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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第六章  魔族との戦い
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第百十七話  再びアリシア

 そこに居たのは、綺麗な黒髪のダークエルフだ。

 見た事があるな。確か…………。


「アリシア!」

「やあ、君の今の名前はなんて言ったっけ? えっと、ジェイド?」


 そう、アリシア。私を操ったダークエルフだ。おそらくは……。


「ところで、私の妹はどこに居るんだい?」

「アリアンなら、今ここにはいない」

「?! ソフィア様……?! 気が付いて……」


 当然じゃないか。この子は、アリアンの姉だ。

 名前だけじゃなくて、魔力のちょっとした感じとか、そっくりだった。それに、アリアンも、もとはダークエルフだった。


「あの子は強かったよ。なのに、まさかソフィアちゃんが解いちゃうなんてねー」

「アリシア……。いったいどういう事なの?」

「私は、純粋なエルフとダークエルフのハーフさ。私はダークエルフ、アリアンはエルフとして生まれた。大きくなってから、この子を味方につけたいって思ってさ。ダークエルフにしてみたんだ」


 な……?! そんな事が、あり得るの?! ダークエルフと、エルフのハーフ……。

 アリシアは、私の顔をさも愉快そうに眺めてから続ける。


「でも、ソフィアちゃんが解いたからさ。アリアンは、『記憶を持ったまま』エルフになった。いや、戻ったんだね。彼女だけは、ダークエルフの時の記憶があると思うよ」

「そんなはずは……」

「君みたいな可愛い無知な子を騙す方法くらい、いくらでもあるさ」


 ああ、演技してたってことか。悲しいな、あんなにそばに居たのに気が付けないだなんて。

 ジェイドの事を知っているみたいだし、この人って、何者なんだろう。だって、ジェイドは、もう、千年も前に使えてたはず……。


「君もいい加減戻っておいでよ。あのお方も待っているよ」

「嫌です……。だって、ダイアモンド様は……」

「そうだねぇ。でも、子供は居るさ。どうだい?」

「嫌です……」

「君も頑固だなぁ。昔はもっと軽かったと思うけど?」


 ジェイドの昔って、どんな感じかな? でも、来たばかりは、とっても軽い感じに見えた。だったら、違うのかな。

 物事を冷静に考える事に欠けていたような感じはあったかも。力づくで悪魔仲間にしてくると事か、特に。あれは驚いたけど。


「完全に『裏』に寝返るってことじゃないですか」

「そうなるね。でもさぁ、君にとっては、悪くないと思うよー?」

「私は、ソフィア様を守ると決めた」

「そうかい。まあ、確かに似てるよねー」


 私とジェイドの元主人が、似てる? そんなはずはないと思うけど。

 だって、そうだったらここまで性格が変わるなんて考えられないでしょ。その主人と会った時に変わると思うんだけど。

 でも、ジェイドは否定しない。黙ってアリシアを見つめている。


「まあ、最悪力づくで呼び戻すよ。悪魔の光線(デヴィルビーム)

「止めろ! チッ……」


 ジェイドは羽を広げて軽く地面をけると、自分の周りにバリアを張った。なんて強力な守備魔法……。

 光線はすべて解けるように消えていった。


「あれ、ずいぶん強くなってるね。君がこの光線を防いだとはなかったと思うけど?」

「そりゃあ、人って言うのは、変わっていくものでしょう?」

「考えも、言葉遣いも丁寧になったね。ますます味方に欲しいよ」


 何が起こっているのか分からないけれど、このままではジェイドが連れていかれそうで嫌だ。

 でも、さっきまでみんなで練習試合してたし……。ここに居るみんなは、結構力を使いきっちゃってたりする。インディゴとスカーレットの魔法は効かないし……。それ以前に、この2人は明らかに強いアリシアに動揺してる。それと話す、ジェイドにも。


「ゆきちゃん、こっち来て」

「にゃーん?」

「危ないから。動かないでね?」


 私は十分注意してから、魔力を溜め始める。アリシアの興味は、一瞬でジェイドから私に移った。

 すべての魔法(オール・マジック)を、弱めに。消すほどは使えないから、ダメージを与えられればいい方だろう。


「全ての神々よ、ここに集いたまえ。我に力を貸したまえ。今、力を解き放ち、我の敵を滅するのだ」

全ての魔法(オール・マジック)


 アリシアはニヤッと笑ってそれを見ていた。


「なるほど。あの忌々しいボスを倒したのは、この魔法ってわけね」


 アリシアは笑ったまま手を前に差し出す。光線ビームに設定したすべての魔法(オール・マジック)がその手に触れたとき……。

 バチッと火花が散って、光線は跡形もなく消え去った。


「な……、あ……」

「ほら、こんな魔法が効くとでも思ってたの?」

「そ、ソフィア……」


 どうしよう……。みんなを守りたいのに。このまま負けるなんて、出来ないのに……。


『私たちが何とかしてあげる』

『私たちに、任せて』

「! そう、だね。みんな、手伝って!」


 ぴかっと光って、大量のスライムが出現した。リーダーのみんなが唖然とした様子でそれを眺めている。

『……なんで?』


「お姉ちゃん、大丈夫?」

「私たちが、倒してあげる」

「エリシュカ、ヤルシュカ。よろしくね」


 それを見たアリシアは、初めて目を見開いて焦ったような声を出す。


「ちょ、ちょっと! こんなの反則-! ズルすぎるって!」

「問答無用!」

 エリシュカとヤルシュカは、大量のスライムをアリシアに飛びかからせた。


「こ、こんなの無理! 退却ー!」

「あ、ちょっと!」

「仕方ないよね」

「もう終わり」


 アリシアが逃げていくのを、2人はそのまま眺めていた。これ以上はどうしようもないってことなんだろう。

 すると、スライム達も襲い掛かるのは止めた。と同時にアリシアは移動魔法で消えていった。


「そ、ソフィア、いつの間にスライムを……?」

「この前、冒険した時なんだ」

「お姉ちゃん、海から来たの」

「流れ着いてた」


 みんなは何が起こっているのか分からないようだったけれど、声をそろえて呟いた。

『なんて、危ないことしてるの(ですか)、ソフィア(様)』

「ご、ごめんなさーい」

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