プロローグ
この小説は,主な執筆・ストーリー構成等は冬桜美狐が,加筆・修正案を天光神奈が行っております。
基本的な責任は私,冬桜美狐が担っております。
誤字,脱字報告受け付けております。見つけた際は,遠慮なく報告して頂けると幸いです。
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「……入学式かぁ」
黒縁のメガネを書けた真面目そうな少年は,平坦な道を歩きながら肩を落とした。
彼の名は若剣 武流。日本に住む12歳の少年だ。
父が早くに死んだため,3つの頃からの母子家庭で彼は,特別穏やかな子供に育った。
けれど,父の血塗れの手を握った日から,彼は常になにかに怯えているようだと,母親は語る。
そんな中で迎えた中学校の入学式。周囲を歩く子供の顔は嬉しそうに輝いている中,顔を伏せた武流は少し目立っていた。
「あ,武流! おはよー」
「あっ。えーと,愛彩……と,琳斗」
「おはよー,武流」
そんな彼に明るく声をかけたのは,幼馴染で武流と同学年の少女,琴寺 愛彩。見た目通り明るい性格の彼女は,小学校でも孤立しがちだった武流を積極的に友人として扱っていた。故に武流でも気軽に話すことのできる数少ない人物。
そしてもう一人,愛彩の背後に従者のように控えている少年は恵崎 琳斗。愛彩と武流の幼馴染で,武流の良き理解者であり,正反対なのに仲の良い二人に挟まれた苦労人。
二人にある無条件の信頼が,人間不信だった幼い武流を大きく変えたのだ。
「今日入学式だね! 武流は緊張してる?」
「……え,別に。そんなに緊張はしてないかな」
「僕は愛彩さんがなにかやらかすんじゃないかと思うと気が気じゃないんだけどな」
「ちょっとー! それどーいう意味!?」
「別に」
明るい会話に耳を傾けつつ,武流は下を向いていた。それがいつもの光景なので,愛彩も琳斗も無理に武流を会話に誘おうとはしない。
(うーん。僕としてはこういう空気が好きだしありがたいけど,ずっとこの調子で中学校生活遅れるとは思えないんだよなぁ。あんまり人付き合い上手くないから小学校でも結構変な目で見られること多かったし?)
実はかなりの滑舌の良さと頭の回転の良さを持つ武流は,頭の中でものすごいスピードで喋りながら二人に歩みを合わせる。
頭の中で喋っていると,勝手に歩みが速くなってしまうのだ。
これは人間あるあるだと,人間と碌に交流していない武流は勝手に思っている。
「ねぇ,知ってた? 今日の入学式の代表挨拶,私がやるんだよ!」
「えっ,そうなの?」
愛彩の明るい声に,沈みかけていた武流の思考が再浮上する。
「武流には黙ってたんだ。僕は決まった時に傍にいたから知ってた」
あまり抑揚のない琳斗の声を聞きながら,武流はその意味を咀嚼する。
「あっ,すごいね!」
「「今頃?」」
即座に二人から突っ込まれた。無理もない。
「まぁ,そんなわけだから,静かに真面目に聞いててね! 長いなぁとか,何言ってるんだろぉなぁとか,思わずに!」
「はーい」
武流と琳斗が素直に返事を返すと,愛彩は心から嬉しそうに,花のような笑みを浮かべた。
唐突だが,愛彩は顔立ちの整った美少女である。それに,明るく穏やかで,誰に対しても優しく,常に親しげな笑顔を浮かべていて,リーダーシップもある。
また,芸術に造詣が深く,女神のような歌声(同級生男子曰く)を持ち,優美な日本舞踊を踊りこなす。物語のヒロインのような少女だ。
(あと,すごく男子に人気なんだよね。すごく。結構男子は授業中とかも愛彩の方ばっか見てるし。休み時間は全力でアピールしてるし。本人はこの6年間でいろんな学年の男子14人からプロポーズされたって言ってたし。それに毎日男子から花やらお菓子やらの贈り物が絶えないって笑ってた。本人は多分モテてる自覚ないんだけどね。僕もたまに好きですアピールしてるけど,通じてないし)
「ねぇ,どうしたの? またなんか考えてるの?」
歩きながら固まった武流を不審に思ったのか,愛彩が武流の顔を覗き込む。
武流は心底驚いたように目を瞬いた後,「なんでもない」と当たり障りのない言葉で返した。
「どうせまた,愛彩さんの事考えてたんじゃないの?」
機嫌良さげに進んでいく愛彩を横目に,琳斗がこそっと武流に聞いてくる。
彼は常に言葉足らずの武流の言動を最も正しく理解することができ,最も愛彩の近くにいる少年だ。
「えっ……違うよ。だって違うし」
通常の人間であれば理解できなくて当然の言葉に,琳斗がほんの少しだけ愉しそうに口角を上げる。
彼は昔から表情筋が固く,薄情だと誤解されることが多い。が,実は感情豊かなのである。
武流と分かり合えるのも,そのあたりが似ているからなのかもしれない。
ちなみに,武流の中での彼の評価は「類稀な苦労人」。
常に「こんな苦労する人,日本中探しても数人しかいないでしょ。多分」と思っている。
琳斗は勉強も運動もでき,礼儀正しく,誰にでも気配りができる好青年だが,破天荒かつ突飛な言動の多い愛彩の従者として常に振り回されている。周囲は可哀想な人を見る目だが,本人は嫌そうな顔は一切しない。
(僕が前に「琳斗って愛彩が好きだから従者になったの?」って聞いたら「うーん。もしかしたらこの感情を好きっていうのかもしれないけど……僕が愛彩さんの従者でいるのは,ただ単に彼女に尊敬してついていきたいと思ったから,かな? 昔は恋愛感情だったかもだけどね」って爽やか〜に笑ってたからな。ホントに良い奴なのに愛彩の後ろにいて目立たないんだよね。絶対モテるのに)
「ねぇ,中学校ついたけど」
「あっごめん。多分玄関はあっち」
「了解〜。武流行くよー!」
愛彩の言葉に反応して,琳斗が反射的に「ごめん」と答える。染み付いた癖だ。
武流は愛彩に手を引かれて,校門前に立つ。
(……ここで,三年間生活するのか……。できるかな……)
新しい生活に一抹の不安を覚えつつ,武流は一歩踏み出した。
最後までご覧頂きありがとうございます
この小説を書き始めることになったのは,天光神奈様にリアルで私が新しい小説の案を見せたら,なんやかんやで合作にすることになったからです。何があったかはよく覚えておりません。
代表作「アニメという名の異世界 実は裏設定が半端ない」の方を優先的に進めていますので,こちらの小説はかなり不定期になりますがご了承ください。あと,天光様は勉学に勤しんでいらっしゃるので,あとがきがないことがあります。 冬桜美狐
半年ほど前から二人で考えていた小説が始まりました。私は加筆修正をしています。二人の予定があったときだけ投稿できるので、次話投稿が遅いことがあります。よろしくお願いします。 天光神奈