいたのだ。


 私たちはその矢を呆気にとられて眺めていた。リリアーナは意識していなかったらしい。普通に、その矢の行く先を見ていた。

 矢があたると、リリアーナはそこまで歩いて行って、杖を取ると、私の方に投げてきた。

 ぽすっと手の中におさまる。すると、リリアーナがふいに我にかえったような反応を示す。


「あれぇ? 今、私、何を……?」

「おぼえてないの……?」

「うーん……。だけどぉ、なんだか、矢を思い通りに動かす術を覚えたみたいだわぁ」






 本当に唐突に現れるんだ、これ。

 リリアーナの勇者の技は、敵に向かって飛んでいく、そんな矢を射る射り方。でも、本人は急に使えるようになってたって言う。

 そんなわけで、リリアーナは連射するだけで敵に当たる、という変わった技を覚えた。ちなみに、魔法で作り出す矢でも可能らしく、いつもポンポン魔法で矢を生み出しては、連射してる。


「ジェイドはどうする?」

「えっと……。ソフィア様の近くに居たいですけど、無理そうですね」

「そうだね。アルラウネと一緒に、兵士を『戦闘不能』にして」

「それはどのくらいの事でしょう?」


 まあ、動けなくしてくれればいいよ……。くれぐれも殺さないで欲しい。

 今のジェイドなら、大丈夫なはず。アルラウネもいるし、殺しそうになったらとめてくれるだろう。


「さて、ゆきちゃん。ある程度道が出来たら、このまま突っ切って扉に体当たり」

「にゃーん!」

「分かったね? そしたら、すぐに安全なところまで避けて」


 ゆきちゃんは、戦う事も出来るけど、魔法にそこまで対応できない。魔族と戦うには不利だろう。

 だから、扉を開けるという役目を任せた。仮にも豹だし、速さは抜群。その勢いで体当たり出来れば、破れると思う。無理だったら、私たちが援護する予定だ。


「じゃあ、みんな……。必ず、生きて帰るよ!」

『おー!』


 そう、必ず生きて帰る。そのためには……。


 魔王を、倒さなくてはならない。

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