学校、それと部活
-寮-
町田さんにはすぐ入学手続きをしてもらい、更には俺と直輝の為に寮の部屋まで用意してくれた。
感謝しても感謝しきれないので、町田さんに感謝の気持ちを伝えると
町田「そんなのいちいち気を使うことじゃねぇよ!」と言いながら思いっきり頭を叩かれた
町田「んま、これからビシバシ陸上で鍛えていくから覚悟しろよ!」
一つ間を開けて俺たちは大声で
瞬・直輝「はいっ!!」と言った
とそういうことがあって、今は寮の俺兼直輝の部屋にいる。
つまり俺と直輝は相部屋だ。
突然の転入だったので部屋がなく、仕方のないことだから不満はない
直輝「今夜は6日ぶりのベッドでの睡眠だな」
瞬「いやぁ辛かった」
直輝「猪出たときは死んだかと思ったわ」
瞬「俺らよく生き延びてたな!」と笑いながら言った
確かに俺も、山を登ってる時に猪が出た時は死を覚悟した
直輝「もう11時だし疲労溜まってるからそろそろ寝よう」
瞬「そうだな、それに明日からは初めてのちゃんとした高校生活だ」
直輝「すげぇ楽しみだわ」
瞬「そうだな」
直輝「さ、寝るか。おやすみ」
瞬「おやすみ……」
-教室-
瞬「清峰瞬です!15歳です!よろしくお願いします!!」
俺の自己紹介で歓声が教室を包む。
直輝とは違うクラスになってしまったけど、このクラスの雰囲気いいなって思った。
担任「清峰君は特待生ということで編入してきました。というわけで同じく陸上部の三俣君がこの学校に
ついて教えてください。」
三俣「はーい」
三俣と呼ばれた男は返事をした
どうやら同じ陸上部らしいので仲良く出来たらいいなと思った
担任「えー、じゃあ清峰君の席はあそこだな」
と、担任に指された一番後ろの席に座った。
担任「それではSHR始めます」
SHRが開始して時点でもう俺は異世界に来た気分だった
朝のマラソンもなければ、雑用もない。
何よりSHRは0時限目として30分間勉強の時間だからだ。
こんなにも學王学園と一般の高校は違うのかと実感した。
たぶん直輝も同じこと思ってるだろうなぁと思っていたら、
??(清峰君、よろしくね。私も陸上部なの。マネージャーだけどね)
と、隣から小さな声で囁いてきた
隣はなんか小さくて可愛い女子がいた。
不覚にも可愛いと感じてしまった。
純粋に可愛いと思うし、俺は中高で男子校だったから女子に耐性がないから。
瞬「あ、あぁよろしくね」
三俣「清峰~朔守とイチャつくなよ~」と、からかわれ、
俺は不覚にも顔が真っ赤になった
三俣に朔守と言われてた隣の席の子の顔は見えなかったけど、どうだったんだろう?
担任「まぁ編入早々いちゃつくのもほどほどにな。あと三俣うるさいぞ」
三俣「はーい」
担任「SHR再開するぞー」
こうして俺の初めてのSHRは終わった
-放課後-
放課後に直輝と会ったので一緒に部室に向かっていた
瞬「直輝ー疲れたー」
直輝「いやいや俺もだし」
直輝も死体みたいな顔をしていた。
たぶん俺と同じで、初体験の高校生活が新鮮過ぎてついていけなかったのだろう
瞬「でも、とてつもなく面白いな。前までとは大違いだ」
直輝「確かにとんでもなく面白いな。あとさ、もう前の高校の話はしないようにしないか?お互いいい気
分にはならないだろう?俺ら以外にまだあの学園では辛い思いしてる奴もいるし」
瞬「あぁそうだな……」
少しの沈黙の後に直輝は話を変えて
直輝「次、部活」と言った
瞬「うん」
直輝「お前どうよ?」
瞬「どうって?」
直輝「いや楽しみかどうかってさ」
主語のない会話だったが自然につながっていた
瞬「そりゃ楽しみさ。町田先生の言う通り、俺らがその世界を見れるまでに成長するかさ」
直輝「そうだな!俺も楽しみだ!」
瞬「しゃあ!部活行くべ!!」
直輝「何で訛ったか知らんが行くか」
俺と直樹は笑った
-部活-
町田「えーじゃあ、新入生に部長から一言どうぞ」
ガヤなのか周りから「まっちーが言えよー!」とか「まっちー早く結婚しろー!」などヤジがとんでいた
町田「じゃあ一言!俺は町田。ちなみにあだ名はまっちーだが、個人的には気に入ってないので1年は使わ
ないように!」
三俣「よっ!まっちー!」
と、1年は使うなと言ってる最中に普通に使う1年生もいるわけだが。
町田「真面目な話をすれば、こいつらは俺が走りを見て気に入った。だから特待生だ。こいつらの前の高校や部活は訊かないでやってくれ。だが、走りは保証する」
急に町田先生は真剣な雰囲気でそう言った
次に部長と思われる人が
部長「というわけだ。俺は部長の花村。この学校は私立だけあって県の強豪とも渡り合える力を持ってい
る。インハイ入賞など、全国レベルの部員もいる。この部活に慣れつつ他からいい刺激を貰うように。以
上。」
部長が結構いい人っぽくて安心した
先輩「まっちーより部長の方がしっかりしてるじゃん!」
町田「うるせー。ま、あとで部員紹介はする。新入生二人以外は解散!!」
「はい!!」「うい!!」
など先輩たちの返事が飛び交い、その後解散して先輩たちは練習を始めた
町田「さて、この部活はなじみやすいからその点は大丈夫だろう。でだな、さっき花村の方からも話が出た通り、この部にはインハイ入賞者がいる。あそこで走っている朔守迅だ。あいつは7月にあったインハイ
で2年生にして100m全国6位だ。まぁ今のお前らにこの凄さは分からないかもしれないが、いずれ分かる
よ。あと、他にも速い奴はいるが、特に朔守は速いからいい刺激にもなる。よく観察するように。あとは
部長から指示貰えな」と早口で言った
瞬・直輝「はい!」
町田先生の話の後にグラウンドを見たら一際眩い光を出し風を切るように走ってる人がいた
風を切るという表現より風を作ってるという表現の方が合う、そんな走りだった
學王学園時代に王崖の走りをちらっと見たがそれとはまた異なったオーラが出てた
王崖は「俺の前に立つ者は狩ってやる」みたいに闘志が尋常ではなかったけど、朔守先輩は「俺の前に立
つ物がいるならそいつより前に行ってやる」みたいに明るいオーラが出てる
そういえば「朔守先輩と俺の隣に席の朔守?って兄弟なのかな?」と思ってたら直輝に
「おい、早く部長のとこ行こうぜ」と言われて現実に戻った
そして俺と直輝は部長のところに向かった。
で、部長からメニューをもらいそれをこなす。
何やら初歩的な筋トレや体幹トレーニングなどだったので今日は一度も走らなかった。
なんか町田先生に陸上部は厳しいとか言われてたので拍子抜けした気分。
で、あとは部員の走りをとにかく見てた。
100m全中3位の高暮梨は俺らと同じ高1なのにバカ早いし、花村先輩は400mが本当に速い。
高暮梨は2年の朔守先輩、相馬先輩、東奥先輩に選抜負けて前回の総体は出れなかったらしい。
なんか陸上って面白そうだなって思った。
早く走りたい。もっと今の自分より速く走る為に、早く走りたい。
そんなことを考えてたら後ろから
「清峰君?」と声をかけられた
その声に連れられ、後ろを振り向くとクラスで隣の席の朔守?が立っていた。
瞬「なにかな?」
朔守「えっと……先生から集合かかってるんだけど……」
瞬「え?」
俺がこんな考え事をしてるうちに町田先生が集合をかけていたらしい。
ちょっと睨む町田先生、平然とした花村部長、俺を見て爆笑してる三俣と直輝……
入部から大恥かいた……
すぐに向かうと咄嗟に先生に
町田「考え事もいいが、周りも見ろよ?」と言われたので
瞬「へ?あ、は、はい!」と噛み噛みに答えたら部から笑いが漏れた
周りからなんか変な人とか思われちゃったかなぁって思った。
最悪の部活デビューかも……