欝からの脱出
-夜明け前-
直輝「急な話で悪いな」
瞬「まず言いだしたのは俺だしお前は悪くないさ。それに俺たちは一心同体なんだろ?」
直輝「あぁ・・・俺の言葉使うとか、こりゃしてやられたな」と笑いながら直輝は言った
そして、今俺たちは学園逃亡計画の計画前だ。
まぁ単なる夜逃げだが・・・
直輝「作戦はさっき話した通り、俺が警備の電源を落とすからその内にお前は正門から逃げ出せ。俺もす
ぐ追いつくから」
瞬「わかった」
直輝「最悪の場合として俺が逃げ遅れたら、お前は一人で逃げろ」
瞬「それは承諾出来ないな。逃げる時は二人で、失敗しても二人でもだ」
直輝「マジか・・・まぁ瞬のことだし、どうせ言ったことは曲げないだろ?」
瞬「知ってんじゃねぁかよ」と俺が言うと自然と二人に笑顔が漏れた
その後直輝の顔が引き締まる
直輝「よし、じゃあ夜が明ける前に作戦を開始する」
瞬「おう!」
直輝「絶対二人で逃げ切ろうな!」
瞬「おう!!!」
そういうと直樹は警備室へ、俺は正門付近の防犯カメラに入らないところに隠れた
正門は明るくライトで照らされており、逃げようとしたらすぐにバレてしまう。
速さだけで逃げようとも、正門は高さがあるから時間がかかりとても逃げられない。
だから、時間をかけて正門を登るにはまず電気を落とす必要がある、ということだ。
瞬「あいつ、大丈夫かな・・・?」
そんな不安が過ぎった直後、正門の電気が落ちた
瞬「よし!」
すぐ正門に駆け寄り、俺は登り始める。
俺が正門の上に登った時、後ろを見たら直輝が警備員を引き連れてこっちに走ってきた
直輝「瞬!早く逃げろ!」
瞬「ふざけんな!お前も一緒じゃなかったら意味ないだろう!!目覚ませよ!!!!」
直輝「・・・そうだな」
直輝は何かをボソっと言って正門を上り始めた
直輝が正門を上り始めた時、警備員以外の速い物体を見た
警備員を越える、というか比にならない速さの男を・・・
そいつが近くに来て分かった。
その男は1年にして陸上部エース、王崖皇紀・・・
1年生にして100mインターハイ全国1位という化け物
この事件が発生してからこの短時間で寮から走ってきた・・・
それは人外でないくらいの速度で一瞬で分かった
そいつが直輝を捕まえようとしている
王崖が直輝の足を掴んだ
王崖「逃げれると思ったか屑が」と冷徹な目をこちらに向けながら王崖は言った
直輝「もう無理だ!瞬、一人で逃げろ!!」
ひと呼吸して俺は叫ぶ・・・
瞬「俺は諦めるのが嫌いなんだよぉぉぉぉぉ!!!」
直輝の手を握って思いっきり引っ張る。
王崖「くっ・・・」
体重を使って全力で引っ張っている俺の方が少し優勢だ
そこに「王崖、もういい」と聞こえた
王崖「はい」と王崖が言うと一気に力が抜け、俺は直輝を引っ張ったまま正門の外側に落ちた
ドン!!と、地面に叩き付けられる音がする
瞬・直輝「痛っ!」
正門の内側には悔しそうな顔をする王崖と狩場先生がいた
瞬「尻の骨折れたかも」
直輝「かもな。でも、俺は嬉し過ぎて痛み感じないや」
瞬「実は俺も」と二人は笑った
直輝「さて、電源が落ちている間に逃げないとな」
瞬「おう!」
こうして二人は逃げた。
逃げる前に王崖に何か言われた気がした。
しかし今は気にすることじゃないだろう。
今は喜びを抑えることと逃げることで精一杯だから