脱ニート
高度3千メートル
下を見ると海岸線と家や畑が見える、俺は目が眩んだ
「…8……8番……おい聞いてるのか8番機!」
「っ!っはい!了解であります」
どうせ作戦通りだ、適当に答える
作戦通り敵が見えてきた、一昔前は肉眼で確認してたそうだが今は違う
顔に内蔵された画面に機体じゅうに設置されたカメラからの映像が入る、我が国の変態技術者どものおかげで注視するだけで拡大され近づけば後ろに居ようとロックしボタンを押せばミサイルが飛ぶ
体も¨強化¨され生身の2倍のGにも堪える
でも俺は軍人でもなけりゃ傭兵でもない、ただの俺はニートだ
いや…ニート¨だった¨
国の周りがきな臭くなってたのは何年も前からだ
始まりは知らねぇが最近の世界の流行りはテロに虐殺に難民、世界中…海だろうが陸だろうがかんけいねぇ、文字通り世界中で戦闘が起きてる
さすがに何百年も平和でボケまくりの我が国でも自分達を守るために国をあげての防衛戦の準備を始めた、家族はみんなして戦争の為に毎日工場勤め、でも俺はニートしてたその時は情報統制でろくな娯楽が無かったがまだ外には出なかった
そしてある日家族が大分早い時間に帰って来た
足音がいくつもして俺の部屋の前で止まった
(あ?なんだ……まだ飯の時間じゃねーぞ)
「お前に断らないで決めるものでは無いかもしれないがお前の就職先が決まったぞ」
(面接は?)
俺が混乱してるうちにドアが開いた
父の他には二人のむか~しの荒くれ者みたいに怖い強そうなオニイサンが二人いた
そして怖面のオニイサンズに俺は連れられたのだった
連れられた先は病院のようだったり基地みたいだったりした
ようだ、みたいと言うのは病院では普通居るはずの老人や子供または怪我人、病人が居なく設備や外観内装は病院なのにどこかおかしかった、基地もまた同じようにおかしく軍人には見えない白衣のおっさんが沢山いた
病院では各種検査後に手術をし体を強化され基地では罵声と暴力により精神を鍛えられ訓練により実戦が可能となった
行った場所はどこもおかしかったが一番おかしいのはこの世界なのかもしれない
こうして医療と科学により以前より強力すぎる肉体を訓練により精神力と技術を手に入れた俺や他の元ニートどもは実戦の行われる前線に送り込まれるのだった
最初の任務は大陸からの攻撃に対する防御の支援だ、何でも肉体強化により視力、体力、精神力、何より対G能力が生身の人間とは比べられないくらい凄いので普通の人間では不可能な機動が可能になるそうだ(眉唾ものだが)シミュレータは普通ではない機動をしていたそうだが俺には分からなかった
実機でやってみてもシミュレータと同じように動く機体になんの疑問も抱かなかった
実戦では敵の動きは遥かに鈍く遅いので逆に戦うのが難しかった後ろを取ったが追い越したり、宙返りをして後ろを取ろうとしたら2周3周してしまったり慣れるのに苦労した、慣れたら楽すぎて暇で、ついわざとロックさせてミサイルをギリギリになって避けたり機体に無理させる飛行をして整備の人に何度殴られたことか
脱ニートをできたしいつ死ぬか分からないスリリングな生活も良いものだ