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第1話 彼岸花の花言葉

この小説は,主な執筆・ストーリー構成等は冬桜美狐が,加筆・修正案を天光神奈が行っております。

基本的な責任は私,冬桜美狐が担っております。


誤字,脱字報告受け付けております。見つけた際は,遠慮なく報告して頂けると幸いです。

感想,いいね,レビュー等大歓迎ですm(_ _)m

ブックマークも是非お願い致します。

「では,これより真葛さねかずら中学校の入学式を行います」


 司会の言葉で,入学式が始まる。

 一堂に介した生徒達の興奮と緊張が感じ取れる空間で,武流たけるは遠くに座る琳斗りんとの姿を何度も確認しながら,膝の上に置いた手を握ったり開いたりしていた。

(うぅ,緊張するなぁ。人多すぎない? 怖いんだけど)


「____次は,代表挨拶です。新入生代表の琴寺ことでらさん,壇上へどうぞ」

 司会の言葉が聞こえた武流は飛び上がる。勿論実際に飛び上がったわけではなく,想像だが。


(そういえば,愛彩あやが挨拶するんだっけ? 琳斗が言っていたような言っていなかったような……。不安だなぁ……)


 遠くに見える琳斗も少し緊張しているように見える と続けて,武流は壇上を注視した。

 数枚の紙束を持った愛彩がいつも通りの明るい笑顔で壇上に立ち,前を向く。

 微かなざわめきが収まっていき,愛彩が口を開く。知らずのうちに武流の喉が鳴った。

 その場に集う全員の視線を浴びた愛彩は,一瞬武流と視線を合わせたあと,笑顔を深めた。

「この度,入学する皆様を代表致しまして,ご挨拶させて頂きます。 まず始めに____」


 入学式は,恙無く終わった。武流は外に出ると,少し離れたところにいる愛彩のところに向かう。

「あ,武流! どうだった? 良かったでしょ!」

「うん。間違わずに言えてた」

「ほんと? 良かったー!」

 武流は満面の笑みを浮かべる愛彩から少し目を逸らしながら,何度も頷く。


(愛彩は本当に笑顔がキレイだよね。ほんと____)

「____焼き殺されるよねー」

「心の中読むのやめて」

 あっさり心の内を引き取られて,武流は琳斗を睨む。

 睨まれた琳斗はほんの少し口角を上げて愛彩を指差し,「聞こえてないからセーフ」と続けた。

 したたかな態度を崩さない琳斗に勝てるはずもないと,武流は咎めることを早々に諦めて愛彩を見る。


 数人の女子生徒に囲まれて楽しそうに談笑している愛彩には日光があたり,女神が纏う後光のように見える。

 武流がそんな事を呟くと,琳斗は更に笑みを深めた。それですら普通の人間から見れば僅かな微笑みにしか見えないが。


「……そういえばさ,ちょっと気になってるんだけど」

 琳斗がそう呟くと,武流は小さく頷く。

「教師の動き,だよね?」

「うん。何かあったのかな? 随分と慌ただしい」

 そう答えた琳斗は,慌ただしく動き回る教師を指差して小首を傾げた。


「……何かあったのは,あそこっぽいね」

「「!!」」

 いつの間にか背後に立っていた愛彩が,校舎の隅を見てそう言った。

(愛彩って気配を消すの謎に上手いよね……)

 武流がどこか唖然とした表情を浮かべて,愛彩に頷く。

「……行ってみよっか」

「へ?」

 何にでも首を突っ込みたがる愛彩に武流は思わず間抜けな声を出す。

「だ,駄目だと思うけど……。危険な気がする」

(琳斗の直感もよく当たるんだよね……。危険な気がする,か……)

「琳斗が危険っていうんなら,危険なのかな……?」

 愛彩が少し残念そうに呟き,視線を落とす。


 物憂げな表情に,武流は思わず口を開いた。

「……少しだけ,少しだけ近づくくらいなら,良いんじゃないかな……」

「「武流!?」」

 琳斗が驚いたように目を見開き,愛彩が嬉しそうに顔を上げる。


「じゃ! 行ってきまーす!」

「ちょっ,待って! 僕も行くから! 武流は行く?」

 走り出した愛彩を引き止めつつ,琳斗が武流に問う。

 武流の中で,何かが揺れた。

「え,えーと,僕は……いいかな……。この辺で待ってるよ……」

「わかったー! 勝手に何処かにいかないでねー! 迷うからー!」

 既に数メートル離れたところで琳斗を待つ愛彩に,武流は 過保護だな……と苦笑しつつ手を振った。


 この時の判断を,武流はのちに後悔する事になる。



「遅いな……二人……」

 武流が二人を見送ってから小一時間。

 二人は帰ってこないし,二人が行った辺りが騒がしい。

 校舎の隙間から見えるのは,黒い雲。

(……黒い雲……まさかね)


「あの,あの辺で何があったか,わかりませんか?」

 武流は意を決して,あの辺りから来たと見える生徒にそう聞いた。

「ん? あぁ,あの辺で出火したって情報があってさ。先生達が向かってるんだ。俺等も万が一のために逃げろって言われて。黒煙上がってるし,先生達が火がどうのこうの言ってたから,マジかもね」

 少し息が上がっているその生徒は,「君新入生? なんでまだ帰ってないの?」と続ける。

「あ,えっと……友達を待ってるんです」

「ふぅん。その友達ってどこに行ったんだ?」

「え……?」

 その瞬間,武流の背筋が凍りつく。


(どこに? どこに? どこに……?)


「__あそこ…………」


「……は?」


 武流が指差す。夕暮れの空に,黒煙が上がっていた。

最後までご覧頂きありがとうございます。

 雲行きの怪しい回となりました 冬桜美狐

武流まだ転生してないですw 天光神奈

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