11話 偽エルフ発覚
(お前...何者だ..?)
焚べる者の炎によって、姿形が一変したエルフ。
情報を吐かせたら見苦しい命乞いをしたのにイラッときてしまい、炎のヘッドバットを食らわせたら、偽エルフの疑惑が降って湧いた。
「え..?あっ..!」
偽エルフの悪人面は、自分の耳を触り、驚きの表情をしていた。
(おい、お前は何者だ?)
「ひっ...」
剣の先端を喉元に突きつけ、正体を探るべく脅すと
すぐに悪人面はスルスルと情報を話した。
「やっ..雇われたんだ..姿を変えて生きていけるって...報酬もしっかり払うって...」
(何処で雇われた?)
「...ロベルディア神聖国....」
(誰に雇われた?)
「名前も顔も知らない...」
(嘘じゃねぇよな?)
「しっ..知らないっ!!本当だっ!!仲介役としか話してねぇ!!」
(その仲介役は?)
「ふっ...普通のヒューマンだった..!」
(お前の他に雇われてる奴は?)
「ここにいた奴らと、護り手のガキを殺しに行った奴らしか知らないっ!!」
(そうか、では最後に...何故魔物相手にあんな態度を取った?)
あいつらの俺を魔物と見た瞬間の余裕さ。
これが気になっていたのもあって殺さずにいたのだが、こんな事になってしまっていた。
「仲介役から聞いてたんだ...言ってたんだ..魔物は、お前らの雇い主が言葉で簡単に追い払えるようにしているって....」
(そうか...ミルシャ)
ミルシャの名を呼び、自分の首を指さした
後、その次に偽エルフへと指を指す。
「何を...かッ...!!」
風の刃が偽エルフの喉を掻き切る。
察してくれたようだ。
(なぁ、こいつらって..)
「すみません、私も何がなんだか...」
ミルシャと見つめ合い(?)偽エルフからの情報を思案する。
(ここには人間が住んでたりするのか?)
「クエルタム大森林は、エルフの国と言ってもいいところですので、ヒューマンがいるとはあまり考えられません...」
(じゃぁ、他所の国からしか無いか?)
「ヒューマンの国は〝ロベルディア〟という国が北東にあります」
(そこ怪しいな)
ミルシャからもヒューマンの国〝ロベルディア〟
なる言葉を聞く。
(予想としては...その国のスネに傷のあるような奴に声をかけて、エルフの森でなんかしちゃろうって感じだろうな)
ラノベ知識でおおよその当たりをつける。
「すごいですね! ロクローって!!」
ミルシャが的確な予想だと言わんばかりに目をキラキラさせて俺を見る。
やめてくれ...こんなただの雑な当てずっぽうをそんなキラキラとした目で見つめるのは...。
(まずはっ!とにかくっ!! クエルタム氏族の村に運ばれたっていうミルディア氏族達だ)
「そうですね..その通りです」
冷静に今の目的を思い出す。
ミルディア氏族を助ける為にここに来たが、
すでにクエルタム氏族の村へと運ばれてしまった
という話だ。
(これはもう敵本陣突撃しか無いだろう)
「私も同意見です..!」
ミルシャと意見が合致し、次の行動が即決まった。
(魔物を使役するだろう存在もクエルタム氏族本陣で引きこもってたりするだろうし、いないなら渦中の人物であろう族長のルエルタをとっ捕まえて吐かせるでいいと思うんだ)
「それじゃ、次の行動はミルディアの皆を助けて、
ルエルタをぶっ飛ばしてふん縛る、ですね!!」
(お..おう、そうなるな)
ミルシャってなんかこうパワー系強めよね。
(とりあえず、少し休んでから行くか)
「今すぐでは―」
(いや、この村で救出が終わるなら良かったが、
俺達はこれから敵本陣に突っ込むという荒業をする事になる。)
「そうですね..」
(ミルシャも今は平気と思ってるかも知れないが、色んな疲れが溜まってると思う。心配なのはもちろん理解している。)
「なら..」
(ろくに装備を整えずに行くのはあまりにも危険だ。この後も歩き詰めだろうし、少し休もう)
「た..確かに..。今の装備では危ないかもですね..」
やっぱりすぐ突撃しようとしてたな。
ミルディア氏族が心配なのはわかるが、
流石にボロ布の服、無手は危ないと思う。
(村の中に何か装備とかあったりする?)
「武具庫があるので案内します!」
(助かるよ)
装備を整え、休息を入れつつ、
クエルタム氏族本陣への出発準備を進める。
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(よし、こんなもんだろう)
「行きましょう!」
偽エルフ達を焚き木にし、LPは78となった。
クエルタム氏族と戦いになっても、これだけあればなんとかなるだろうと思う。
そしてミルディアの武具庫と民家から装備やら服を拝借した。
いつまでも胸に穴が空いたスーツではいれなかったので、着替えさせてもらい、白のレースアップシャツにベージュのズボン、革の胸当て、革の手袋に靴という装備で、ソードベルトにより腰に剣を下げている。
スーツ等は一応まとめておいて村に残していく。
一応異世界で唯一の私物と言えるし。
(ミルシャはちゃんと休めたか?)
「はい! 休めました!」
(よし、案内頼む!)
「任せてください!」
十分に休息を取り、装備を整えたミルシャにクエルタム氏族の村への案内を頼む。
(..すっごい物持ってるね)
「これが私の武器ですね!」
ミルシャは白を基調として、あらわになった腹部と脚が眩しいエスニック風の服に着替えていた。
その手にはリカーブボウが握られていたのだが、
手元部分を覆うような装飾に拳大の大きさの翡翠というか緑の宝石がはめ込まれていた。
「私は弓以外に風魔法を使うのですが、魔法で広範囲の魔力を操作したりする時は、魔宝石があると段違いに扱いやすくなります!」
ミルシャは風魔法を扱う時に、魔宝石と呼ばれる物で空気中の魔力に干渉しやすくしているらしく、
この大きさで半径15m程の魔力が風の魔力になってくれるらしい。
魔術は体内の魔力を使い、炎や水などを再現し、形を変え、操作するのに対して、魔法は体内の魔力を媒介にし、空気中に漂っている〝マナ〟と言われる無色の魔力に干渉して発動する魔術の大規模版という話らしい。
魔宝石は魔力を流すと、周囲のマナが魔宝石の持つ属性に染まっていくと言う。
マナに属性を付与するのは大変なので、魔法を扱う者は触媒として重宝するらしい。
当たり前に魔法があることに疑問を抱かず、すんなりと受け入れていて、自分の頭が異世界系作品で染まっていることに無駄じゃなかったな...としみじみ思う。
(その肩の紋章は?)
「護り手の証ですね。護り手は皆、肩や手の甲だったりに紋章があって、これが護り手である証明になります!」
ミルシャの腕には一体型のアームカバーがされていて、左肩の肌にある紋章を見せるように穴が空いていた。
(...そろそろ行くか)
「..ですね」
このまま気になることを聞いていると出発が遅れてしまう...現在進行系で行こうとしてたのに遅れてしまったし...。
気を取り直して、敵本陣へ向かおう!




