運動部的練習方法
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
結局アビリティーの説明は聞いてもらうことが出来ず、なし崩し的に練習が始まってしまった。
響と志保はいつも通り、的を使った弓や魔法の練習、奏は大和との試合形式の練習だ。
「今日こそあんたに一発入れるわ!」
『そのまま再起不能にしてあげる!』
「その感情のふり幅どうにかならんかね!?」
『徹底的に叩き潰して服従させてみる? ハーレム要員になるかもよ?』
「やっぱりハーレムってそういう意味だったのね! 絶対に響たちには手出しさせないわよ!」
「余計なことは言わんでいい! つかちげぇ!」
容赦なく振り下ろされる、全力と殺意のこもった剣を受け流し、石突きで隙の出来た場所を示すように打ち込んでいく。
奏はそれを体で覚え、次同じ動きになった時、隙をカバーしながら攻撃を放つ。
そんな繰り返しが、少しずつ奏を成長させていた。
「ほれ、右に気が行き過ぎだ」
「このっ!」
基本的な隙が減ってきたら、今度は誘導して隙を作らせる。大和が右からばかり攻撃を仕掛けてくるせいで、知らず知らずのうちに右ばかりを警戒するようになっていたのだ。すると、自然と左側の注意が散漫になり、そこに隙が生まれやすい。
「簡単に誘導されんな。格上なんていくらでもいるだろ」
視線や注意を誘導されるのは、相手のペースに飲まれてしまっているからだ。それが起こりやすいのは、格下の相手よりも断然格上の可能性が高い。
高レベルの戦いは、いかに自分のペースに相手を巻き込むかが試合のカギになる。自分の土俵で戦えれば、必ず勝てる。そんな自信を裏付けするために、必死に腕を磨いてきた猛者たちなのだ。今の奏では、そんな猛者たちの相手をすることなど、不可能だろう。
「自分のペースが乱されたと思ったらすぐに引け。無理に戻そうと突っ込むと、どつぼにハマんぞ」
「くっ」
「バカか、強引に引いたって隙作るだけだ!」
少しペースを崩した時点で、後方に下がる奏だが、何もせずに後ろに下がったって意味が無い。
奏が後方に飛んだ時点で、大和は一歩踏み込み奏の手首を叩く。
痛みと衝撃で奏が剣を放した隙に、回し蹴りを横っ面に叩き込む。
吹き飛ばされた奏は、床を転がりながら壁の近くまで進み止まった。
「ちったぁ考えて動けや。言われたことやってるだけなら、ガキでもできんぞ」
「このガキが……」
腕を付いて何とか体を起こす奏が大和を睨みつける。その視線は鋭さを増し、鋭利な光が灯っている。
それを見て、まだやる気十分なのを確認した大和は、足元に転がっているティアラを奏に投げつける。
渡すような放物線を描く軽い物ではない。例えるならば、やり投げのように敵を突き刺すための投擲だ。その軌道の先には、もちろん奏がいる。
驚きながらも、奏は転がって飛来する剣を躱す。剣が床へと突き刺さり、砕けた床の破片が周辺に飛び散った。
余談だが、練習室の床は小さなブロックがいくつも敷き詰められた状態で出来ており、破損した部分だけを取り換えることで修繕が可能だ。その修理代は全てバベルが持っていると言うのだから太っ腹である。
「ほら立てよ。そんな目ができるんならまだ行けるだろ」
「やってやるわよ!」
ティアラを杖替わりに立ち上がる奏は、変換フィールドの効果で傷こそできていないが全身ボロボロだろう。証拠に、膝が僅かに振るえている。
しかし、気力で立ち上がり、大和に向けて剣を構えた。
「その意気だ」
口元に笑みを作り、立っているだけで精一杯であろう奏に向かって、大和は突撃をかけた。
練習を開始して二時間ほどすると、部屋全体にベルが鳴る。何事かと大和が攻撃の手を休めた瞬間、奏は僅かに残った力を振り絞って大和に殴り掛かった。
しかし速度は遅く、よそ見していた大和でも余裕で受け止められるそのパンチは、受け止めた大和の手の平を弱々しくパチンと鳴らす程度だった。
「残念」
「……」
何かしゃべる力も残っていないほど疲労していた奏は、そのまま大和にもたれ掛る形で崩れ落ちる。大和は奏を受け止め、その場で横にした。
「ちょっとやりすぎじゃないかしら? これじゃ奏が持たないわよ」
声を掛けてきたのは、二人の練習をずっと見ていた真彩だ。汗でずぶ濡れになった奏の顔をタオルで拭いながら様子を確認すると、ただ眠っているだけだということが分かった。
しかし、たった二時間程度の練習で、脳が強制的に睡眠を必要と判断するほどの疲労を与えるなど、尋常な事ではない。
「ンな事ねぇよ。まだ魔法の併用もしてねぇしな。それに、ちゃんとこいつの意思も確認しながらやってるから大丈夫だ。どうせ、目を覚ましたらまた殴り掛かってくるだろうし、俺は飯でも食いに行ってるわ。さっきのベルってその合図だろ?」
大和が練習の最後に気を取られたベル。時間を確認してみれば、ちょうど十二時だったこともあり、それを告げるベルなのだろうと当たりを付けていた。
そこに、練習を辞めた響と志保がやってくる。
「お姉ちゃんどうしたんですか?」
「疲労で寝てるだけよ。私が見ておくから、三人はご飯食べてきなさい。帰りに私たちの分のご飯も買ってきてね」
「分かりました。何か希望はありますか?」
「サンドイッチが良いわね。奏には体力が付きそうなのが良いと思うわ」
「じゃあハンバーガーとかでも大丈夫そうですね。頑張ってるお姉ちゃんにちょっと豪華なのを買って来ましょう。では行ってきますね」
真彩に見送られて練習室を後にする。
「さて、どこ行くかな」
「バベルの中に一通りの物はありますからね。二人は何か希望はありますか?」
バベル内には、観客用やスタッフ用も含め、かなりの数の飲食店が入っている。ファストフードを出す店もあれば、試合会場が見られる客席を用意する本格的な料理店まで、多種多様だ。
大和はイクリプスに表示してもらった店の種類を見ながら考えるが、特にこれと言って希望が思い浮かばない。
すると、志保がすぐに希望を出してきた。
「今日はカレーな気分」
「カレーですか」
「どこかいいところ知ってる?」
「どこかありましたっけ? シルバリオン、カレー屋さんで検索してください」
『了解しました――――徒歩十分以内のカレー店を表示します』
「あ、表示はディスプレイに」
響がポケットから携帯ディスプレイを取り出すと、すでに地図が表示され、そこに赤い点が浮かんでいる。
全部で五つのようだが、その内二つはチェーン店のどこにでもあるもののようだ。チェーン店の一つはバベルの中にある。
「チェーン店は却下。本場の味希望」
「じゃあ三つだけですね。情報は」
ディスプレイを操作し、三つの店の情報を表示すると、一つ目の店は日本語が通じないらしいので論外、二つ目は味に自信ありだが、店内の画像はかなり汚い。女性が行きたいと思える内装では無かった。
残りの一つは幸い、見た目もよく、味の評価もなかなかだと言うことで、満場一致でその店に決まる。
「じゃあ行きましょうか。シルバリオン、ナビお願いしますね」
『了解しました』
行先を決めた三人は、シルバリオンに案内を頼み、そこへ向かった。
「うっ……」
「目が覚めた?」
奏がゆっくりと瞼を開くと、真彩の顔が逆さ向きに見えた。その先に天井が見えたことで、奏は自分が床に寝ているのだと分かった。
「あれ?」
「練習途中で、気絶するように寝ちゃったのよ」
「寝てた!?」
驚いて体を起こし振り返ると、正座した姿の真彩が目に飛び込んでくる。その膝にはタオルが敷かれ、自分がひざまくらで眠っていたのだと気付かされる。
「強制的に落ちるほど疲労してたみたいだけど、体は大丈夫?」
「ええ、多少節々が痛むけど、軽い筋肉痛って所ね」
「たった二時間であなたがそんな状態になるなんて異常よ? 自覚してる?」
奏は最前線で戦うフォワードだ。それだけ運動量も激しく、日ごろから練習が無い日でも筋トレだけは絶えず行っている。そうしなければバベルクライムの運動量に耐えられないからだ。
そんな奏でさえ二時間で落ちたのである。体に異常が出てもおかしくない。
「ええ、かなりキツイ練習だってのは、私が一番よく分かってるわよ。ていうか、あいつ私の顔蹴ったのよ!? いくら変換フィールドがあるから大丈夫だって分かってても、普通蹴る!? 二十歳の女子の顔を!」
「あれは凄かったわね」
顔を蹴られ転がる奏の姿を思い出しながら、真彩もしみじみと頷く。
いくら怪我をしないと分かっていても、女の子の顔を蹴るなど、普通ならば少しは躊躇うものだろう。しかし、大和は一切の躊躇なく全力で蹴りを叩きこんだのだ。
「あいつは容赦なしに私を叩き潰そうとして来るわ。なら、私は全力で迎え撃つだけよ」
それは練習ですることではないのじゃないだろうか。そんな真彩の気持ちには気づかず、奏は言葉を続ける。
「それにね、さすがに二時間もやってると、私自身でも動きが変わって来たのが分かるのよ。なんて言うか、考えながら剣を振るようになった感じ」
これまでの試合では、自分より実力が下の者が多く、ひたすら相手の隙をついて攻撃を仕掛けることしかしてこなかった。しかし今、自分より実力が上の相手と戦ってみて気付かされることは多かった。
いかに自分が猪突猛進だったのか。技に頼らず、勢いだけで攻めて行こうとしていたのかがよく分かった。
そもそも、相手に隙が見つからないのだ。だから自分がどこを攻めればいいのかが分からない。なのに相手は平然とこちらに攻め込んできて、隙を作らされる。
隙を探すのではなく、隙を作らせる。これが実力者同士の戦いなのだと、体に理解させられたのだ。
「あいつと戦えば私はもっと強くなれるわ。真彩、止めないでよ」
「はぁ、分かったわ。けど、さすがに危ないと思ったら何と言われようと止めるわよ。大切な社員が過労で倒れたなんて話題が出たら、別の意味で宣伝になっちゃうから」
「ええ」
「なら皆が戻ってくるまで休んでなさい。ご飯も買って来てくれるから」
そう言って真彩は奏の顔を強引に自分の膝に押し付ける。
「ちょっ、ちょっと!」
「はいはい、暴れないの。しっかり寝て疲れを少しでも取る。午後も練習は残ってるんだから」
「……ありがと」
「それでいいのよ」
真彩に頭を押さえつけられたことで暴れるのを止めた奏は、三人が帰ってくるまで、もう一眠りすることにした。
食事を終え、真彩に頼まれた昼食と共に響たちが戻ってくる。
「ただいま戻りました」
「サンドイッチとハンバーガー買って来た」
「お帰り」
大和たちが部屋に戻ってきたことで、奏が再び目を覚ます。
「あ、お姉ちゃんおはよう」
「おはよう。ご飯ある?」
「ハンバーガーを買って来てありますよ」
「ありがと」
奏たちに昼食を渡し、ロッカールームからテーブルと椅子を引っ張り出す。
全員がそこに座り、奏たちが食べている間、大和たちはその横でジュースを飲みながら駄弁って時間を潰す。
そんな時、真彩が思い出したように大和に話しかけた。
「そう言えば大和君」
「ん?」
残ったコーラをゾゾッと吸って飲みほし、大和が真彩を見る。
「大和君の部屋。確認が取れたわ」
「おお、そう言えばどこになったんだ?」
「あのままよ」
「へ?」
真彩の言葉に、大和のみならずその場にいた全員が固まった。
「だからあのまま。何でも、第二課で集めちゃったみたい。今後がどうなるか分からないから、開けるならいっぺんに纏めて開けちゃいたいってやつなんでしょうね」
「マジかよ」
その事実を聞いて、大和は恐る恐る奏を見る。
奏は肩を震わせていた。その手に持っていたポテトが無残に潰れている。
「えっと、奏さん?」
「許す訳ないでしょうが!」
ダンッとテーブルを叩き立ち上がる奏。その衝撃でテーブルの上の物が飛び跳ねるが、こぼれそうな物は響と志保がしっかりと自分の手元に退避させている。
「なんで会社がそんな特例作ってるのよ! てか、第二課がつぶれる前提って話も気にくわないし!」
「そんなこと言われてもね。普通に考えれば、ランクアップまで今後無敗なんて、今の成績じゃ到底無理な話だし、もう上層部じゃ潰れた後の話でも進んでるんじゃないかしら?」
「ふざけんじゃないわよ! 真彩、上司の連絡先教えなさい! 直接文句言ってやる!」
「そんなことしたら即クビになるわよ。社会人ならここはグッと堪えて成績を残すべきよね。会社は個人じゃなくて、成績を見るんだから」
「くっ……でも」
良いように言い含められた奏は、助けを求めるように響を見る。しかし響はニコニコとほほ笑んでいるだけだ。志保は当然見て見ぬふり。
「響本当にいいの? 昨日だけじゃなくてずっとになるのよ? アビリティーにハーレムなんて持ってる奴が隣の部屋にいるなんて怖くないの?」
「ちょっと待て! だからアビリティーの名前は――」
「大丈夫だと思いますよ? 見ている限り、大和君がそんなことするようには思えませんし、セキュリティーだってシルバリオンがいますから」
大和の言葉を黙殺し、響は奏に応える。
「そうじゃなくて音とか」
「それも大丈夫だと思いますけどね。基本私の部屋って二人のうちどちらかがいますし、二人がいない時もテレビや音楽を流してますから、生活音はかき消されちゃうと思います」
『そうですね。故意に聞こうとでもしない限り、響様の生活音が周りに漏れる可能性はかなり低いかと想定されます』
響の言葉を裏付けるように、シルバリオンがデータとしてそれを判断する。そうなると奏からは何も言うことが出来ない。
「まあ、何言っても大和君の部屋が変わることはないんだけどね。問題があれば特例を作った上の責任になるし」
真彩は奏の手元からポテトをつまみ口に運ぶ。
「問題があってからじゃ遅いでしょうが! あーもういいわよ! 私がなるべく響の部屋にいればいいだけの話なんでしょ!」
「それじゃいつもと同じですね。なんの問題も無いです」
「あれ……なんかハメられた?」
気付いたときには、大和の部屋は304で確定しており、奏も承諾した形になっていた。
「じゃあ大和君の部屋に家電をそろえないといけないですね。あの部屋って入った時はベッドとテーブルと洗濯機以外何もないですし」
部屋が確定したとなれば、そこを住みやすいように設備を整えなければならない。
現在の部屋には、冷蔵庫も電子レンジもテレビも無く、最低限の生活をするにも不便な状態だ。
一日だけならそれでもよかったのだが、これから毎日となると、電子レンジや冷蔵庫は必須となる。
「じゃあ練習が終わったら買いに行ってくるか。駅前の量販店なら全部そろうだろ」
「そうですね。たぶん一人暮らしセットみたいなのがあると思いますから、それからいらない物を抜いて交渉とかすると良いかもしれませんよ」
家電屋などでは、入居の際に必要になる家電を、安いものを集めてセット販売することがある。その際、すでにあるものを減らして、値段自体を減らすことも、場合によっては可能だ。
物自体は安物だが、一人暮らしならばわざわざ高級な物など必要ないため、十分なのだ。
だが、大和は交渉と聞いて躊躇う。
「交渉とかやったことないしな」
『大和なら逆にいらない物まで買わされそうだよね!』
「マジでそうなんだよな」
ド田舎に暮らしていたせいで、交渉などのトークセンスは皆無の大和だ。商品を減らすつもりが、店員の口車に乗せられて、あれよあれよといつの間にかいらない物まで買ってしまっている可能性が否定できなかった。
「なら私が大和君と一緒に行きましょうか?」
「いいのか?」
大和としては、響が一緒について来てくれるのは非常にありがたいが、自分一人でもできることの為に、わざわざ他人を同行させてしまうのは、悪い気がした。
しかし、響はもちろんと頷く。
「ちょうど私もそろそろレンジを新調しようと思ってましたし、送ってもらうのも高いですから、荷物持ちが欲しかったんですよ」
大和のように、セットで大量に買うのならば、送料を無料にしてもらえることもあるが、レンジなどの一人でも持ち運びが可能な程度の大きさでは無料にしてもらうのは難しい。しかし、響一人で持ち運ぶにはレンジは大きすぎて面倒なのだ。真彩に車を出してもらうことも可能だが、なにかと忙しい真彩をレンジ一つの為に足に使うのは躊躇われた。
「そう言うことなら大歓迎だ。肉体労働は得意だからな」
「じゃあ決まりですね。真彩さん、今日は練習が終わったら直帰で良いですか?」
「そこまで話決めてからこっちに振られても、良いとしか言えないじゃない……」
「えへへ、ありがとうございます」
「あ、じゃあ私も――「お姉ちゃんは夕飯の材料買っておいてくださいね。朝、渡したメモはちゃんと持ってきてます?」
「はい……」
ついていくと言おうとした奏は、あっさりと響によって封じられる。食事の面倒の一切を見てもらっている奏と志保は、その代りとして食材の買い出しやゴミ捨てなどの雑事を任されていた。
今日は材料の量が多い事もあって、志保も奏に同行することになっているため、志保が奏の命令で響たちに付いてくる心配もない。
『ねぇねぇ大和』
「ん、なんだ?」
いつの間にか奏の手元から抜き取ったポテトを齧りつつ響たちの会話を聞いていた大和は、イクリプスから声を掛けられ反応する。サポートAIが自ら主人に声を掛けてくることは珍しいため、かなり重要な案件であることが予想された。
『あの約束覚えてる?』
「約束?」
何か重要な約束をしたのだろうか。思い出そうとしても、そんな重要な約束を誰かとした覚えはない。
「なんかあったか?」
『忘れてる!? ほら! 所属が決まったら腕輪と杖を新機種にするって約束したじゃん!』
「ああ、お前との約束か。てかお前、自分のことを重要度最優先に持ってくるってどういう思考ルーチンしてんだよ……」
『本当に重要な事なんだよ! バベルクライムに参加するのに、型落ちの機種で行く気!?』
バベルクライムに参加することが決定したこともあり、現状の機種で参加するのが主人に対し不利益を被る行為だと判断したイクリプスが、強引に優先順位を上位に持ってくることに成功したのだ。
「それもそうだな。なら腕輪と杖も買うか」
『やった~、選ぶのは私だからね!』
「はいはい、とりあえず午後の練習再開だな」
時刻は一時に差し掛かろうとしていた。大和が立ち上がり杖を復元させると、それに気づいた奏や響も立ち上がる。
志保はギリギリまで粘っていたが、真彩の給料という一言で素早く立ち上がった。