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デュラハンが行く!! 〜異世界漫遊記〜  作者: 八嶋ユナ
第一章 クエルタム大森林編
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13話 ミルシャの回想【平穏】

「今年の巡回も無事終わりましたね!」

「あぁ、例年より魔物が多かったがな」


護り手の責務である瘴気の浄化と魔物の討伐。

神話の時代より続く、各種族の女性達が担う平和を維持する為の使命。

導き手のアーディ師匠と共に今回も滞りなく遂行し、日が沈み始める頃、故郷のミルディアの村へと帰り着いていました。


「ん、見えてきたな」


アーディ師匠が村の門を見つけ、指を指す先によく見知った人物が立っていました。


「婆様!!」

「ミルシャ!!」


村の門で育ての親であるエレミア婆様が出迎えてくれてお互いに抱きしめ合いました。


「戻ってきたな!!」

「出迎え嬉しいです!!」

「ハッハ!そろそろかと張ってた甲斐があった!」


エレミア婆様は私の母方の祖母で、物心ついたときから生みの親に代わり私を育ててくれた人でした。

森から出ていた両親は、護り手に選ばれた産まれたばかりの私をクエルタム大森林へと連れてくる際に魔物に襲われ、母が生命からがら私を託し、亡くなったらしいです。


「アーディさん、どうでしたかミルシャは?」

「着々と力をつけています。私が面倒を見る必要が無くなるのも近いかもですね」

「そうでしたか!ですが、こいつもまだまだ若造ですんで、これからも扱いてやってください」


導き手であるアーディ師匠は、護り手としての力の使い方と魔物との戦闘術、魔術を教えてくれているレベリエム氏族のエルフです。


「ミルシャ、族長に挨拶に行ってきな。今は集会所に居る思うよ」

「わかりました!また後で、婆様!」


ミルディア氏族の族長へ帰還を伝えるために、一旦婆様達と離れて村へ入ると、


「「「「おかえり、ミルシャちゃん!!!」」」」


子供たちが駆け寄ってきてくれました。

村にいる時はよく遊びに誘われて一緒に遊んだりしていて、護り手のお姉さんとして懐かれている自負があります。


「みんな、久しぶり!」


久々に子供たちに会えたことに嬉しさを感じていると、


「帰ってきたな!」

「ミルシャちゃん、怪我無い?」

「おじちゃん、おばちゃん!」


子供の時から色々と気にかけてくれている

農家夫婦のディクスおじちゃんとリリアおばちゃんが話しかけてくれました。


「大変だったろ、毎回お疲れさん」

「こうして平和に暮らせているのもミルシャちゃんのお陰よ」

「いえ、護り手として当然ですので!」


護り手としての責務を果たさなければ、魔物は増え続け、瘴気は溜まっていき、厄災種の発現の確率が高まって厄災が起こり、村のみんなを危険に晒すという事になってしまいます。

自分が頑張れば村の皆が安心して過ごせる...そう思うと、護り手の使命は何も苦に思いませんでした。


「族長のとこへ行く最中だったろ、引き止めて悪かったな」

「族長もミルシャちゃんが無事帰るのを待っていたからねぇ」

「いえ、おじちゃんとおばちゃんと話せて嬉しかったです!」


久々に会う村の人達との会話もそこそこに、改めて族長の下へ歩み始めました。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「族長、ミルシャです。今よろしいですか?」

「おぅおぅ、入っとくれ」


村のみんなと別れた後はすぐに集会所へと着き、

族長と対面しました。


「護り手ミルシャや、よく戻った」

「今回の巡回は大きな問題も無く、多少魔物は多くいましたが、討伐も終わり、瘴気も治まっていたので、厄災の気配は薄いかという結果です」

「うむ、ご苦労であったな」

「ありがとうございます」


族長は齢900を超え、エルフの老化期へと入っている黒髪に白髪の混じったお婆さんです。


「ミルシャや。護り手の責務に苦労はないか?」

「族長、ミルシャはこの責務をになっている事に苦などありません」

「そうか..いつも誠にすまぬ..お主らには感謝しきれぬよ..。」

「そんな..」

「お主ら護り手により築かれた平和を享受し続け、こんな年まで生きのびた婆には、護り手に返しきれない恩義がある」

「はい」

「護り手ミルシャよ、望みがあれば言いなさい。

こんな老婆にできることであれば叶えよう」

「わかりました、望みができたら伝えさせてもらいます」


族長はいつもこうして深い感謝を伝えてくれます。

私は何かしてほしい訳でなく、ただこうして感謝を言ってくれるだけで満足なのです。


「長引かせて悪かったな..。護り手ミルシャ、よくぞ無事に帰って来た。ゆっくりと疲れを癒してくれ」

「はい。それでは失礼します」


族長への挨拶も終わり、足早に婆様の下へ駆けていきました。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「おう、帰って来たな。挨拶は済んだか?」

「はい!」


挨拶が終わればすぐに婆様の下に行きました。


「そうか!じゃぁ、今日はもうゆっくりと休みな。帰ってきたばかりで疲れてるだろ?」

「何か手伝いとかは..」

「ハッハ!大事な務めを終えたばっかりの大事な娘を扱き使おうなんざ罰が当たるよ!」

「では..お言葉に甘えますね」

「そうしときな。すぐに飯用意するからね」

「もしかして..」

「もしかしての兎肉のスープよ!」

「やったぁ!!」


兎肉のスープは、婆様が作る料理の中で私が一番に好きなものでした。

塩味のスープに兎肉の脂と野菜の出汁が溶け出て、あっさりしつつ、食べごたえがあり、パンと一緒に食べるのがとても好きでした。

婆様は、いつも私が護り手の巡回から帰ってきたら作ってくれました。

これが毎回の巡回の終わり。

今日も幾度も過ごした平和を噛み締める1日で、

これからもずっと続いていくかと思っていました。

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