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金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第六章  魔族との戦い
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第九十八話  魔族戦争(マリア)

「ジェイド! ソフィ、一体何を……」


 一番に目に入ってきたのは、楽しそうに大滝キャタラクトを撃ちまくり、ジェイドを溺死させようとしている、ソフィアの姿だった。


「ジェイドさん! 今助けますぅ!」

「ソフィ、なんてことをしてるのさ!」


 隣にいた二人が叫ぶ。白髪の少女が、ジェイドの周りにバリアを張った。

 ジェイドは自力でこちらまで歩いてきた。私たちを確認すると、ホッとしたような、困ったような顔をする。


「ありがとうございます、エベリナ様。マリア様に、リリアーナ様も……」

「それはいいの。で? どうなってるの?」

「裏切ったのかしらぁ? そうなれば、殺すしかないけれどぉ?」


 ジェイドは泣きそうな顔をする。私には、それが何を意味しているのか、よくわからない。

 なにせ、選択肢が多すぎる。ソフィがそんなことするはずない、と考えると。


「操られた、のか?」

「さすが、マリア様。そういうことです」


 そう言うと、ジェイドは胸を抑えて大きく咳き込む。長い間、水の中にいたのだろうな……。

 本当に、何て事をしてくれるんだ、魔族は……。


「大丈夫か?」

「え、ええ……。ソフィア様に殺されるみたいで、正直、やめてほしいんですけれど……」

「まあ、ソフィではあるな。それより、殺されていなくてよかった」


 リリアーナがちょっと首をかしげて聞いてくる。


「ねえ、解く方法は、ないの?」

「なくはないんですけれど……。一度、眠らせれば。そんなこと、できますか?」

「眠らせればいいの……? そのあとは? 絶対出来る?」


 ジェイドは考えを巡らせるように視線を動かす。それから、ちょっと困ったように言う。


「解除魔法を、最大まで強化して、全魔力を注ぎ込めば」

「出来るん、だな?」

「でも、それには、これ以上魔力は使えません」


 私はリナとリリを見る。二人は同時に頷いた。なら……。大丈夫だろう。

 不安なのは、他の兵が、ジェイドが、巻き込まれないか、だな。


「私たちが請け負う。さんざん練習で戦わせてもらったからな」

「全部負けちゃってたけど、操られたソフィになら、勝てると思うよ」

「フェイントとかが、ソフィはうまいのよぅ」


 私たちは武器を構える。すると、小さな女の子達がワラワラと出てくる。


「じゃあ、催眠魔法は、ボク達に任せて!」

「ただ、詠唱にすっごく時間がかかるの」

「みんなでやるから、誰かが攻撃されたら終わりだよ」

「攻撃を全部防いで欲しいの」


 ソフィのアルラウネたちだ。みんながいるなら心強いな。

 実際、ソフィを眠らせる魔法は思いつかない。催眠の得意なアルラウネ達がやってくれるなら平気だろう。

 この子達に、絶対に攻撃させてはいけない。それくらいなら、なんとかなると思うのだが……。


 操られたソフィはにやっと笑って魔力を溜め始めた。溜めるのは一瞬だ。出した技は……。猛火ローリングフレイムか!

 私は死海デススィーを使って妨害レジストする。ソフィに勝つため、詠唱短縮の練習は欠かさずやったのだ。威力は劣るが、スピードなら、勝てなくとも、互角にはなれるだろう。


「マリ。神級も使えるんだったね」

「お前……。ソフィに何をしてくれるんだ」

「ん? なぁに? ……変なの」


 喜怒哀楽が、少し、ソフィと違う。だから、操られているのは、よくわかる。

 エベリナが魔法を連射しているのが目に入った。ソフィはにっこり笑うと、手を軽く出しただけで全て消し去った。


「な……?! これ、ほんとにソフィなの?」

「なんか、強くなってる気がするんですけどぉ?!」


 リリの矢も、あっさり消されてしまった。こんなの、詠唱が終わる前に……。

 アルラウネたちを見ると、手で『あと一分』と合図を出してきた。一分……。もつだろうか?


「そうそう、アルラウネたちを先になんとかしないとだったね」

「やめ……!」


 リリが慌ててバリアを張る。魔法は消えたが、リリは大きく吹き飛ばされた。

「きゃあ!」

「リリ!」


 リナが飛ばされたリリを抱きとめる。リリは一言、「こんなの、勝てない」と呟く。

 私もそう思うが、ソフィの体で人殺しなど、させるものか。それこそ、自殺するぞ。


「お願い……。助けて、ユニ!」


 巨大な魔法陣が浮かび上がり、私の愛しいユニが召喚される。

 ユニはソフィを見ると、戸惑ったように振り返った。私が静かに首を横に振ると、理解したようで、悲しそうに前を向く。


「本気で、止めて。でも、殺しちゃ、ダメよ」

「マリ……。お願いね!」

「ユニちゃん、頑張ってぇ」


 ユニは任せろ、とばかりに首を縦に振る。

 ジェイドが後ろで魔力を溜めている。アルラウネたちが詠唱を続けている。

 みんな、成功すると思っているんだ。私たちが諦めるわけにはいかないだろ!


 私は、ソフィの魔法を妨害レジストすることに力を入れる。ユニが、ソフィに少しずつダメージを入れてくれているんだ。私は、私のできることをするべきだろう?

 にしても、魔法の威力が高い。魔力を多く込めているのが分かる。その魔力は、いったいどこから……?! 異常すぎる。


『儀式魔法 催眠花粉・強!』

 アルラウネたちが一斉に魔力を放つ。ソフィはちょっと困ったような顔をする。

「儀式魔法……。これはまずいかもね。諦めよっかな。ご主人、ごめんねー」

「ご主人様は、ボク達が助けるの!」


 アルラウネたちは黄色い粉のようなものをソフィに浴びせる。ふっとそのまま倒れたソフィ。


「助かります! 解毒ポイズンヒール!」


 ジェイドが込めた魔力が、ジェイドのほぼ全ての魔力だと気がつくのに、だいぶ時間がかかった。

 確かに言っていたではないか。全魔力を込める、と。その時は、使える魔力の、という意味だと思っていたが……。


「おい! ジェイド! それでは死んでしまうぞ!」

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