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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第二章  ソフィアの街
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第十一話  町を作りたい!

 四年後。 

 私は小学六年生、中学三年生、高校三年生、大学四年生まで終えた。四年で。


 飛び級制度って素晴らしい、もうここまで終わってしまった。

 とは言っても、今まで何もしていなかったわけではない。


 今まで通り、魔法の練習は毎日欠かさずにやった。休みの日は、森に出かけて魔物狩りをした。

 そして、学校はもっと大変なことになっていたのだ。


 まず、いつの間にか私は、『男子が彼女にしたい女の子』、『男女共に好かれる女の子』の一位になっていたらしい。休み時間の度にサインやら何やら求められた。はっきり言うと、邪魔だった。いちいち何処に行くにも大変で。

 後、お弁当に誘われることも多かった。

 それは別に良かったけれど、私としては小五の時の人と食べたかったわけで。


 そのあと、大学三年生になった時に、生徒会長に推薦された。けど、流石に辞退した。これ以上人気が出るのは困る。今まで、普通以下の女の子だったから、ここまでの変化についていけない。


 そんな中でも、エベリナは私と同じように進級し、いつも私の面倒を見てくれた。


「ところで、ソフィア。このあと、何がしたいの?」

 卒業式の次の日、朝食を食べていると母が聞いてきた。やりたいこと……。


「家を継ぐのではないのですか?」

「だって、私たち長寿だから、暫くは、そうね、百年くらいは余裕があるわよ?」

「ひゃ、百年後……」


 そんなもんか。やりたいこと……。なら、ファンタジーで転生といえば、とりあえず。

「町を、作りたいです。一段落したら、冒険者にでも」

「冒険者はあまりオススメできませんが、町はいいのではないでしょうか?」

「土地なら、いくらでも用意できるし」


 と、こんな具合であっさり話が決まったのだった。






「え、町作るの?いいんじゃない?」

 同じく飛び級で卒業したエベリナがそう言った。

「でも、一人じゃなあ……」

 すると、エベリナがきょとんとして、不思議そうに聞いてきた。


「だって、私たちが五年生の時に同じクラスだった子、もう中三過ぎてるでしょ?」

 中三? たしか、今高一では?

「知らないの?普通は高校入んないんだよ?どうしても極める人だけ。みんな卒業したんじゃない?」


 え! 知らなかったけど! なんか全部通過しちゃったし! でも、道理で大学卒業生が少ないわけだ。

「明日でいいかな? 連絡しといてあげるよ」

 エベリナはそう言い微笑む。あぁ、良い友達がいて本当に良かった……。






「やぁー! 久しぶり! ソフィア!」

 薄いグレーか、もしくはベージュっぽい髪を持つ、青い瞳の女の子が駆け寄ってきた。

「えっ、ルアンナ?! 久しぶり! 大人っぽくなったね」


 可愛かった少女は四年で驚くほど成長していた。

 腰くらいまでの髪を後ろで低く結っている。青い目は優しい色をしていて、前より随分高い位置になっている。

 全体的に、大人っぽくなったという印象を受ける。随分変わったなぁ。


「ソフィア。久しぶり。町なんて唐突だね」

「アラーナ! アラーナは、高校卒業したんだっけ」

「少しだけ、飛ばせてもらったの」


 相変わらず、ほとんどしゃべらないけれど、言いたいことはわかるし、珍しく笑ってる。こんな風に笑ってくれるのは嬉しい。滅多く表情を動かさない分、些細な事でも嬉しいな。

 見た目は大幅に変わった、というほどではないけれど、雰囲気が少し変わったかも。


「やー、ずいぶん大きくなったね、ソフィア」

「クララ。なんかモデルさんみたいになったね」


 エルフとしては珍しく、すらっと背が高い。ピンクベージュの髪はやっぱりショート。キリッとしていて、綺麗な目も大人っぽい。

 やっぱり剣士が似合うなぁ。可愛い、じゃなくてかっこいい女の子。


「みんな、ありがとう」

 フェリオスやサウルといった、男の子もみんな来てくれた。

「皆様。お揃いでございましょうか」

 ハナが言うと、みんなそちらを向いた。


「土地は、この柵で囲ってあるところだそうです」

 じゃあ、とりあえず、柵よりも丈夫な塀を作りたい。土中級魔法の『土壁アースウォール』でいいかな。それだったら簡単に出来ると思うし。

 っていうか、どれくらい大きいのかな。全然終わりが見えないけど。まあ、町っていうのに、そんなに小さい訳も無いか。


「じゃあ、ぐるっと回って塀作ってくるから、その間に必要だと思うものとか、考えてもらえる?」

「あ、ソフィアお嬢様。この土地、1800平方キロメートルありますから、時間が掛かるかと……」


 は?! 日本で一番小さい県は香川県で、だいたい1876平方キロメートルだったはず。それと同じくらいとなると……。もはや町ではない。

 え、ちょっと待って、私、そんなに多規模な物作るつもりじゃなかったのだけれど? 待って、急にハードル上がった。


「ここにいくつか村を作る予定だったのですが、ソフィアお嬢様の要望が出ましたので、全て渡してしまおうということになったのです」

 ハナはあっさり言うけど、私半分パニックです。何とかしてぇ……。

 因みに、東西に長くて、六十キロ、南北に三十キロくらいらしい。


「まっ、まあ、いいよ。じゃあ、周は180キロメートルね?」

 シナモンがどこまで走れるか知らないが、なんとかなるだろう。何時間掛かるんだ……。うわぁ、大変だ。


 ちょこんと、とは言えないが、座っているシナモンの方を向く。もうそれで二メートルというサイズ。

「シナモン、いくよ」

(仰せのままに!)


 最近、忠誠度が上がったようだ。敬語になったから。いや、ハナになにか吹き込まれたのかもしれないな。

 ひょいっと飛び乗り、左手でシナモンにしっかりしがみついて、右手を垂直に上げる。


(では、ソフィア様。行きますよ!)

「えっ?! わっ、きゃああっ! ちょ、まっ!」


 シナモンはどんどん進んでいく。その横で、私の放つ魔法で綺麗な塀が作られている。と思う。見えない。

 けどさあ! 今までこんな速度で走ってた事ないでしょ?! 最高速度どれくらいなの? これ、速すぎるって、新幹線か!

 実際、振り落とされないのは、シナモンがうまく走っているからだろう。でも、ちょっとでも気を抜くと落ちそうだ……!


 




「みんな……。シナモン、速くなってるよ……」

 帰ってみると、三十分しか経っていない。二時間くらいに感じたんだけど。って、時速350キロ超えてない? 異常だよ、この犬。

 一応魔物の血が入ってるからかな? でもこれはない。


「お疲れ様。って、大丈夫? まあ、随分飛ばしてたもんね」

「よく落なかったね。どっかで落ちるかと思ったんだけど」

「死ぬかと思ったよ。落ちそうだったから、『(ヴァイン)』使って固定したの」

「なるほど。ソフィアって結構咄嗟の対応上手いよね」


 そうかな? 分かんないけど、少し休もう。乗ってみれば分かるよ。疲れ果てるから。

 シナモンの異常さがわかった。これは犬ではない。あ、もしかして魔法でも使ってたのかな。

 とにかく、私はもう二度と乗りたくない。もうこんなことするもんか。


「で、ソフィアがいない間に話してたんだけど、これだけあれば、ほら、国くらい機能する街ができるよ」

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